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スバル・レヴォーグ 公道試乗でわかった! 新開発1.8ℓリーンバーンエンジンもアイサイトXも「じつに奥の深いクルマ」と感じさせてくれる出来の良さ


スバル新型レヴォーグをようやく公道で試乗することができた。高速道路、郊外路、アップダウンのあるワイディング、そして首都高の渋滞路とあらゆるシーンをドライブできるように設定されたコースでレヴォーグの真価の一端を見ることができた。果たしてその完成度は?


TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)PHOTO◎SUBARU

GT-HでアイサイトXとワインディングの走りを試す

SUBARU航空宇宙カンパニーの宇都宮製作所でのカット。後方左が「富士重工式FA-200-180型」いわゆる「エアロスバル」である。右側は「富士ベル式205B」ヘリコプターだ。

これまでテストコースやサーキットで新型レヴォーグに触れる機会があった。技術者からレクチャーを受けながら周回路を走ったり、平滑な路面でのパイロンスラロームを行なったり、ショートサーキットを走ったりした。今回は初めて公道で新型レヴォーグに触れることができた。慣れ親しんだ環境で触れたからこそ気づいた点が多々あった。1泊2日のツーリングで感じたことを順に紹介していこう。

出発地は宇都宮(栃木県)だった。ここには、株式会社SUBARU航空宇宙カンパニーの宇都宮製作所がある。4人乗り軽飛行機のエアロスバルやヘリコプターの富士ベル式205B、はたまた対戦車ヘリコプターのAH-1S(コブラ)を前に、航空宇宙カンパニーの技術者は言った。

「EyeSight(アイサイト)はもともと航空と一緒にやっていたんですよ。自動着艦のカメラの開発をまずやっていた。着艦するときにカメラで見て、測距して着地する。その技術をアイサイトに展開し、我々のほうでは無人機の着艦システムに展開しました。レヴォーグではディスプレイを作るときに協力しました。航空機のパイロットは意外に短気なので、直感的に認識してすぐに判断しないといけない。それがスバルに伝わる安全のための認識のしやすさ。それがレヴォーグにも生きていたらいいなと思います」

航空宇宙カンパニー側は、主にコストの面でスバル・オートモーティブ・ディビジョンから学ぶことが多いという。そんな両部門のシナジー効果について聞きながら、レヴォーグに乗り込んだ。最初のスティントは、宇都宮グランドホテル〜太田強戸パーキングエリア(北関東道)間の約67kmだ。最初の約10kmは一般道である。

全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm ホイールベース:2670mm

最低地上高:145mm 最小回転半径:5.5m
トレッド:F1550mm R1545mm

試乗車はGT-H EXだった。「GT-H」は3グレードあるうちの中間で、ベースのGTに対してハンズフリーオープン・パワーリヤゲートやアクセスキー対応運転席シートポジションメモリー機能などが追加される。「EX」は高度運転支援システムのアイサイトX搭載車となり、12.3インチフル液晶メーターと11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムなどをセットで装備する。電子制御ダンパーやドライブモードセレクトを備えるのは、最上級のSTI Sportだ。

「静かだなぁ、このクルマ」というのが第一印象だった。エンジン音やロードノイズは耳に届くものの、エンジンが動いている、あるいは道路の粗さを伝える情報として届くのみで運転を邪魔しないし、同乗者との会話を邪魔しない。その印象は高速道路に乗ってからも変わらなかった。ちなみに、100km/h走行時のエンジン回転数は約1700rpmである。

交差点から発進して巡航スピードに到達するまで、高速道路の料金所を通過して本線に合流するまで、いずれの場合の加速時も、期待どおりに力が沸き上がってくる。アクセルペダルの踏み込みに対する反応が鈍くてイライラすることはない。強めの加速を欲した際は少し踏み増せば期待に応えてくれる。その際、エンジン回転が一気に上がって騒々しくなるということがない。

感心したのはブレーキフィールだ。ペダルに軽くタッチした瞬間にしっかりした制動力を返してくれる。ストロークではなく圧で制動力をコントロールする感覚だ。少し踏むだけでギュッと締め付けるように減速するが、神経質さは一切なく頼もしいばかりだ。いっぽうで、電動パワーステアリングはセンターの座りが甘いように感じられた。好みの範ちゅうだろうが、もう少ししっかり感がほしい。

ステアリングホイール左側はインフォテインメントのコントロールスイッチが並ぶ
アイサイトXとドライブモードセレクト(GT-Hの場合は「S」と「I」の切替)のコントロールが右側

