トヨタ自動車は11月13日、車いす使用者が外出先で安心して使える移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」を、株式会社LIXILと共同開発したと発表した。
各種イベント参加やスポーツ観戦など、車いす使用者の外出の可能性を広げる
近年、公共施設では車いす使用者を含めたさまざまな身体状況の方が利用できる多機能トイレの整備が進んでいるが、いまだ十分とは言えないのが現状だ。
この問題に対し、モビリティカンパニーを目指すトヨタとトイレやバリアフリーに知見をもつLIXILの両者の強みを生かして開発したのが、移動型バリアフリートイレ「モバイルトイレ」。快適・衛生的な多機能トイレを車両に搭載し、牽引により自由に移動して設置することで、各種イベント参加やスポーツ観戦など、車いす使用者の外出の可能性を広げ
車両の前後方には遠くから認識できるよう大きな多機能トイレマークを表示し、超低床車体の設計によって、出入口への動線はなだらかなスロープを実現。車内は車いすが回転しやすい空間を確保し、手すりの備わった大便器など、車いす使用者にとって必要な機能を兼ね備えている。また、多目的に使えるユニバーサルシート(大型ベッド)や車いす使用者がより快適にトイレを利用するために、自分で衣服を整えたり介助者が待機できる前室を用意している。
開発にあたって、パラアスリートや福祉工学の専門家、被災経験のある自治体関係者、さまざまな理由で車いすを使用することになった方々にヒアリングを実施。「介助者の手を借りずにひとりで乗り込みたい」「上半身が元気そうでも、オムツ替えが必要な場合がある」「気分が悪い時に、横になれると有難い」などの声を反映させたという。
今後はモバイルトイレをさまざまなイベントの場などに出展し、車いす使用者や介護する方々からの声を参考に、車体の改善に活かしていく。トヨタとLIXILは、障がいの有無にかかわらず、誰もが行きたい場所に行き、やりたいことに挑戦できる社会の実現に貢献していく。
なお、「モバイルトイレ」は、2020年11月21日〜22日に横浜市北仲通地区で行われる「横浜北仲フェス」で横浜市役所敷地内に設置し、実際に使用される予定だ。