世良耕太さんが選んだ「理想の2台持ち」は、ホンダN-ONEの6MTモデルと、マイナーチェンジを受けたばかりのマツダCX-5(ディーゼルモデル)という組み合わせ。最近試乗したモデルから選んだ2台だが、「なかなか良い組み合わせ」と自信アリだ。
TEXT●世良耕太(SERA Kota)
市街地を流すだけでかなり楽しいホンダN-ONE RS
「オマエそれ最近乗ったクルマから安直に選んだだろう」と言われればそのとおりで、反論の余地はない。でもこの2台、結構イケル組み合わせだと思っている。大と小の組み合としてみた。
「小」は最近モデルチェンジしたばかりのN-ONEで、スーパーマーケットに買い物に行くとか、高速道路を使ってもドア・トゥ・ドアで1時間半程度の移動で使うクルマに想定している。
N-ONEには自然吸気(NA)エンジン仕様とターボエンジン仕様があり、前者はCVTのみの設定。後者にはCVTに加えて6速MTの設定がある。NA+CVTとターボ+CVT、ターボ+6MTの3種すべてに触れたが、個人的にはNA+CVTとターボ+6MTの選択に迷う。意外だったのは、NAエンジンが充分に力強いことだ。エンジン(とCVT)の回転がワーンと唸って騒々しいということがない。「これならNAで充分」と感じた。
ターボ+6MTには操る楽しさがある。MTのトランスミッションケースはN-VAN譲りだが、中に収めるギヤセットはS660と同じで、1速〜5速をクロスさせ、6速を高速巡航ギヤに設定している。
シフトノブ本体はS2000のメタル部分を流用。これに専用デザインの本革を巻いた。ただのマニュアルトランスミッションではなく、操作することを積極的に楽しむためのツールであることがわかる。
実際にそのとおりで、市街地を流すだけで充分に楽しい。いや、かなり楽しい。理想の2台を選択する場合、1台はスポーツカーにし、もう1台は実用性を重視したモデルとする考えもあるだろう。今回はちょっとひねりを加え、日常の買い物クルマにスポーツの要素も持たせることにした。だから、N-OENはターボ+6MTを選ぶ。
「大」はマツダCX-5のディーゼルだ。こちらは1名乗車で100km以上移動する場合、あるいは多人数乗車で長時間移動する場合などで使う想定である。CX-5は直近で行なった商品改良でSKYACTIV-D 2.2の2.2L直4ディーゼルエンジンの出力が向上(140kW→147kW)、6速ATは変速制御を変更している。
実は、SKYACTIV-D 2.2搭載車のみアクセルペダルの反力を見直している。従来より重くしたのだが、重くするのが目的ではなく、車速のコントロールをしやすくするのが狙いだ。加減速の際の筋肉の動きを考えながら、ペダルの重さを考えたのがポイントである。
運転してみると不思議なもので、アクセルペダルを「踏んでいる」実感はなく、足そのものがトルクをコントロールするアクチュエーターになったかのような錯覚を覚える。クルマの運転が楽だし、すこぶる楽しい(結局、運転する自分のことが最優先)。
安直(?)に選んだ割には、なかなかいい組み合わせだと思っている。
『理想の2台持ち』は毎日更新です!
1台でなんでもこなすよりも、目的を分けた2台を所有することで、カーライフはもっと豊かになる。ということで、自分のライフスタイルや好みに合わせた理想の2台の組み合わせを、自動車評論家・業界関係者に選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに!