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Queen of the Show|ショーの女王と称されたMVアグスタ・スーパーベローチェ800、走りも死角なし!


1965年に世界初となる4スト並列3気筒GPレーサーを投入したMVアグスタ。その伝説的なマシンをモチーフに作り上げられたのが、同じく直3エンジンを搭載するスーパーベローチェ800だ。世界限定300台の「セリエオロ」(3,520,000円)に続いてSTDグレードの生産が開始され、いよいよ日本に上陸した。ベースとなっているのは直3スーパースポーツのF3 800。ネオクラの皮を被った「ショーの女王」の走りやいかに。




REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


問い合わせ●MVアグスタジャパン(https://www.mv-agusta.jp/)


取材協力●MVアグスタ東京

MVアグスタ・スーパーベローチェ800……2,497,000円~

往年の名車を模した、いわゆるネオクラシックというジャンルが世界的にブームとなっている。エイドリアン・モートン率いるCRCデザインチームは、F3 800をベースに見た目はクラシカルでありながらスーパースポーツならではの走りに妥協しないという、全く新しい発想のニューモデルを2018年のEICMAで発表した。それがスーパーベローチェ800だ。

試乗車はアゴレッド×アゴシルバーと名付けられたMVアグスタらしい2トーンカラー。アゴとはもちろん、MVアグスタで数多くの勝利を挙げた往年の名ライダー、ジャコモ・アゴスティーニ氏の愛称だ。
スイングアームから伸びるステーにナンバープレートをマウントするという手法は、同社のブルターレやドラッグスターなどと同様。この赤×銀のほかにメタリックカーボンブラック×メタリックダークグレーを用意する。こちらの価格は¥2,563,000だ。

世界的にも珍しい逆回転クランク採用の798cc水冷並列3気筒エンジンを、ALS鋼管トレリスフレームに搭載するスーパースポーツがF3 800(2,222,000円)。そのパワーユニットとシャシーをベースにして作られたのがスーパーベローチェ800だ。最高出力148hp(150.1ps)/13,000rpmや最大トルク88Nm/10,600rpmなど、エンジンの基本的なスペックはF3 800と共通だが、低中回転域のトルク特性は街乗り向きに改善されているという。また、シート高は830mmで同じだが、セパレートハンドルの位置はわずかながら上方かつ手前にあり、そこからも公道走行への配慮が伺える。

特徴的なALSスチールパイプトレリスフレームや足回りなど、基本骨格はベースとなったF3 800から転用している。
タンクはF3 800とほぼ同一の造型だが、そう感じさせないデザイン力には脱帽だ。
F3 800には、世界スーパースポーツ選手権(WSS)に参戦しているF3 675という兄弟モデルが存在し、この2台のシャシーは共通。そのため、F3をベースに作られたスーパーベローチェ800は600ccのスーパースポーツ並みにコンパクトなのだ。
シート高は830mmを公称。ホンダのCBR600RRの820mmとほぼ同等、かつ3気筒&スチールパイプフレームによって車体がスリムなので、足着き性は良好と言える。

初めて実車を目にし、しばし呆然とする。画像からも類い希な美しさは十分に伝わってくるが、流麗な面構成は直射日光下でより際立ち、そのオーラは圧倒的だ。いち早く乗りたい気持ちよりも眺めていたいという欲求が勝ったのは久しぶりと言っていい。




存在感はリッタークラスのスーパースポーツ以上だが、ライディングポジションは600cc並みにコンパクトであり、ほどよく絞られたセパレートハンドルと、下半身のスリムさがマシンとの一体感を高めている。バーエンドに設けられたミラーは視線の移動量こそ多いものの、後方確認という本来の目的ではカウルマウントのF3 800よりもはるかに上回る。




ライディングモードはレスポンスのいい順にレース、スポーツ、レインとなっており、これ以外にスロットルレスポンスやエンブレ、トラコンなどを任意に設定できるカスタムモードを用意する。798ccから148hp(150.1ps)という、ヤマハの初代YZF-R1並みの最高出力を発揮する水冷並列3気筒エンジンは、F3 800よりも低中回転域の特性が改善されているとはいえ、同系列のパワーユニットを搭載するドラッグスター800RR(141.9ps)よりも市街地ではわずかにトルクが薄いと感じる。だが、車体の軽さもあって不足はなく、レインモードでもキビキビと走ることができる。

本領を発揮するのは7,000rpm付近から上の領域、ローなら70km/hあたりからで、粒立った脈動感と排気音が急速に収斂し、一気に加速感が高まるのだ。これはどのライディングモードでも同様であり、その豹変ぶりはさながら2ストのレーサーレプリカのようだ。あるいは「カムに乗る」という表現を使ってもいいだろう。官能的なレーシングサウンドもこの直3エンジンの美点であり、もっと回してみたい! などと本能的に高ぶってしまうが、ローでも最高出力発生回転数の13,000rpmまで引っ張ると法定速度を大きく超えてしまうので、エンジン性能をフルに堪能したいならクローズドコースへ持ち込むしかない。




なお、逆回転クランクシャフトは「エンブレが弱い」と巷で言われているようだが、決して2ストほどではなく、スロットルのオンオフで発生するピッチングが少ないからだと思われる。旋回中、スロットル開け始めにフロントタイヤの面圧が上がるような感触があり、最新のMotoGPマシン全車がこれを採用しているのもうなずける。




