JA71型ジムニーで出かけよう。秋深まる渡良瀬遊水地へ釣りへ行こう。釣れなくても、きっと楽しい。今回のアウトドアクッキングは辛さが美味しいきのこ鍋に舌鼓だ。
TEXT &PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
「バイクのブレーキのエア抜きをしなくては」と、物置で透明なホースを探していると、ふと目についた物がある。
「釣り竿」だ。
釣り道具にこだわらず、釣る魚にもこだわらず、ぼうっと釣り糸を垂れて「のんびりと日向ぼっこ用に」と買った、かなり古い釣り竿である。この釣り竿と仕掛けを入れても1000円位の物ではないかと思う。
釣り竿の横に置いてある「練り餌」を作るためのカップヌードルの容器も、現在の「紙」の物ではなく「発泡スチロール製」だ。中を覗くと、なんと封は切ってはあるが「釣り餌」もあるではないか!
「渡良瀬遊水地で、釣り糸でも垂れてみるか……」
ということで、渡良瀬遊水地に生息している魚の種類を調べてみる。「タナゴ」で有名だが、在来種のタナゴは現在確認されておらず、外来種のタイリクバラタナゴだけとある。残念ながら僕のチープな釣り道具で釣れそうなのは、ウグイ、オイカワ、フナ辺りだろうか。
ホームページの「上空からの写真」を観ると、渡良瀬遊水地はハート形で、通路で3つの水域に仕切られている。そのひとつが釣りゾーンだ。
フォトグラファーの僕としては、上空からドローンで撮影してみたいものだが、現在は野鳥保護のためドローンの飛行は禁止されている。
渡良瀬遊水地は人工的に作られた湖ではあるが、不思議な自然に囲まれていてバードウオッチングも盛んなようだ。
コウノトリの人工巣塔でも有名で、ニュースで取り上げられていた事もある。観察される鳥類は、春は、カワセミ、ハヤブサ、オオタカなど。夏はヨシゴイ、サシバ、ノビタキなど。冬はジョウビタキ、コミミズク、ツグミ、ハイイロチョウヒなど。釣りやカヤックだけでなく、バードウオッチングでも訪れる価値がありそうだ。
遊水地は、車両は進入禁止。
ジムニーに「軽量でコンパクトなアイテムで構成したもの」を積んで行き、現場で臨機応変にベストな遊びを構築しよう。そのためには「所有しているアイテムの組み合わせ」が必要だ。
「家庭で使用している物をアウトドアに持ち込む」のも良いし、「コンパクトで収納が簡単に出来るアウトドア用品を家庭で使用する」のもシンプルで良いものだ。
今回は、遊びの幅を膨らませていくために「14インチの折りたたみ自転車&デイバックひとつ」でアプローチ。当日は風が強く魚釣りには向かない気もしたが、日差しは温かだったので釣り糸を垂らしてみた。
子供の頃、一緒に釣りに連れて行ってくれた近所のお兄ちゃん達。そんな人達を思い出しながら竿を上げるも、案の定、引きもしないのだから、釣れるわけも無い。
その後も広大な渡良瀬遊水地の中を釣り場を求めて折り畳み自転車で走ったが、中道は樹木に覆われている場所が多く水深も浅いため、3.6メートルの竿では到底釣れそうなポイントに届きそうも無い。
やっとの事で開けた場所を探し出すが、やはり水深は浅い。撒き餌をしてみたものの収穫には恵まれず「それはそれで良し」と、釣りは諦めた。
ここで、思ってもみないことが起こる。
僕の自転車に興味を抱いたのか、見ている方がいらっしゃる。
『重さは8.5kgほどで、小さく畳めますよ。どうぞ持ち上げてみてください』
元来おしゃべり好きな僕は会話に夢中になってしまう。
そして、3人の方が14インチの自転車を試乗して頂くことに!
掲載の許可を頂き、写真を撮らせて頂く。
男性はトヨタ・ヴォクシーで車中泊の旅の道中で渡良瀬遊水地を訪れ、レンタサイクルでのサイクリング中とのことで、『この自転車なら車中泊に使用しているトヨタ・ヴォクシーに積んでおけば行動範囲が広がるし小さいし軽くて良いな。』というご感想。
ふたりの女性はウォーキング中で、『なんて可愛いの。どのくらいの値段なの?』と。
この「14インチ折りたたみ自転車」の良さは、以前所有していた「クラシックMINI」に似ていて、どんな人にも愛される。
小さな旅でも大きな旅でも、僕は行った先での「人との出会い」が一番楽しい。
来年のタナゴの季節までに「釣りの腕」も磨き、もう一度来ることにしよう。
今度はもっと大きなバケツを持って!