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ホンダ、2021年シーズンを最後にF1から撤退 カーボンニュートラルへ向けての研究開発にリソースを振り向けるために


10月2日、ホンダ(本田技研工業)は、2021年シーズン終了をもってF1から撤退すると発表した。2015年に復帰して7シーズンで「第4期F1活動」は終了することになる。

エネルギーマネジメント技術をもって勝利することを目指し、2015年にF1に復帰したホンダ。


2019年からはレッドブル・レーシングへPUを供給し、同年のオーストリアGPでF1復帰後初優勝を挙げ、この年は3勝をマーク。2020年は第10戦ロシアGP終了時点で、レッドブルとアルファタウリがそれぞれ1勝ずつの2勝を挙げる活躍を見せている。




撤退の理由は、環境対応のため燃料電池車(FCEV)、電気自動車(EV)などの研究開発に研究・開発資源を重点的に投入する必要があるからだと八郷社長は説明した。ホンダは2030年をめどに世界販売の3分の2を電動車両にする目標を掲げている。F1撤退とあわせて2050年に二酸化炭素の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現する目標を新たに発表した。

経営リソースをカーボンニュートラルに向けた開発に集中する決断をしたホンダだが、F1からの撤退がブランドのイメージに傷をつける可能性もある。




2020年シーズン途中での活動終了についてホンダの八郷隆弘社長は、以下のように述べた。

 Hondaは、この度FIAフォーミュラ・ワン世界選手権へのパワーユニットサプライヤーとしての参戦を、2021年シーズンをもって終了することを決定いたしました。


 Hondaは、世界最高峰の四輪レース、F1で自らの持てるエネルギーマネジメント技術をもって勝利することを目指し、2015年からチャレンジを開始し、今年で6年目のシーズンを迎えています。参戦当初は性能や信頼性で苦戦し、厳しい戦いが続きましたが、航空機エンジンの技術を生かした性能向上や、量産技術を活用したエンジンの燃焼効率向上など、All Hondaの総合力を発揮することで競争力を大幅に高めることができました。


 また、F1を戦う上で重要な要素となるパートナーについても、2018年からスクーデリア・アルファタウリ、加えて2019年からは、レッドブル・レーシングと、素晴らしいチームに恵まれました。当時、スクーデリア・トロロッソだったアルファタウリのメンバーは、Hondaの可能性を信じて契約をしていただき、その後も全力でHondaをサポートいただきながら、二人三脚で共に進化を続けてきました。先日のイタリアグランプリでのアルファタウリ・ホンダとして初めての優勝は両社がチャレンジを始めて50戦目の節目でした。これまでの努力が実を結んだ結果であり、Hondaとして言葉にはできないほどの嬉しさでした。


 そして、レッドブル・レーシングとはトップチームとして勝てる体制の下、「優勝」という明確な目標を定め、強いパートナーシップを築いてきた結果、高い競争力を発揮することができています。両チームとの強固なパートナーシップと高い競争力を得た結果、昨シーズンは3勝、今シーズンも現時点で2勝を挙げることができています。大きな目標としてきた優勝を実現できたことに対し、レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリの両チームには、改めて、感謝したいと思います。また、参戦決定以来、さまざまなサポートをいただいたFIA、フォーミュラ・ワンの皆さま、関係者の方々のご支援に御礼を申し上げます。そして、何よりも熱いご声援をいただいている多くのファンの皆さまに感謝いたします。本当にありがとうございます。


