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BASF:電池、プラスチックのリサイクルと再生可能原料・サーキュラー・エコノミーの新しいプログラムを発表


BASFは12月10日、第一回デジタルリサーチプレスカンファレンスにて、新しいサーキュラー・エコノミープログラムを発表した。2030 年までに、サーキュラー・エコノミー(循環型経済)向けのソリューションでの売上高を倍増させ、170 億ユーロにすることを目指す。

 この達成のために、BASFは循環型原料、材料の新しい循環、新しいビジネスモデルの3つの活動分野に注力する。




 サーキュラー・エコノミーは、廃棄物を減らし、製品を再利用し、資源を回収することを目的としている。それに向け2025年時点で、BASFは、化石原料を年間25万トンのリサイクルおよび廃棄物ベースの原材料に置き換えることを目指す。




 取締役会会長兼最高技術責任者(CTO)、Dr.マーティン・ブルーダーミュラー氏は、社会と政治の将来にとって重要な課題であるサーキュラー・エコノミーについて、以下の様に述べた。




「サーキュラー・エコノミーへの転換のためのソリューションを提供できる企業には、決定的な競争力があります。サーキュラー・エコノミーへの道は厳しく、多大な努力が必要ですが、我々はコミットメントと創造性をもって、この課題に取り組み、革新的な強さを見せることができます」




 また、ブルーダーミュラー氏とBASFの研究開発者は、カンファレンスでBASFの研究パイプラインの例を発表した。

バッテリーのリサイクル:e-モビリティでのサーキュラー・エコノミーの確立

 専門家によると、2030年には、150万トン以上ものバッテリーセルを処分する必要がある。セルや正極活物質、およびその前駆体の製造からのスクラップもある。これらには、リチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタル(希少金属)が含まれ、電池のリサイクルにより、これらの原料を再生・再処理することができる。




 リチウムイオン電池をリサイクルするには、まず電池を解体して破砕し、「黒い塊(blackmass)」と呼ばれる物質を作る。現在、さまざまな化学プロセスを用いて、黒い塊から原材料を回収することが可能。これにより、天然の鉱床から採掘する場合と比較して、電池金属のカーボンフットプリントが少なくとも25%削減される。




 しかし、既存の化学プロセスでは原料の回収率が非常に低いにもかかわらず、非常にエネルギーを消費するか、廃棄を必要とする大量の塩を生成していた。BASFは、電池から高純度のリチウムを高収率で回収することができ、廃棄物を減らし、既存のプロセスと比較して二酸化炭素排出量をさらに削減することができる、多くの利点を備えた新しいプロセスを現在開発している。




 このようにして、BASFは、持続可能なヨーロッパの電池バリューチェーンを確立するという欧州委員会の目標をサポートしている。BASFのリサイクルプロセスは、ヨーロッパにおいて電池のサーキュラー・エコノミーを構築する上で、重要な役割を果たすことができる。

プラスチックリサイクルの質を改善させる添加剤

 プラスチックについても、BASFの研究開発者たちは、より効率的な材料リサイクルの確立に取り組んでいる。コンサルティング会社Conversio(オーストラリア)の調査によると、年間約2億5000万トンのプラスチック廃棄物が世界で発生し、このうち約20%だけがリサイクルされ、循環している。機械的にリサイクルするマテリアルリサイクルのプラントでは、廃プラスチックを破砕・溶融して再資源化し、製品化している。




 しかしながら、この材料を使用するには、さらなる処理が必要。理由のひとつは、繰り返し使用し、加工すると、ポリマー鎖に損傷を与え、プラスチックが脆くなったり、黄色くなることが多いから。もうひとつの理由は、プラスチック廃棄物が、互いに分離できない、異なる種類のプラスチックの混合物で構成されていることが多いから。例えば、飲料用ペットボトルはポリエチレンテレフタレート(PET)製であり、ボトルキャップは通常ポリプロピレン(PP)製。このような非相溶性プラスチックの混合物は、品質に著しい悪影響を及ぼす。




