カー・オブ・ザ・イヤー選考委員でもある諸星陽一さんが選んだ「理想の2台持ち」は、ロータス・セブンと三菱エクリプスクロスPHEVという対照的な2台の組み合わせだ。
TEXT●諸星陽一(MOROHOSHI Yoichi)
夏は暑く、冬は寒い。だけど軽くてシンプルなロータス・セブンが大好き
2020年の12月24日、クリスマスイブの夜に自宅の前で「ミュウミュウ」という子猫の鳴き声がして、探してみると手のひらに乗るくらいの子猫が震えていました。うちにはすでにくるみちゃんというメスの成猫がいるのですが、寒空に子猫をそのままにすることはできず、とりあえず保護して今は理想の2頭持ちです。
という話はさておき。2台のクルマを持つというのは本当に理想だと思います。だいたいクルマ好きが欲しがるクルマなんてものは、普段使いには不便極まりないものと相場が決まっています。それがスポーツカーであったり、キャンピングカーであったり、レーシングカートを運ぶトランスポーターであったり...といった様子です。
私の場合、その最右翼とも言えるスポーツカー、それも2人しか乗れない、雨が降ると悲惨なことになる、エアコンは装備しないので夏は暑い、ヒーターは一応付くけどあまり信用できない...そう、以前にも書いたのですが私はスーパーセブンが大好きなのです。
タイヤは4つ付いていますが、バイクの延長線上にあるようなクルマですから、ちょっとスーパーまで買い物に行ってくるということすら大変で、このクルマ1台だと「クルマで出かけるのは面倒臭いから自転車で行く」となってしまうような乗り物です。
私が好きなスーパーセブンは、コスワースBDRやロータスツインカムを積むようなハイパワーモデルではなく、OHVの標準的なエンジンを積むケントモデルと言われるものです。
とにかく軽い。エンジンはもとよりあらゆるシステムが単純で、クルマの構造がひと目でわかるようなメカニカルなものであることも大きな魅力です。
とはいえ、シンプルなモデルであっても、スーパーセブンはやはりエキゾーストノートも含めて少々ノイジーなクルマ(660ccの軽自動車用エンジンを積んだ160は比較的静かだが)で、夜中や早朝にクルマを引き出すのは気が引ける。住宅地でこれ1台だけを持つというのは、かなり無理があります。
さて、セブンに掛け合わせるクルマの理想は? と考えたときに引き出した答えが三菱エクリプスクロスPHEVでした。
最初は自分の住んでいる場所を元に、5ナンバー車が便利でいいよなあ...と思ったのですが、そもそもここで2台持ちをすることは不可能で、2台持ちをするなら引っ越すわけです。それならば、もう少し道幅の広い場所に行くので考えを少し変えました。
エコノミーでもエコロジーでもないスーパーセブンに組み合わせるのだから、少しでもエコなクルマということで、エクリプスクロスPHEVを選びました。
エクリプスクロスPHEVはPHEVというネーミングからもわかるように充電が可能なハイブリッドです。充電ができることも大きな魅力ですが、回生ブレーキを使えることも大きな魅力です。
従来のクルマは、ブレーキによりエネルギーを捨てていたわけですが、PHEV(PHV)やHEVでは運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに蓄積します。
PHEVはHEVよりもバッテリーが大きく、貯めておける電力も大きくなります。自宅に普通充電器を装備し、スーパーセブンとPHEVの2台持ち、このコントラストの効いたギャップの大きさがとても素敵だと思います。
さて、問題は2頭持ちのほうです...。年明けまでに解決するかどうか...。
(編注:この原稿は12月26日に執筆されたものです)
『理想の2台持ち』は毎日更新です!
1台でなんでもこなすよりも、目的を分けた2台を所有することで、カーライフはもっと豊かになる。ということで、自分のライフスタイルや好みに合わせた理想の2台の組み合わせを、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに!