スクーター王国・台湾の人気バイクメーカー「SYM(エス・ワイ・エム)」が2021年のNEWモデルを発表。写真右はSYMのJETシリーズの中で1番の販売台数を誇る JET 14の2021年モデル。ヨーロッパでも人気の同車は、空冷50、空冷125、水冷125、空冷200の各エンジンをスタンバイ。新型の JET 14シリーズの詳細に加え、国内やアセアン諸国で人気のホンダPCXとの諸元の違いをレポート。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
※注:台湾での発売価格は未公開。また国内での販売は未定
水冷125エンジンは2バルブから4バルブに進化。ヘッドライトは全車LEDに変更
台湾はもちろん、ヨーロッパ市場でも人気のモデル、SYM JET 14シリーズの2021年モデルが発表された。前後14インチホイール、都会的でオシャレな外観、足着き性の良いシート高はそのままに、エンジンは新排ガス規制のユーロ5に対応させたクリーンな仕様。
JET 14シリーズは、空冷50、空冷125、水冷125、空冷200の各エンジンをラインナップ。今回、水冷125エンジンは、2バルブから4バルブに進化。空冷エンジンは、空気の流動方式を変更して冷却効率をアップしているのがポイントだ。
LEDヘッドライトとLEDポジションライトは、全車LEDを採用。標準のUSBより遥かに速く充電できる「クイックチャージ2.0」も装備されている。
JET 14シリーズは共通の車体に、空冷50、空冷125、水冷125、空冷200の各排気量エンジンを搭載
JET 14シリーズは、同一の車体(ブレーキの仕様は一部異なる)に、4種類のエンジンを搭載。エンジン形式は4ストロークOHC 2バルブ単気筒(水冷125のみ4バルブ)だが、スペックは大きく異なる。
【 JET 14 50】
排気量:49.5cc
ボア×ストローク:Φ37x46mm
最高出力:2.3kW(3.1ps)/8,000rpm
最大トルク:3.1Nm/6,000rpm
【 JET 14 125】
排気量:124.6cc
ボア×ストローク:Φ52.4x57.8mm
最高出力:8.4kW(11.4ps)/8,500rpm
最大トルク:10.3Nm/7,000rpm
【 JET 14 125 Liquid cooled(水冷式)】
排気量:124.6cc
ボア×ストローク:Φ52.4x57.8mm
最高出力:9.5kW(12.9ps)/8,000rpm
最大トルク:11.0Nm/6,000rpm
【 JET 14 200】
排気量:168.9cc
ボア×ストローク:Φ61x57.8mm
最高出力:9.1kW(12.3ps)/7,500 rpm
最大トルク:13.2Nm/5,500rpm
もっともパワフルなのは、唯一4バルブを採用し、冷却効率に優れた12.9馬力の水冷式125。2バルブ&空冷式の200は12.3馬力だが、168.9ccという余裕の排気量を活かし、4台の中では13.2Nm/5,500rpmでもっともトルクフル。エンジンを回してパワーを稼ぐ=水冷式125に対し、200は厚いトルクを効かせた重厚な走りが楽しめる。
前後ホイールは全車14インチを採用。ブレーキの仕様は、各車により異なっている。詳しくは下記の主要諸元を参照。
国内モデルでライバルとなるのは!ホンダ PCX(125)か?
両車とも都会的でシャープなイメージの外観に加え、前後14インチホイールを採用。ここでは同クラスのSYM JET 14 125(水冷)を比較してみた。
【ホンダ PCX(125/国内仕様)】
全長1,925mm×全幅745mm×全高1,105mm
ホイールベース:1,315mm
シート高:764mm
前タイヤ:100/80-14
後タイヤ:120/70-14
前ブレーキ:ディスク式
後ブレーキ:ドラム式
燃料タンク容量:8.0L
エンジン:水冷4ストロークSOHC単気筒2バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:Φ52.4×57.9mm
最高出力:9.0kW(12ps)/8,500rpm
最大トルク:12Nm/5,000rpm
【SYM JET 14 125(水冷)】
全長1,990mm×全幅730mm×全高1,075mm
ホイールベース:1,350mm
シート高:770mm
前タイヤ:100/90-14
後タイヤ:110/80-14
前ブレーキ:ディスク式+CBS/ABS
後ブレーキ:ディスク式+CBS/ABS
燃料タンク容量:7.5L
エンジン:水冷4ストロークSOHC単気筒4バルブ
排気量:124cc
ボア×ストローク:Φ52.4x57.8mm
最高出力:9.5kW(12.9ps)/8,000rpm
最大トルク:11Nm/6,000rpm
全長はJET 14が65mm長く、ホイールベースも35mmロング。諸元上では、JET 14の車体はPCXよりもやや大きめ。エンジンは両車とも水冷式だが、新型のJET 14 125(水冷)は、シリーズで唯一4バルブを採用。
最高出力はJET 14 125(水冷)が0.9馬力高いが、逆に最大トルクは1Nm低いのが特徴。前後ブレーキは、フロント&リヤにディスク式+CBS/ABSを装備したJET 14 125(水冷)が、豪華さとポテンシャルではPCXを上回っている。
なお、ホンダヨーロッパは、すでにPCX125の2021年モデルを発表。エンジンは2バルブから4バルブに進化され、最高出力は12.5ps/8,750rpmにアップ。リヤはドラム式だが、フロントにはABSを装備。トラクションコントロールなども導入されている。
・モデル:①空冷50/②空冷125/③水冷125/④空冷200 ※頭に〇数字のない箇所は共通
・エンジン形式:①②④4ストロークOHC 2バルブ単気筒/③4ストロークOHC 4バルブ単気筒
・排気量:①49.5cc/②124.6cc/③124.6cc/④168.9cc
・ボア×ストローク:①Φ37x46mm/②Φ52.4x57.8mm/③Φ52.4x57.8mm/④Φ61x57.8mm
・最高出力:
①2.3kW(3.1ps)/8,000rpm
②8.4kW(11.4ps)/8,500rpm
③9.5kW(12.9ps)/8,000rpm
④9.1kW(12.3ps)/7,500 rpm
・最大トルク:
①3.1Nm/6,000rpm
②10.3Nm/7,000rpm
③11.0Nm/6,000rpm
④13.2Nm/5,500rpm
・燃料システム:E.F.I.
・トランスミッション:C.V.T.
・フロントサスペンション:正立型フォーク
・リヤサスペンション:①②シングルショック/③④デュアルショック
・フロントブレーキ:
①ディスクΦ260mm
②ディスクΦ260mm+ CBS
③ディスクΦ260mm+ CBS/ABS
④ディスクΦ260mm+ CBS/ABS
・リヤブレーキ:
①ドラムΦ130mm
②ディスクΦ220mm+ CBS
③ディスクΦ220mm+ CBS/ABS
④ディスクΦ220mm+ CBS/ABS
・フロントタイヤ:100/90-14
・リヤタイヤ:110/80-14
・全長1,990mm×全幅730mm×全高1,075mm
・ホイールベース:①1,330mm/②③④1,350mm
・シート高:770mm
・燃料タンク容量:7.5L