 BASFの研究開発者は、リサイクルの質を安定させ、改善するために、様々なプラスチック添加剤パッケージを開発することによって、これらの問題に取り組んできた。例えば、相溶化剤は、ポリマー混合物の機械的特性を向上させる。これにより、機械的にリサイクルされたプラスチックとそれを原料とした製品の品質が向上する。

プラスチック廃棄物は化学産業の新しい原料となる

 毎年、世界中で2億トンのプラスチック廃棄物がリサイクルされない状況にある。機械的にリサイクルするマテリアルリサイクルを補完する重要なものとして、ケミカルリサイクルがある。BASFはプラスチックのためのサーキュラー・エコノミーを確立するために、これまでとは異なるアプローチをとっている。




 ケミカルリサイクルは、例えばプラスチック廃棄物を熱分解と呼ばれる熱化学プロセスによって二次原料に変換する。これにより熱分解油ができ、化学産業で新製品を製造するために使用できる。このプロセスの利点は、汚れたプラスチックが混ざった廃棄物もリサイクルできること。また、熱分解油を原料とした製品は従来品と同等の品質で、要求の厳しい用途にも対応できる。これは、自動車部品、医療機器、さらには食品包装でさえ、この種のプラスチック廃棄物から作ることができることを意味する。




 この有望な技術を発展させるために、BASFはChem Cyclingプロジェクトを2018年に立ち上げた。BASFの研究開発者は、パートナーと共に、混合プラスチック廃棄物から熱分解油を製造するプロセスのさらなる開発と改良に取り組んでいる。新しいプロセスで利用される技術に適した触媒を開発することは、サーキュラー・エコノミープログラムの重要な側面であり、これらの触媒は、プラスチック廃棄物の組成が変化しても、常に高純度の熱分解油を生成することを目的としている。




 すでにBASFのノルウェーのパートナーであるQuantafuelの熱分解工場には第一世代の生成触媒が組み込まれている。両社の科学者は、開発作業を遂行するために、ドイツのハイデルベルクにあるBASFの子会社のhteとBASFのスーパーコンピュータの計算能力、専門知識、および高処理能力を活用している。

ランブータンプログラム:オーガニック原料と持続可能な調達

 再生可能な原材料は、BASFのサーキュラー・エコノミープログラムのもう一つの柱である。BASFは、持続可能な資源からの、再生可能な原材料の生産量をさらに増やす計画だ。




 その一例が、植物のこれまで使われていなかった部分から高品質の化粧品の有効成分を抽出するランブータンプログラムである。化粧品業界の顧客のため、BASFの研究開発者は、樹皮、葉、根、種子、果物など、自然界の興味深い有効成分を常に探し、毎年何千ものサンプルを研究している。




 このようにして、ライチの木の近縁種であるランブータンの木(Nepheliumlappaceum)に含まれる物質に気づいた。BASFの研究開発者たちは、この木の葉の水性抽出物が、さまざまなヒト皮膚遺伝子を活性化し、コラーゲンの生成を促進することを発見した。また、果皮や実の種に含まれる有効成分が肌の潤いを高め、毛根を活性化させる効果もある。BASFは、みずみずしい果実だけでなく、果皮や葉、種子も利用する方法を見つけ、植物のいかなる部分も無駄にしないようにした。




 ランブータンプログラムを通じて化粧品原料を持続的に調達するために、BASFはベトナムの現地パートナーと共に、社会的、環境的にも責任が持てるサプライチェーンを構築し、ベトナムでオーガニック認証を受けた最初のふたつのランブータン園での栽培を開始した。このプログラムは、労働者が平均以上の収入を得ることを可能にし、健康保険を提供し、より安全な労働条件を確保する。これは、このスーパーフルーツが消費者だけでなく、労働者や地域環境にも利益をもたらすことを意味している。

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