 一方、私どもHondaの事業環境に目を向けますと、自動車業界は100年に一度と言われる大転換期を迎えています。Hondaも 将来の新たなモビリティ、そして、新たな価値創造に向けて注力していくことは以前よりお話しさせていただいています。なかでも、環境への取り組みはモビリティメーカーにとって最重要テーマの一つとして捉えています。2011年には「自由な移動の喜び」と「豊かで持続可能な社会」の実現をビジョンに掲げ、地球環境に与える負荷をゼロにすることを目指し取り組みを進めてきました。このたび、Hondaはこの取り組みをさらに加速させ持続可能な社会を実現するために「2050年にカーボンニュートラルの実現」を目指すことを決意しました。そして、そのために、2050年までの通過点として現在掲げている「2030年に四輪車販売の3分の2を電動化する」という目標についても、カーボンフリー技術の投入をさらに加速させていきます。この実現に向けて、Hondaは、将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発を重点的に強化しています。今年4月には、将来技術に取り組む研究所の体制を一新し、新組織「先進パワーユニット・エネルギー研究所」を設立しました。Hondaがこれまで培ってきたFCV、バッテリーEV、そして、航空機向けターボジェットエンジンなど、さまざまなパワーユニット技術を生かし、将来のカーボンニュートラル社会を支える新たなパワーユニットの研究開発をスタートしています。また、カーボンニュートラル実現のためには、パワーユニットそのものだけでなく、エネルギーを含めたカーボンフリー化が必要です。Hondaではこれまでも様々なエネルギー技術の研究を行ってきましたがこの領域も大幅に強化していきます。


 将来、カーボンニュートラルを実現するために、今回大きく舵を切り、この新たなパワーユニットとエネルギーの研究開発に経営資源を集中していきます。その一環として、今回F1で培ったエネルギーマネジメント技術や燃料技術、そして人材を先進パワーユニットとエネルギーの研究開発に振り向けることにしました。こうして、さらに強化した研究開発体制の下、先進パワーユニットとエネルギー技術の創造、そして、将来のカーボンニュートラル実現に集中して取り組んでいきます。


 F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができました。その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化「カーボンニュートラル実現」という新しいフィールドでの革新に注ぎます。これはF1同様に大変難しいチャレンジであり、社会とともに取り組んでいくべき大きなチャレンジとなります。本日の発表は「カーボンニュートラル実現」という新たな挑戦に向けた決意表明でもあります。Hondaは、ステークホルダーの皆さまとともに、カーボンニュートラル社会の実現を目指し、Hondaの総力を挙げてチャレンジをしていきます。


 Hondaは、創業以来モータースポーツへの挑戦を通じて技術の進化と技術者の育成、そして、勝利を目指す熱い情熱を育んできました。レース活動はHondaのDNAです。これからも熱い想いを持って参戦しているカテゴリーでのNo.1を目指し、チャレンジすることに変わりはありません。


 ファンの皆さまのご期待に応えるべく、今シーズンの残り7戦。そして、2021年シーズンに向けては、よりパフォーマンスを高めた新しいパワーユニットも投入し、レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリとともに、さらなる勝利を目指して最後まで全力で戦い抜きます。


 ぜひ、Hondaのモータースポーツ活動、そして、Hondaの新たな挑戦に皆さまの変わらぬご理解、ご声援をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

なお八郷社長によると、現時点では、F1活動の再開については考えていないという。

なお八郷社長によると、現時点では、F1活動の再開については考えていないという。




パートナーであるレッドブル・レーシングは、以下のようなリリースを発表した。

「レッドブル・レーシングは本田技研工業株式会社が2021年シーズン末でF1活動を終了するという決定を下したことを認識し、レッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリのパワーユニット・サプライヤーとして並外れた努力を注いでくれたことに対し感謝したい」


「この決定が、今後のパートナーシップのなかで、我々が共有する目標を達成するためのホンダの取り組みに影響することはない。我々は2021年末までにともに手を携えて成功を成し遂げていくことを目指す」


「我々チームは、本田技研工業株式会社にとって、2021年シーズン末でF1から退くという決定に至ることがどれほど困難であったか、理解している」


「自動車業界のなかで焦点をシフトしていくうえで、ホンダは彼らのリソースの配分を見直すという決断に至った。その理由を我々は尊重し理解する。彼らの決断は我々チームにチャレンジをもたらすが、我々は過去にそういう状況を経験済みであり、これまで証明してきたように、効率的に準備し対応する力がある」


「ホンダとのパートナーシップを継続できないことは残念であるものの、レッドブルが所有する2チームであわせて優勝5回と表彰台15回という成功を彼らとともに達成したことを非常に誇りに思っている。ホンダの全スタッフの多大なる努力と献身に感謝する」

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