四駆系雑誌の元編集者という経歴を持つ吉田直志さんが選んだ「理想の2台持ち」は、スズキ・ジムニーとフォード・フィエスタ。実際に吉田さんが現在所有している2台なのだが、ここに行き着くまでの紆余曲折を辿ってみよう。
TEXT●吉田直志(YOSHIDA Naoshi)
いつかは絶対に乗りたいと思っていたヨーロッパフォード
2台持ちは理想であり、現在、実践しており、是非ともお勧めしたいスタイルだ。なので、ここでは理想だけ、妄想だけで、語るのではなく、自らが体験し、感じてきたことを書きたいと思う。
さて、次は何を選ぼうかと迷っていたところに、フォードジャパンが日本市場から撤退(編注:2016年のこと)することがアナウンスされた。実は、ヨーロッパフォードのモデルに深く感銘を受け、いつかはヨーロッパフォードに乗りたいと思っていたことから、これも今乗らなきゃいけないとばかりに、フィエスタを選択。
しかし、フィエスタではオフロードコースを走ることも、半ばラッセルしながらのスノードライブも不可能。
ということでオフロードを走れるモデルをプラスしての2台体制を考えたが、足繁く通っていたオフロードコースは難関コースを誇る山梨県のスタックランドフォームオフロードコースであり、つまり、乗用車ベースのヨンクじゃ太刀打ちできないし、いくらクロカン性能を誇ろうとも傷なんて簡単についてしまうコースゆえに価格の高いモデルも御法度。
さて、どうしようかと悩んでいた時に、知り合いが過走行気味のスズキ・ジムニー(当時は現行型)を手放すというので、半ば、オフロードコースを走るためだけでもいいと、譲ってもらうことになった。そう、傷つけても気にならないし、レベルは高くないとはいえ、前後リジッドサス+パートタイム4WDゆえの走破性への期待もあってのことだった。
そして、これが現在の2台体制となっている。ちなみにそのジムニーは、前オーナーがレカロシート(しかも、初代ビッグホーン純正品)を組み込んでいたこと、これといった不調が見当たらないこともあって、快適至極で、さらに走らせて愉しいというおまけ付き。プライベートで石川県の能登半島へとよく遊びに行くのだが、冬はスタッドレスタイヤをはかせて、このジムニーで出掛けてしまうほどの活躍ぶり。しかも、ほぼ下道で。
もちろん、フィエスタにも満足しており、走りがいいから、ふらっと北アルプスの乗鞍温泉や、八ヶ岳までふらっと出掛けてしまうことも多くある。
ちなみに、自動車ライターという仕事をしている上では、自らが所有しているクルマに対して、こだわりという語りが出来ることも重要。そういう観点からすると、レカロシートを入れるだけですこぶる愉しくなるジムニーと、フォードジャパンの最終モデルであるフィエスタには、語れるネタがたくさんある。
そうそう、グランドチェロキーからこの2台にして、すごく良かったことがある。それが自動車税だ。グランドチェロキーのエンジンはV8・4.7Lゆえに8万8000円/年だったが、現在はジムニー(軽自動車)が7200円/年、フィエスタ(1.0Lターボ)が2万9500円で、合計しても3万6700円とグランドチェロキー時代の半分以下。けちくさい話だが、燃料費やメンテ代といったランニングコストも大幅に下げられた。
こうして、振り返ってみると(振り返るにはまだ早いのかもしれないが)、良いクルマを1台所有するというスタイルも愉しかったが、今の、この2台スタイルのほうが、身の丈にあっていると感じている。これは、50歳代という年齢もあってのことだと思う。若かりし頃には、想像できなかった2台持ちスタイルだ。
『理想の2台持ち』は毎日更新です!
1台でなんでもこなすよりも、目的を分けた2台を所有することで、カーライフはもっと豊かになる。ということで、自分のライフスタイルや好みに合わせた理想の2台の組み合わせを、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに!