エンジンとは大きく異なる出力特性を持つモーターが、数多くの自動車に組み合わせられるようになった現在。電気自動車、ハイブリッド、各々のトルクカーブに対応して変速機の役割も違う。10月15日モーターファンイラストレーテッド最新号は、新たな時代に入りつつある変速機の最新事例を解説した。
静止状態から回転し始める瞬間に最大トルクを発生するモーター。この特性を生かして現在のほとんどの電気自動車は、いわゆる「変速」機構を持たない1段のみの減速比で駆動輪と繋がっている構造だ。クラッチやトルクコンバーターといったスターティングデバイスもないものが主流。エンジン車とは大きく異るポイントと言える。
だが、今後はロー/ハイの2速変速機構を持つ電気自動車が増えていくことが予想されている。発進時の大トルクが必要であれば必然的にモーターは大きくせざるを得ない。だがそれにはコストやサイズの問題がつきまとう。そこで変速機構をモーターと組み合わせれば、モーターの小型化だけでなくインバーターなどの補機類も小型化できるというのが、変速機構を備えた電気自動車のメリットとなる。
いっぽう、より厳格化される二酸化炭素の排出量規制に対応すべく、ハイブリッドもさまざまな改良が続けられている。燃費一辺倒ではなく、スポーツカーや大型セダンに求められる加速性能も備えたハイブリッドをどう構築していくのか、また既存のエンジン車に大幅な変更をすることなくモーターを加えて燃費性能を向上させることも、自動車メーカーの重要な課題だ。
モーターファンイラストレーテッド最新号vol.169は巻頭特集「e変速機」にて、モーターが加わった車両のトランスミッションの現状を多角的に解説。電気自動車、ハイブリッドそれぞれの最新の動向や、それぞれに求められる性能などを分析。アイシン・エィ・ダブリュが手掛けるeAxleのラインナップ、レクサス・トヨタのマルチステージハイブリッドシステムのメリット、ヴァレオやZF、シェフラーなどサプライヤーの目指す方向性などを幅広く解説した。