SKYACTIV-G 2.5Tに先立つこと11年前、マツダは直噴ターボエンジンを登場させていた。その後ミニバン/SUVにこれを搭載、日本で初めてダウンサイジングターボを成し遂げている。果たしてどのようなエンジンだったのだろうか。
DISIターボと称したL3-VDT型の登場は2005年のこと。マツダスピードアテンザへの搭載だったから、ハイパフォーマンスを期待したエンジンだった。ところがマツダは同機搭載の次弾としてミニバンであるMPVを採択、ここに日本初のダウンサイジングターボが現れることとなった。
MPVに載せるにあたっては、エンジンの中低速トルク強化に意が払われた。
272ps(200kW)/5500rpm 380Nm/3000rpm【MSアテンザ】
245ps(180kW)/5000rpm 350Nm/2500rpm【MPV】
もうひとつの白眉・筒内直噴については、登場時から、ターボエンジンに使用するにあたりダイナミックレンジの拡大が図られた。これは、高出力発揮時の大流量と低負荷時の小流量吐出を両立させるため。前者についてはソレノイドインジェクターに最大5.8mmのストローク量を与えることで875立方ミリメートル/rev.の理論吐出量を実現、後者については制御ソレノイド特性の最適化で対処している。噴霧角は63度、吐出圧は全負荷時で11.5MPa/低負荷時に3MPa。スワールを発生する墳孔形状とした側方配置型である。これにより、吸気バルブを自然吸気と同じ35mmにとどめることができた。