2021年1月28日(木)にホンダの人気スクーター「PCX」「PCX160」「PCX e:HEV」がフルモデルチェンジされて発売。ここでは156ccエンジン搭載の新型「PCX160」と、国内での発売が待たれる新型のヤマハNMAX155 ABS(生産国であるインドネシア仕様の15.4馬力)の諸元を比較。ライバルである両モデルの特徴や違いを比べてみよう。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
水冷4ストロークSOHC4バルブエンジンを搭載した、ライバル車の違いとは?
2021年1月28日(木)に発売の新しいPCXシリーズは、新設計の水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒「eSP+(イーエスピープラス)」エンジンを搭載。
また、前後にディスクブレーキを装備(前モデルはリヤがドラム式)し、フロントブレーキのみ作動する1チャンネルABSを導入。Hondaセレクタブルトルクコントロール、充電などに便利なUSBソケット等も装備済みだ。
新型PCXシリーズ最大のポイントは、シンプルな2バルブエンジンから、吸排気効率に優れた4バルブエンジンに進化したこと。スリップしやすい路面でも安心の電子制御システム「Hondaセレクタブルトルクコントロール」も新装備されるなど、動力性能、安全性、利便性のすべてにおいて大きく進化した。
PCX160を上回る、超豪華装備が満載!最新版のNMAX155 ABS(インドネシア仕様)は、国内で間もなく発売か!?
外観・サイズ・足周りの違いをチェック!PCX160は安定感のある走り。NMAX155 ABSは小回りの効く軽快さを意識!?
【ホンダ PCX160】
全長×全幅×全高:1,935mm×740mm×1,105mm
軸距 :1,315mm
最低地上高:135mm
シート高:764mm
車両重量:136kg
最小回転半径:1.9m
タイヤ:前110/70-14M/C 50P、後130/70-13M/C 63P
ブレーキ:F 油圧式Φ220mmシングルディスクブレーキ R 油圧式Φ220mmシングルディスクブレーキ ※ABSはフロントに装備
懸架方式:F テレスコピック/R ユニットスイング
フレーム:アンダーボーン
【ヤマハNMAX155 ABS(インドネシア仕様)】
全長×全幅×全高:1,935mm×740mm×1,160mm
軸距 :1,310mm
最低地上高:124mm
シート高:765mm
車両重量:132kg
最小回転半径:-
タイヤ:前110/70-13M/C 48P、後130/70-13M/C 63P
ブレーキ:F 油圧式Φ230mmシングルディスクブレーキ R 油圧式Φ230mmシングルディスクブレーキ ※ABSは前後に装備
懸架方式:F テレスコピック R ユニットスイング
フレーム:バックボーン
両車ともシャープかつ肉感的なフォルムが大きな特徴。フレームはPCX160がアンダーボーン、NMAX155 ABSがバックボーンを採用。ホイールベースはPCX160が5mm長いが、ボディサイズはほぼ同じ。シート高もほぼ同じだ。重量はNMAX155 ABSがPCX160よりも4kg軽量なのが特徴。
前後ブレーキは両車とも、制動性に優れた油圧式ディスクを採用。フロントブレーキは、PCX160がΦ220mmディスクローターに片押し型2ピストン。NMAX155 ABSは、PCX160よりもΦ10mm大径のΦ230mmディスクローターに、1ピストンをコーディネイト。
ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)は、PCX160がフロントブレーキのみ。NMAX155 ABSは前後ブレーキに導入。前後タイヤは両車ともラジアルとし、幅と扁平率は同寸法。
フロントホイールはPCX160が14インチ、NMAX155 ABSは13インチを採用(リヤはともに13インチ)。車両重量とフロントホイールサイズから見た場合、PCX160は安定感のある走りを重視。NMAX155 ABSは小回りの効く軽快さを意識したイメージだ。
最高出力&最大トルクはPCX160が上!水冷4ストロークSOHC4バルブエンジンを比較
【ホンダPCX160】
エンジン:水冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:156cc
ボア×ストローク:Φ60.0mm×55.5mm
圧縮比:12.0
最高出力:12.0kW(15.8ps)/8,500rpm
最大トルク:15Nm/6,500rpm
燃料タンク容量:8.1L
【ヤマハNMAX155 ABS】
エンジン:水冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:155cc
ボア×ストローク:Φ58.0×58.7mm
圧縮比:11.6
最高出力:11.3kW(15.4ps)/8,000rpm
最大トルク:13.9Nm/6,500rpm
燃料タンク容量:7.1L
両車とも水冷4ストロークSOHC単気筒4バルブエンジンを採用。排気量はPCX160が1cc多いのが特徴。最高出力はPCX160が0.4馬力高く、回転数も500rpm高い。最大トルクはPCX160が1.1Nm高く、NMAX155 ABSよりも力強いイメージだ。
PCX160はストロークよりもボアが大きい、ショートストローク型エンジン。一方、NMAX155 ABSは、ボアよりもストロークの長いロングストローク型エンジンに設計。
一般的にショートストローク型エンジンは、一般的に回転を上げてパワーを稼ぐ、多気筒のレーシングモデルに多用されるタイプ。ロングストローク型エンジンは、粘り強くてトルクフルな、街乗りに適したタイプ。
ショートストロークかつ、12.0という単気筒にしてはやや高めの圧縮比に設定されたPCX160は、レーシーな乗り味を確保しつつ、15Nmの高トルクを確保することで、街乗りでの扱いやすさを両立しているのが大きなポイント。
なお、PCX160の燃料タンク容量は、NMAX155 ABSの7.1Lよりも1L多い、大容量な8.1Lを確保。パワーはもちろん、実用面でもNMAX155 ABSを、ややリードしているのが特徴だ。