久しぶりにエンジン関連の特集です。ターボチャージャーによる過給のテクノロジーをわかりやすく解説することを試みました。
motor-fan.jp/techでも屈指の人気を誇るコンテンツ・ターボチャージャー。あらためて今回、自動車用エンジンにおいてターボで過給することの意義や仕組みを解説してみた。
ご存じのとおり、自動車用のエンジンは定常で運転せず、常に変動している。それゆえ最高熱効率の追求が難しく、世界中のエンジニアが高効率達成のために知恵を絞っているのだが、それは過給機にとっても同様。排ガスの定常流が望めない状況で最高のパフォーマンスを発揮するために、各社各ブランド各製品で、さまざまな工夫を凝らし大トルク高出力発揮を企図している。
「自動車用エンジンにターボチャージャーを適用する難しさ」について、今回ボルグワーナーの林祐吉氏にインタビュー。過給技術のプロフェッショナルにターボ技術を基本から教えていただいた。
ボルグワーナーの最新事例についても紹介。ツインスクロールならぬデュアルボリュートターボチャージャーやガソリンエンジン対応の可変容量ターボチャージャー、そして電動化時代の過給技術について、最新の発表資料からその仕組みと効能をきいた。とくに下に示すeBoosterについてはつい先日本国発表があったばかりのブランニューであり、日本国内ではMFiが最初の紹介になるだろう。
基礎から学ぶ過給技術を目指したページ作りだけに、用語の解説にも誌面を割いた。
・過給機と称するターボチャージャーはどのようにして圧縮しているのか
・ツインスクロールとはなにか、可変容量とはどこが可変しているのか
・シーケンシャルターボと2ステージターボの違いは何か etc.
これまでMFiで解説してきた内容に加え、さらに基礎からターボチャージャーを理解できるようなコンテンツとしている。美麗なイラストはMFiおなじみの巨匠・熊谷敏直氏。同じフォーマットでイラストを起こしているので比較しやすく、構造や配置の違いがよくわかっていただけるだろう。
ここまでは機械の構造から解説をしてきたが、今回の特集では排ガス側、つまり流体側から考えるターボチャージャーの仕組みについても考えてみた。取材にご協力いただいたのは早稲田大学の宮川先生。SIPの研究に携わり、以前にもMFiでお話をうかがった内容をさらにわかりやすくご解説いただいた。
タービン/コンプレッサーホイールでガスはどのように振る舞うのか。ポートやスクロール内ではどのように流れていくのか、流れるのが望ましいのか。期待する流れのために設けた構造の工夫とは。さまざまな視点からご紹介する。