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個性派ライバル、フィアット・パンダとMFトゥインゴ号を乗り比べ。コーナーが楽しくなるのは、やっぱりトゥインゴ! <ルノー・トゥインゴ長期レポートVol.7>


個性的な欧州コンパクトといえば、フィアット・パンダ。乗り味もルックスもトゥインゴに負けず劣らず楽しいパンダは、ルノー・トゥインゴのライバルになるのか? 乗り比べてみた。


レポート日:2020年10月11日


オドメーター:3220km




TEXT&PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)

駐車場と広報車の都合で、最近は日産GT-Rと編集部のルノー・トゥインゴ(MFトゥインゴ号)に乗ることが多い。乗り換えるときに、ちょっと意識を集中させないと、うまくドライブできないほど違う両車だが、どちらもとても楽しい。




MF編集部の長期レポート車は、ルノー・カジャー→メガーヌときて、現在のトゥインゴ号になったわけだが、個人的にはトゥインゴ号が一番好きだ。運転していてわくわくする。コンパクトなサイズは東京の街中を走り回るのに最高の武器だし、0.9ℓ直3ターボのパワーも必要充分以上だ。

ルノー・トゥインゴ EDCキャンバストップ 全長×全幅×全高:3645mm×1650mm×1545mm ホイールベース:2490mm フィアット・パンダ Easy 全長×全幅×全高:3655mm×1645mm×1550mm ホイールベース:2300mm

この楽しさ、最近体験したな、と思って考えたら、それはフィアット・パンダだった。




ちょっと並べてみよう。




サイズと車重は、


トゥインゴ


全長×全幅×全高:3645mm×1650mm×1545mm


ホイールベース:2490mm


車重:1040kg


パンダ


全長×全幅×全高:3655mm×1645mm×1550mm


ホイールベース:2300mm


車重:1070kg


とほとんど同じ。トゥインゴ号の方が190mmもホイールベースが長いため、前後のオーバーハングが短い。小回り性の高さはトゥインゴ号の方が上だ。




ボディデザインについては、好き好きだからなんとも言えないが、どっちもかわいくていい。

上がMFトゥインゴ号、下がフィアット・パンダ Easy

インテリアはどちらもいい意味で”チープシック”。広くもないし、プラスチッキーだし、装備も簡素だし、でもそれが貧乏くさくない。試乗したパンダにはカーナビが装着されていたが、MFトゥインゴ号はカーナビなし。Apple CarPlayでiPhoneをつなげばいいといえばいいけれど、やっぱりナビはあった方が便利だと思う。

上がMFトゥインゴ号、下がフィアット・パンダ Easy

フロントシートは、どちらもクッションが硬め。でも、座ってみるとちゃんと身体に馴染むし、お尻が動くこともない。とてもいいシートだ。とくにトゥインゴ号のシートは、(個人的には)フランス車のシートという感じではないが、それでも座り心地がいい、なかなか良い出来のシートだと思う。

トゥインゴ号のフロントシート(左)はヘッドレスト一体型。どちらもフカフカという感じではないが座り心地はとてもいい。

リヤシートは当然さほど広くはない。大人4人で長距離はちょっとつらいかも。

フィアット・パンダ Easy エンジン形式:直列2気筒SOHCターボ エンジン型式:312A2 排気量:875cc ボア×ストローク:80.5mm×86.0mm 圧縮比:10.0 最高出力:85ps(63kW)/5500rpm 最大トルク:145Nm/1900rpm 過給機: ターボチャージャー 燃料供給:PFI 使用燃料:ハイオク 燃料タンク容量:37ℓ

ルノー・トゥインゴ EDCキャンバストップ エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ エンジン型式:H4B 排気量:897cc ボア×ストローク:72.2mm×73.1mm 最高出力:92ps(68kW)/5500rpm 最大トルク:135Nm/2500rpm 燃料タンク容量:35ℓ 燃料:プレミアム(PHOTOはキャプチャーが搭載するH4B型)

MFトゥインゴ号もパンダeasyもエンジンは奇しくも0.9ℓのターボエンジンだ。違うのは、トゥインゴが3気筒と常識的な形式なのに対してパンダは2気筒(TwinAir)だということ。




パワースペックは、パンダの0.9ℓTwinAirが


最高出力:85ps(63kW)/5500rpm


最大トルク:145Nm/1900rpm




トゥインゴの0.9ℓ直3ターボが


最高出力:92ps(68kW)/5500rpm


最大トルク:135Nm/2500rpm




とパワーではトゥインゴがトルクではパンダがやや勝っているが、「パワー感」はトゥインゴの方が上回っている。トゥインゴの3気筒ターボもかなり振動と音がする(元気がいいとも言える)が、それでもパンダのTwinAirに比べればややおとなしい。


洗練度ではトゥインゴ、先進度ではパンダ(なにしろ、誰もついてこられなかったほど先進的だったのだ)だと思う。

パンダのトランスミッションはデュアロジック(DUALOGIC) ATモード付き5速シーケンシャル(5速AMT) 1速:4.100 2速:2.174 3速:1.345 4速:0.974 5速:0.766 後退:3.818 最終減速比:3.867

トゥインゴ号のトランスミッションは6速DCTのEDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ)

トランスミッションはパンダが5速AMTでトゥインゴが6速DCTだから、近代度ではトゥインゴが上だが、どちらもシフトショックがかなりあるし、アイドルストップからエンジンが再始動してクラッチが繋がって走り始めるには一呼吸必要だ。




AMTのパンダの方が、乗り手のスキル(というほどのものでもない。MTを操作するのと同じように、シフトチェンジ時にアクセルを少し戻してやるだけだ)が要求される分、楽しいということもできる。

トゥインゴ号のリヤシートは50:50の分割可倒式。リヤにエンジンがあるから、深さはやや浅めか。

パンダは一体可倒式。後席を倒せばそこそこ荷物は積める。

モード燃費は


パンダが


JC08モード燃費:18.4km/ℓ


トゥインゴが


WLTC燃費:17.4km/ℓ




そもそもモードが違うから比較しづらいが、都内〜三浦半島往復のドライブでは、


MFトゥインゴ号が128.5km走って実燃費15.3km/ℓ


パンダeasyが200kmほど走って実燃費は15.6km/ℓだった。




ほぼ同じだ。


ちなみに、高速道路を80-100km/h(つまり制限速度内で)走ると、


MFトゥインゴ号が19.1km/ℓ


パンダが17.2km/ℓ


だった。




なかなかの燃費でうれしい限りだが、燃料はハイオクなので、そこはちょっと割高である。




そんなわけで、トゥインゴとパンダ、ともにかなりの距離をドライブして「買うならどっち?」と訊かれたら、と考えた(誰も訊かないけれど)。




価格は、パンダEasyが224万円 MFトゥインゴ号のトゥインゴ EDCキャンバストップは213万5000円で、ほぼ同じ。

ということで、いま僕がトゥインゴ号かパンダか、と問われたら、トゥインゴ号を選ぶ。その理由は、RRだから。リヤにエンジンがあって、後輪を駆動する。それが生み出すハンドリングの良さ(というか楽しさ)は、最新のHonda eにも共通する。




VWのEV、ID.3も後輪駆動だ。トゥインゴ号の魅力の多くは、このRRのレイアウトにある、と思っている。

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