2020年末現在では、一切のモーターアシストの類をそろえないダイハツ工業の軽自動車。しかしかつては非常に意欲的なハイブリッド車を登場させていた。

TEXT:松田勇治(MATSUDA Yuji)

「ハイゼットカーゴ ハイブリッド」は2005年9月26日に発売。軽商用車「ハイゼット カーゴ」をベースに、1モーター方式のコンパクトな「ダイハツハイゼット ハイブリッドシステム」を採用し、高い走行性能と優れた燃費・低排出ガス性能を両立しながら、ベース車と同様に4名乗車、広々荷室といった高い商用機能を実現。使用頻度が高い軽商用車というジャンルにおいて、より効果的な環境対応とクリーンエネルギー車のさらなる普及を図るべく、官公庁や地球環境に関心の高い企業などを中心に拡販を目指す。 (ダイハツ工業のプレスリリースから一部改変して転載)



開発責任者のダイハツ工業(株)E・HV開発部長:北村晏一氏(当時)は、1970年代初頭からEVの開発を続けて来た技術者。本車の開発・市販に至ったきっかけは、EVユーザーだった自治体などへの調査の結果、軽バンのハイブリッド化を要望する声が予想外に多かったことだという。



「軽バンはそこそこ荷物を積んだ状態で発進/停止を繰り返す走行モードが多く、またアクセル開度も大きめになってしまうため、燃費が悪化しがち。その改善策として要望が多かったのです」



本車の開発テーマは、ひたすら燃費の向上と、コスト低減。「とにかく機会さえあれば少しでも回生しよう」という“必死さ”が垣間見えるシステムだというのが試乗した感想。商用のみならず軽の全般的弱点を補う「現実的な解」ではある。

【エンジン】

 型式:EF-VE

 排気量:659cc

 最高出力:37kW/5900rpm

 最大トルク:63Nm/4000rpm

【モーター】

 種類:交流同期電動機

 最高出力:9.4kW/3000rpm

 最大トルク:46Nm/1000rpm

【動力用主電池】

 種類及び型式:ニッケル水素電池

 個数 :30個

 容量:6.5Ah

【トランスミッション】

 種類:電子制御式4速オートマチック

エンジンと変速機の間に電気モーターをはさみ込んだ構成の、“広義”のパラレル方式。2000年ごろから、このスタイルに落ち着いたという。発進時はエンジン+モーター、定速走行時はエンジンのみ、減速時や降坂時などのエンブレ状態では回生を行ない、停車時は複数の条件から判断してアイドルストップする。

縦置きの直列3気筒エンジンの直後にモーター、その後ろにトランスミッションを配置する。少しでもコストを下げるため、システム構成部品はトヨタ・エスティマ・ハイブリッド用から流用。モーターは前輪用の中身だけを使い、バッテリーもケースを加工することで搭載可能とした。

メーター右下には、モーターのアシスト状態(写真左)ならびに回生状態(写真右)を知らせるランプモニターを備えている。発進時以外はなるべくアシストさせず、回生の機会を増やすような運転を心がけることで、自然と燃費向上につながるわけだ。左下の四角い部分には、アイドルストップ表示などが出る。

軽商用車初のハイブリッド車として注目を浴びていたが、221万5500円という高価格であることから販売は伸び悩んだ。結果、400台程度を販売するにとどまり、2010年6月に生産を終了している。

情報提供元:MotorFan
記事名:「 内燃機関超基礎講座 | ダイハツにもかつて存在したハイブリッド車:ハイゼットカーゴハイブリッド