12月21日、日産自動車は同社が発起人として参画している「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に基づき、株式会社チノーおよびセイコーNPC株式会社が開発した複数の製品に対して、日産が開発した熱画像センサー技術の使用を無償で許諾すると発表した。
約2000画素の解像度と-20℃から300℃までの広い感知領域を持つ低価格な熱画像センサーの技術を無償で提供
日産は、同社が開発した約2000画素の解像度と-20℃から300℃までの広い感知領域を持つ低価格な熱画像センサーの技術を、複数の企業にライセンス提供している。そのなかで、チノーは同技術を活用し、体表面温度の高い状態を皮膚に触れることなく迅速に測定できる非接触型体表面温度測定器を開発し、製造、販売を行っている。
また、セイコーNPCは、株式会社IHIエアロスペースより同技術の再実施許諾を受けてセンサーを開発しており、そのセンサーは複数の会社の非接触型体表面温度測定器に採用されている。
これらの会社で製造、販売されている非接触型体表面温度測定器は、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、医療機関に加えて、学校や空港などの入場管理の必要がある施設において、感染予防対策の一環として有効に活用されている。そのため、日産はこれらの製品に対して、「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」に基づき、対策支援活用分に関するライセンス技術の権利行使を行なわず、いっさいの対価や補償を求めないことを決定した。
「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」とは、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症まん延の終結宣言を行う日までの間、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、封じ込めおよび治療をはじめとする、新型コロナウイルス感染症のまん延終結を目的とした行為に対して、宣言者が保有する特許権・実用新案権・意匠権・著作権の権利行使を行なわず、いっさいの対価や補償を求めないとするもの。
日産は、新型コロナウイルス感染拡大の抑制と医療現場への支援につながる製品に対しては、同宣言に基づき、今後も積極的にライセンス供与を行っていく方針だ。