高速道路に入り、さっそくアイサイトXを起動した。ステアリング右側に並んでいるスイッチ類の右下のスイッチを押し、中央のトグルスイッチで車速をセットすればオーケー。ハンズオン(システムがアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシスト)で使用できる場合はメーターの表示が緑になる。この機能、すなわちツーリングアシストはアイサイトXの専用ではないため、EXグレードを選択しなくても利用することは可能だ。

アクティブレーンチェンジアシストはアイサイトXの専用機能である。70km/h〜120km/hの範囲で作動させることが可能だ。メーター内に隣接車線が表示されている場合(ただし、白い扇型のマークが表示されている場合は不可)、レーンチェンジする車線方向にウインカーレバーを深く下げると、アシストを開始する。




これは病みつきになる。まず、ウインカーレバーを下げてから作動開始までにもたもたしないのがいい。ステアリングを保舵している必要はあるが、車線変更の操作自体はクルマ側が行なってくれる。その際のクルマの動きがなんともスムーズで、悔しいが、自分でレーンチェンジするより上手だ。

太田強戸PAまではアクティブレーンチェンジアシストを繰り返し試しながら(そして、すっかりこの機能のファンになりながら)ドライブした。PAの直前になって慌てふためいたのは、ツーリングアシストのキャンセルの仕方がわからなかったからだ。他メーカーにあるようなCANCEL専用スイッチは見あたらない(右上のスイッチを押すとキャンセルされる)。宇都宮〜太田強戸PA間の燃費は15.7km/ℓだった。

あまりにクルマが静かだったので、ドライバーチェンジした第2スティント、太田強戸PA〜横川サービスエリア(上信越道)間は後席で過ごした。前席ほどではないにしても、静粛性は高く、足元や頭上の空間に余裕があり快適性は高い。後ろめたさをともなわずに、後席に乗員を案内できる。後輪からの入力は上手に減衰されるため、乗り心地で不満が漏れることもないだろう。

軽井沢へ登るワインディングでは激しい雨に見舞われたが、4WDへの信頼で安心してドライブできた。

リニアトロニックCVTのギヤ比:4.065〜0.502である。最終ギヤ比は3.900。レシオカバレッジは8.098へと大きく広がった。ちなみに、前型1.6ℓGTのリニアトロニックは3.581〜0.570でレシオカバレッジは6.282だった 最終ギヤ比は3.900。ファイナルギヤレシオは同一だ。

横川SAで運転席に戻り、軽井沢の万平ホテルに針路を取った。碓氷軽井沢インターチェンジから国道18号のバイパスに向かうまでは、曲率の比較的大きなカーブが連続する上り勾配が続く。さらに、新型レヴォーグのポテンシャルを引き出すには好都合なことに(?)、強い雨が降ってきた。路面はフルウェットであり、雨粒は容赦なくフロントガラスを叩く。




実際に4輪駆動として走っていたかどうかは別にして、「4WDである」ことが安心感につながるため、フルウェット(しかも低温)のワインディングに対しても神経質になることはなく、ドライビングを楽しんだ。ステアリングを握る手や、シートに接する尻から入るインフォメーションが「安心して運転していいよ」と伝えてくる。路面状態を問わず安心して運転できるのは、レヴォーグの強みだ。太田強戸PA〜万平ホテル間の燃費は13.3km/ℓだった。

ワインディングでも高速道路でもエンジンにトルクがあるからアクセルを踏み込んでもエンジン回転数だけが先に上がっていくCVTの悪癖を感じることがない。

STI Sport EXのドライブモードセレクトを試す

2日目の最初の相棒はSTI Sport EXだった。朝の冷えた空気に包まれた万平ホテルを出て、浅間山を間近に望む鬼押出し園に向かう。ほとんどが上り勾配で、途中、タイトなワインディングロードが待ち構えている。STI Sportは電子制御ダンパーを備えており、その特性をドライブモードセレクトで切り換えることが可能だ。ドライブモードセレクトは「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビジュアル」の5種類があり、ノーマルがデフォルトだ。

キャラ変は著しいし、気分に応じて切り換えるだけの価値はある。ドライブモードセレクトで変更できるパラメーターは電子制御サスペンションだけでなく、パワーユニット(高回転側を多用する制御)、ステアリング(手応えの強弱切り替え)、AWD(スポーツではアクセルオフでも後輪への駆動力を保持)、EyeSight(全車速追従クルーズコントロールの加速特性切り替え)、エアコン(マイルドとノーマルの切り替え)の6種類を2〜4段階に切り換えることが可能だ。

