世良耕太さんが選ぶおすすめSUVは、予算300万円までならトヨタ・ヤリスクロス(のハイブリッド)、予算600万円までならマツダCX-5(のディーゼル4WD車)、そしてメルセデス・ベンツGLSというセレクト。特にヤリスクロスHVは、走り、燃費、実用性、サイズ感のどれもが高レベルな仕上がりでオススメだという。
TEXT●世良耕太(SERA Kota)
予算300万円までなら「トヨタ・ヤリスクロス(ハイブリッド)」
この企画のルールは「その車種の最も安いグレードが299万円以下ならOK」なので、そのルールを適用すればマツダCX-30を選択することも可能。だが、欲しいグレードはディーゼルエンジンを積んだ仕様で車両本体価格は312万4000円〜330万5500円になるので、自発的に除外した。
コンパクト、ミッド、ラージクラスのSUVを〜300万円、〜600万円、予算無制限にあてはめて選ぶとすると、コンパクトかつ〜300万円は現時点でトヨタ・ヤリスクロスという選択になる。ガソリン(1.5L直4自然吸気)とハイブリッドの選択肢があるが、迷わずハイブリッドを選ぶ。停止時にエンジンが停止して静か。モーターで走行する発進は静かで応答性が高く、力強い。それに、燃費が望外にいい。
インテリアの質感は価格帯なりだが、後席の居住性と荷室容量を含め、実用性は申し分ない。扱いやすい車両サイズも魅力だ。
予算600万円までなら「マツダCX-5(ディーゼル・4WD)」
マツダCX-5の価格帯は261万8000円〜365万7500円で、この企画のルールをあてはめれば「〜300万円」のカテゴリーに入れてもいいかもしれない。しかし、筆者が選ぶとしたら2.2L直4ディーゼルを搭載する仕様かつ4WDなので、価格帯は316万8000円〜となる。
600万円まで予算で周囲を見渡せば、CX-5と同程度のサイズを持つ輸入車がそれなりの数リストに入ってくるが、CX-5はいささかも見劣りしない。バリュー・フォー・マネーの極めて高いクルマだと思う。スタイル良し、乗り込んで良し(インテリアの質感が高い)、走ってよし(動力性能も燃費も)である。
予算が無制限なら「メルセデス・ベンツGLS(400d 4MATIC)」
広大な居住空間と高いアイポイント、ゆったりした動きがもたらす気持ちの余裕が欲しいなら、この選択肢はありだと思う。なにしろ、ボリュームの大きさに圧倒される。全長は5220mmで、全幅は2030mm、全高は1825mmもある。はっきり言ってアメリカ市場向けのモデルだ(アメリカ生産である)。日本では間尺が合わないかと思いきや、意外にいい。というか、とてもいい。
「アメリカン」という表現がぴったりくる、ゆったりした動き。といって、「おいおい、ハンドル切ってんのに曲がってくんねぇぞ」というような、危なっかしさや頼りなさはなくて、芯はしっかりしている。だから運転していると、クルマの(余計な)大きさは感じない。GLBの3列目シートはいかにも緊急用というイメージだったので、GLSなら充分に使えるだろうと期待して乗り込んでみたら、3列目に限ってはGLBと同等の空間だった。そのかわり、2列目の優雅な空間といったらないし、荷室はたっぷりしている。
遠出したくなるクルマだ。
『予算別ベストSUV・3選』は毎日更新です!
ますます人気が盛り上がっているカテゴリー、SUV。自動車メーカーも開発に力を入れており、ラインアップが充実しているのはうれしいのだが、どれを選べばいいのか迷ってしまいがち。
そんな迷えるSUVオーナー予備軍のために、「予算300万円まで」「予算600万円まで」「予算無制限」といった具合に予算別のベストSUVを紹介。毎日、自動車評論家・業界関係者に3台選んでいただくので、明日の更新もお楽しみに。