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【海外技術情報】中国企業の動向:ダイムラーのハイブリッド用高効率パワートレインシステムの裏に存在する中国企業


本連載の前回では、長城汽車から分離独立したSVOLTがドイツにバッテリー工場を新設する、という話題をお届けした。今回は、中国企業の完成車メーカーに関する動向として、先月メルセデス・ベンツAGが発表したリリースを要約してご紹介しよう。


TEXT:川島礼二郎(KAWASHIMA Reijiro)

 2020年11月20日、メルセデス・ベンツAGとボルボカーズのそれぞれの親会社であるダイムラーAGと吉利控股集団とが、次世代ハイブリッド自動車向けの高効率パワートレインシステムの開発に協力する計画を発表した。両社がハイブリッドパワートレインソリューションに関して協力することにより、スケールメリットを生み出し国際競争力を強化することが期待される、という。協力分野としては、エンジニアリング、調達、工業化、効率化対策があげられている。




 両グループともに、自動車産業の継続的変革の中心は効率的なドライブトレイン技術である、と見なしており、排出ガスのない自動車への移行を加速しようとしている。両グループは、ヨーロッパと中国企業の施設で生産されるハイブリッド用次世代ガソリンエンジンで協力。メルセデス・ベンツAGと、ボルボカーズを含む中国のパートナー(吉利控股グループ)で使用される。中国からのエンジンの輸出もオプションとして考えられている。




 ダイムラーAGとメルセデス・ベンツAGの取締役会メンバーのマーカス・シェーファー氏は語る。


「私たちの目標は引き続きCO₂中立性です。私達は2039年までに完全にカーボンニュートラルな乗用車ラインナップを完成させることを目指しています。その結果として生じるパワートレインポートフォリオの電化は、ドライブトレイン戦略において不可欠です。


 この目的を達成するため私達は、ポートフォリオを体系的に転換して、2030年までに乗用車売上の半分以上がプラグインハイブリッドまたは純粋な電気自動車で構成されるようにします。


 それを実現するため、ボルボのICEユニットと吉利とともに、中国と世界における高効率ドライブトレインシステム分野での相乗効果を拡大します。メルセデス・ベンツでは、新しく設立されたユニットであるメルセデス・ベンツドライブシステムがプロジェクトの先頭に立ち、コスト効率を高めて行きます」




 また、ダイムラーの中国における活動拠点となっているDaimler Greater Chinaを担当しているダイムラーAGの取締役会メンバーは「ダイムラーは、強力なエンジニアリング能力と業界をリードするパートナーとの協力により、グローバルな競争力を維持および強化することに注力しています。過去数年間、中国の自動車産業の発展には強い勢いがあり、中国はイノベーション、効率、規模の経済において、今後も大きな可能性を提供し続けると信じられます。吉利控股集団とのより幅広い協力により、世界最大の自動車市場での足跡を拡大するだけでなく、将来の世界的な業界バリューチェーンに沿った地位を強化して行きます」と語っている。




 一方で、吉利控股集団社長であり吉利汽車集団社長兼最高経営責任者の安聡慧氏のコメントも発表された。




「クリーンで高効率のパワートレインは当社の競争力の核となるものです。それを用いたプレミアム電化車両の開発に注力します。このプロジェクトは、クリーンで高効率なパワートレインとハイブリッドドライブシステム、それらの適用による規模の経済の利用、それに加えて的確な研究開発投資の必要性を反映しています。自動車が進化して行く中で業界トップを維持するために、パートナーと共同で次世代の先端技術を開発して行きます」




 吉利控股集団と始める新しいプロジェクトは、メルセデス・ベンツの将来に向けた包括的なドライブトレイン戦略の一部である。メルセデス・ベンツは「Ambition2039」の一環として「エレクトリックファースト」を推進しており、すべてのモデルバリエーションと車種の電動化により、カーボンニュートラルへの道を明確にしている。




 世界中の多様な市場要件と顧客ニーズを満たすために、高効率の燃焼エンジンが求められている。メルセデス・ベンツは、グローバル市場での技術的リーダーシップを維持しながら、ドライブシステムの変革を迅速かつ効率的に推進することに引き続き取り組んで行く。

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