モード切り替えを行ないながら走ったが、走るうちに好みが出てくる。ステアリングはスポーツが好みだけれども、パワーユニットはI(デフォルト。最もおとなしい)がよく、サスペンションはノーマルがいいなどといった具合だ。そんなときはインディビジュアルで設定すればいい。ステアリング右側にある★マークのスイッチは、インディビジュアルに一発で切り換えられるショートカットだ。

ドライブモードはComfort/Normal/Sport/ Sport+/Indivisualの5モード
秀逸なのはIndivisual。きめ細かく自分の好みに仕立てられる。

急な上り勾配かつタイトなカーブが続く区間では、エンジンの力強さに感心した。タイトなコーナーからの立ち上がり(立ち上がった先も急勾配である)でさえ、アクセルペダルを深く踏み込む必要はなく、グイグイ登っていく。先代なら(?)変速比が変わってエンジン回転が一気に上がり、エンジンとチェーン式CVTが発するギャーンというノイズを発していたところだろう。ところが新型レヴォーグは、例えていうなら鼻歌まじりでこなしてしまう。

ZF(ザックス)製の電子制御式ダンパーが付くのがSTI Sportの最大の特徴。

1000rpm台半ばから最大トルクの300Nmに達する豊かなトルクの恩恵だ。それに、「80%以上の構成部品を刷新した」CVTはチェーンの仕様変更などで音の発生を抑えていることもあり、高い回転域でも耳障りなノイズでその存在を主張することはない。気持ち良く伸びるエンジンサウンドだけが耳に届く。

■エンジン 型式:CB18 形式:水平対向4気筒DOHCターボ 排気量:1795cc ボア×ストローク:80.6×88.0mm 圧縮比:10.4 最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm 最大トルク:300Nm/1600-3600rpm 燃料供給方式:筒内直接噴射 使用燃料:無鉛レギュラーガソリン 燃料タンク容量:63ℓ

鬼押出し園を基点にSTI Sport EXとGT-H EXを乗り換えながら鬼押出し園〜中軽井沢を往復したが、バック・トゥ・バックで乗り比べてみると、電子制御サスペンションとドライブモードセレクトは欲しくなる。ということは、筆者が選択するならSTI Sportということだ。効果がわかりやすいステアリングとサスペンションの制御が切り換えられるのは魅力だ。デフォルトのノーマルであっても、STI Sportのほうがクルマの動きがしっかりしているように感じる。

最終目的地を東京・恵比寿にあるスバル本社とする帰路は、上信越道・横川SAから関越道・寄居PA(約57km)でSTI Sport EXのステアリングを握った。ここぞとばかりにアクティブレーンチェンジアシストを試したが、何度試しても感心するほどよくできており、技術の進歩とスバルの技術力の高さを実感する。

「カーブ前速度制御」もアイサイトXの機能のひとつで、これは藤岡ジャンクションで関越道に合流する際に体感できた。アイサイトXは3D高精度地図データを利用している。このデータが収録する詳細な道路情報をもとに、アイサイトXを作動させているとき(システムがアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストしているとき)は、カーブの曲率に合わせて適切な速度に制御してくれる。アクティブレーンチェンジアシストと同じで、制御は巧み。減速、操舵ともにスムーズだ。

鬼押出し園〜寄居PA間(約98km)は標高の高いところから低いところへの移動だったこともあり、この間の燃費は18.5km/ℓを記録した。寄居PAでは待機していた開発エンジニアの助けを借りて、疑問を2つ解消した。新型レヴォーグは肘や手のひらなど、体の一部をリヤゲートにある六連星のオーナメントに近づけると、自動でリヤゲートが開く「ハンズフリーオープン・パワーリヤゲート」を採用している。

この機能を試そうと何度も手のひらをオーナメントにかざしたのだが、無反応だった。「フォースを操れるジェダイの騎士じゃないと開かないの?」と、ちょっとばかり落ち込んだが、なんのことはない。メインスイッチがオフになっているだけだった。ステアリングコラムの右側にあるスイッチをオンにしておけば簡単に開いて、筆者にもフォースが操れることが証明できた。オンオフスイッチは、洗車機に入れた際の誤作動を防ぐために付いているという。

もうひとつの疑問は、ブレーキ力の自動保持機能である(スバルは「オートビークルホールド」と呼ぶ)。シフトレバーの後方に電動パーキングブレーキのスイッチはあるが、それとセットになっているはずの「HOLD」のスイッチが見あたらない。「ひょっとして非装備?」と半ば悲しんでいたところで、疑問は解消した。




ハードスイッチはなく、センターディスプレイでオンオフを切り換える仕組みだ。センターディスプレイの左下にクルマのマークがある。これを押すと車両制御画面に切り替わり、「オートビークルホールド」のメニューが出てくる。画面上のスイッチに触れることでオンオフ切り替えができる仕組みだ。ハードスイッチならワンタッチで済むが、現行方式だと2ステップ必要で、面倒だと感じた。アイドリングストップのオンオフ切り替えも同様である。

「渋滞時ハンズオフアシスト」は使えるか?