ハンドリングは、拍子抜けするほど取っ付きやすく、しかも旋回力に優れている。F3 800の兄弟モデルF3 675を含むミドルクラスのスーパースポーツは、サーキットでの速さを追求するあまり街中で乗りづらいモデルもあるが、スーパーベローチェ800にそうした雰囲気は皆無。前後のサスペンションは初期から作動性が良く、軽い入力でもナチュラルにピッチングが発生して向きを変えていく。フレームの剛性感から限界域の高さが伝わってくるものの、日常域での扱いやすさも決しておろそかにしていない。この美しいスタイルに飛び付いたどんなライダーをも許容しようというMVアグスタの思いやりが見え隠れする。




ハンドルをフルロックまで切るとタンクに親指を挟まれやすいのと、クラッチレバーの操作力が重いことがネックだが、気になったのはその程度だ。スマホとBluetooth接続できる5インチTFTカラーディスプレイは驚くほど多機能であり、万が一車両が盗まれた際にはリアルタイムで位置が分かるというシステムまで備えている。ネオクラ・スーパースポーツという新ジャンルを開拓した記念すべき1台と言えるだろう。

逆回転クランクシャフトやラジアルバルブなどを採用する798cc水冷並列3気筒エンジン。最高出力や最大トルクなどはベースとなったF3 800と共通だ。4種類のライディングモードや8段階のトラクションコントロール、スロットルレスポンス、エンジンブレーキなども任意に変更可能。
アップ&ダウンとも対応するオートシフターを採用。走行中はほぼクラッチレバー操作が不要なほどスムーズだ。
フロントブレーキはブレンボのモノブロックキャリパーとφ320mmフローティングディスクのセット。フロントフェンダーのデザインはF3 800とは異なる。
前後ホイールはF3 800と共通デザイン。標準装着タイヤはピレリのディアブロロッソ・コルサⅡで、指定空気圧は前後とも2.3barと低めだ。リヤブレーキはブレンボ製対向式2ピストンキャリパーとφ220mmソリッドディスクの組み合わせ。
マルゾッキ製のφ43mm倒立式フロントフォークはフルアジャスタブルで、右が伸び側、左側(写真)が圧側減衰力を担当する。ストローク量は125mmだ。
リヤショックはザックス製で、ホイールトラベル量は123mm。ダブルナット式のプリロードはショック単体にしないとフックレンチで回せないためか、取扱説明書には伸縮両減衰力の調整方法のみが記載されている。
やや絞り角の大きなセパレートハンドルを採用。そのエンド部に丸型のバックミラーを備える。クラッチはワイヤー作動だ。右側スイッチのアイコンからも分かるように、クルーズコントロールも導入する。
5インチTFTカラーディスプレイは、Bluetoothを介してスマホと接続可能。電話やミュージックプレーヤーの操作をはじめ、各種メッセージやナビゲーションを表示させたり、盗難に遭ったときには位置データをリアルタイムで入手できるなど、最先端の機能が盛り込まれている。
特徴的な丸型ヘッドライトを含め、灯火類の光源はLEDで統一。なお、シールド上部にあるスポイラー状のパーツはウインドシールドデフレクターと名付けられている。
モチーフとなった1960年代後半のWGPレーサー〝MVアグスタ・500GP〟が燃料タンクをレザーストラップで固定していたことから、それをリアルレザーで再現している。
遠目にはシングルシートに見える巧みなデザイン。
タンデムシートはキーロックで、さらにライダーシートはクイックファスナーで取り外すことが可能。燃料タンクの一部がシート下まで伸びていることが分かる。

スーパーベローチェ800 主要諸元

エンジン形式:4ストローク DOHC 12バルブ 3気筒 12バルブ


総排気量:798cc


圧縮比:13.3:1


始動方法:エレクトリック


ボア×ストローク:79.0mm×54.3mm


最高出力:108kW(148hp)/13,000rpm


最大トルク:88Nm(8.97kgm)/10,600rpm


エンジンマネージメント:


 MVICS イグニッションシステム(MOTOR &VEHICLE INTEGRATED CONTROL SYSTEM)


 4モード(スポーツ・レース・レイン・カスタム)


 8段階調節トラクションコントロールシステム


 EAS(クイックシフター アップ・ダウン)


ミッション:カセット式6速


クラッチ:湿式多板スリッパークラッチ




全長×全幅:2,030mm×730mm


ホイールベース:1,380mm


シート高:830mm


最低地上高:120mm


タンク容量:16.5L


車両重量:173kg(乾燥重量)




フレーム:ALSスチールパイプ ・トレリスフレーム


スイングアーム:アルミニウム ・シングルサイドスイングアーム


フロントサスペンション:MARZOCCHI φ43mm 倒立フォーク


リヤサスペンション:SACHS プログレッシブ シングルショック


ブレーキキャリパー(前/後):brembo 4ピストン ラジアルマウント/brembo 2ピストン


ブレーキディスク(前/後):φ320mmフローティング ダブル/φ220mmシングル




ホイール(前/後):アルミニウム鋳造 3.50″×17″ /5.50″×17″


タイヤ(前/後):120/70-17 / 180/55-17
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