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航空自衛隊:C2 哨戒機と同時開発、大量の航空輸送を担う輸送機「C-2」


航空自衛隊のC-2は、長年運用されてきたC-1輸送機の後継の輸送機だ。哨戒機のP-1と同時開発という難題をなんとか克服して登場した純国産の新型ジェット輸送機である。


TEXT&PHOTO◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

純国産の新型ジェット輸送機C-2は2016年から配備が始まった機体で、C-1輸送機の後継となる存在だ。先ごろ紹介したC-1輸送機は導入開始から47年が経過しており、旧態化が顕著なものとなっていた。積載量や航続距離などの拡大や性能向上が求められていた。

着陸態勢にあるC-2。高い位置に装着された主翼と尾翼が特徴。大きな積載能力を持つ丸型断面の胴体と低床化されたレイアウトがわかる。写真/航空自衛隊

C-2は計画段階から共用開発を標榜した。海上自衛隊の次期新型哨戒機とともに作る計画のことである。次期新型哨戒機とは現用のP-1哨戒機のことだ。こうしてC-2の研究・開発はP-1と同時に2000年に始められた。一部の部品や製造治具の共用化で開発費を抑えるのが主目的だった。開発の主体は防衛省技術研究本部と川崎重工業で、三菱や富士重工も関わっている。




現在、2機とも具体化され部隊運用されていることから同時開発は成功したことになる。しかしスンナリ進んだわけでもなく、試作や試験などの各段階で不都合や不具合が発生し、設計の見直しや改善などを繰り返した。予想外の時間がかかり、同時開発・部品共通化の世界的にも珍しい挑戦的な計画は遅れた。結局、C-2で約16年、P-1で約13年、それぞれ開発スタートから導入開始まで相当の年月を要したことになる。開発当時、この規模の機体の同時開発はやはり無理があるなど計画全体への批判や、双方の機体設計・細部への懸念や指摘などが自衛隊や防衛産業界、期待を抱いたがゆえに焦れた航空機マニア界隈で盛んに騒がれた。それだけ注目されていたし、純国産体制への期待も大きかったわけだ。

2016年10月23日、自衛隊観閲式が行われた朝霞訓練場上空を飛行するC-2(左)。随伴飛行するのは前型輸送機C-1の初号機。こうしてみると、かなりボリュームアップした機体のサイズがわかる。

2004年にはC-2のモックアップが完成する。その後、試験機が防衛省へ引き渡されたのが2006年、改良を重ね、2011年1月に初飛行に成功した。2016年6月には量産初号機が防衛省へ引き渡され、飛び始めた。




C-2は高性能だ。前型のC-1輸送機やC-130輸送機を凌駕する存在である。積載量と航続距離はC-1の約4倍となる。エンジンの種類が違うがC-130との比較では各々の能力を約1.5倍上回る。乗員は3名(操縦士2名、輸送員1名)、補助席に2人から5人が乗り込め、貨物室に110人を乗せて運べる。貨物として運べる重量は32トン(最大荷重2.5G)〜36トン(最大荷重2.25G)。貨物重量による航続距離は4500km(36トン)〜7600km(20トン)、9800km(フェリー時)となっている。

写真は人員輸送仕様にしたC-2の貨物室。ここに110人を乗せて運べる。貨物として運べる重量は32トン(最大荷重2.5G)〜36トン(最大荷重2.25G)。

C-2のサイズは、全長43.9m、全幅44.4m、全高14.2m。大柄だが操縦性能は優れているという。前型のC-1と比較すれば大型な機体だが、これは現在の視点ではC-1がそもそも小型に過ぎたからかもしれなくて、見た目の印象の話だ。航空機としてのデザインや空力特性は現代版なわけで操縦性や運動性、搭載機器の性能などが優れているのは当然だ。




前型のC-1は小型であることで運動性が高く、ゆえにパイロットのイメージどおりに反応・追従する操縦性を持つ。対してC-2は運動性と安定性のバランスがC-1以上に良好で操縦しやすいという。

大柄な機体だが運動性や操縦性、安定性が良好にバランスしているという。写真/航空自衛隊

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