寄居PAでGT-H EXに車両を入れ替え、外環道・新倉PAで運転席に戻り、首都高速5号線〜都心環状線〜2号線を通って天現寺で降り、恵比寿のスバル本社に向かった。先に記しておくと、寄居PA〜スバル本社間(約100km)の燃費は16.2km/ℓだった。

都心環状線では念願叶って(?)渋滞に遭遇した。なぜ念願が叶ったかというと、アイサイトXの機能のひとつである「渋滞時ハンズオフアシスト」を試すことができたからだ。自動車専用道路での渋滞時に条件(前走車検知+約50km/h以下)がそろうと、メーター表示が青に変わり、渋滞時ハンズオフアシストが機能する。「ハンズオフ」なので、ステアリングから手を離すことができる

帰路の首都高速で待望の(!)渋滞に遭遇。ハンズオフを試した。

恐る恐る……ではなく、実際には「そら、きた!」という調子で手を離した。これまでのレヴォーグとの付き合いで、運転アシスト機能に対する信頼が確立していたからだ。システムが先行車との車間を保ちつつ、ステアリングを操作してくれる。ハンズオンが必須のツーリングアシスト時に比べると、加速と減速がやや雑で、もっと穏やかに制御してほしいと思う場面はあったものの、渋滞時に役立つ機能であることは間違いない。

1泊2日のツーリングを通じて新型レヴォーグへの理解が深まった。しかし開発陣に聞いてみると、アシストグリップの作り込みやアダプティブドライビングビーム(ADB)の制御にエアアウトレットなど、まだまだ隠しネタを持っているよう。実に奥の深いクルマである。

スバル・レヴォーグ GT-H車両価格○370万7000円 

スバル・レヴォーグ GT-H


■ボディサイズ


全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm


ホイールベース:2670mm


車両重量:1570kg


乗車定員:5名


最小回転半径:5.5m


燃料タンク容量:63ℓ




■エンジン


型式:CB18


形式:水平対向4気筒DOHCターボ


排気量:1795cc


ボア×ストローク:80.6×88.0mm


圧縮比:10.4


最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm


最大トルク:300Nm/1600-3600rpm


燃料供給方式:筒内直接噴射


使用燃料:無鉛レギュラーガソリン




■駆動系


トランスミッション:CVT


駆動方式:フロントエンジン+オールホイールドライブ




■シャシー系


サスペンション形式:FマクファーソンストラットRダブルウィッシュボーン


ブレーキ:FベンチレーテッドディスクRベンチレーテッドディスク


タイヤサイズ:225/45R18




■燃費


WLTCモード:13.7km/ℓ(社内測定値)


市街地モード10.2km/ℓ


郊外路モード14.4km/ℓ


高速道路モード15.6km/ℓ

STI Sport EX 車両価格○409万2000円

スバル・レヴォーグ STI Sport EX


■ボディサイズ


全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm


ホイールベース:2670mm


車両重量:1580kg


乗車定員:5名


最小回転半径:5.5m


燃料タンク容量:63ℓ




■エンジン


型式:CB18


形式:水平対向4気筒DOHCターボ


排気量:1795cc


ボア×ストローク:80.6×88.0mm


圧縮比:10.4


最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm


最大トルク:300Nm/1600-3600rpm


燃料供給方式:筒内直接噴射


使用燃料:無鉛レギュラーガソリン


燃料タンク容量:63ℓ




■駆動系


トランスミッション:CVT


駆動方式:フロントエンジン+オールホイールドライブ




■シャシー系


サスペンション形式:FマクファーソンストラットRダブルウィッシュボーン


ブレーキ:FベンチレーテッドディスクRベンチレーテッドディスク


タイヤサイズ:225/45R18




■燃費


WLTCモード:13.6km/ℓ(社内測定値)


市街地モード10.0km/ℓ


郊外路モード14.5km/ℓ


高速道路モード15.3km/ℓ

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