
「なんでこんないいクルマが日本で普通に買えないんだ!?」
そのブランドのファンや関係者ならずとも、そう憤慨したくなるような日本未導入モデルは、グローバル化がこれだけ進んだ今なお、数え切れないほど存在する。
そんな、日本市場でも売れるorクルマ好きに喜ばれそうなのになぜか日本では正規販売されていないクルマの魅力を紹介し、メーカーに日本導入のラブコールを送る当企画、今回はスズキがインドやタイのほか欧州でも展開しているAセグメントの5ドアハッチバック「セレリオ」を紹介したい。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●スズキ
日本には軽自動車がある。だがその分、Aセグメントに属する国産コンパクトカーの車種数は少ない。しかもその多くはSUVあるいは背高ワゴンで、全高1550mm以下の立体駐車場にも入庫可能なモデルとなると、ダイハツ・ブーンとそのOEM車であるトヨタ・パッソのみという状況だ。
だがブーン/パッソは走り・デザインとも街乗り主体の女性向けに特化しており、決してスポーティな性格の持ち主ではない。だからこそ、軽量コンパクトで立体駐車場の多い都心部でも不便せず、走り・デザインともスポーティな、クルマ好きの男性が乗っても楽しめるAセグメントの国産コンパクトカーが欲しいところ。
そのような条件をすべて満たしてくれると思われるのが、今回紹介するスズキ・セレリオだ。

セレリオのルーツは、2008年末よりインドで生産され「Aスター」、欧州では2009年より「アルト」として販売されていたAセグメントカー。このモデルが、その他の新興国では「セレリオ」の名で販売されていたため、2014年2~3月にインド、欧州、タイで順次発表された現行モデルは二代目ということになる。なお、インド仕様はインド子会社のマルチ・スズキ、欧州およびタイ仕様はタイ子会社のスズキ・モーター・タイランドが生産を担当している。


この現行二代目セレリオは、初代よりも全長・全高・ホイールベースを拡大しつつ、ボディ後半の絞り込みを抑え、リヤドアのガラスエリアも拡大することで、後席の居住性を劇的に改善。荷室容量も当時クラストップの254Lを確保した。


エンジンは全市場で1.0L直3ガソリンNAと5速MTを設定し、インドや欧州では2ペダルMTの「オートギヤシフト」、タイでは副変速機付きCVTとの組み合わせもラインアップ。なお、インドでは2015年に0.8L直2ディーゼルターボが追加されたものの、排ガス規制の強化により、2020年より1.0L直3ガソリンNAをベースとしたCNG仕様へスイッチしている。

そして、このセレリオで見逃してはならない魅力、それは軽さだろう。右ハンドルのタイ仕様でCVT車は820~835kg、5速MTの廉価グレードでは785kg。しかも全長×全幅×全高は3600×1600×1540mm、ホイールベースは2425mm(いずれもタイ仕様の数値)と小さく、空力にも優れるとなれば、軽快でスポーティな走りを期待するなという方が無理というものだろう。
また価格も低く抑えられており、タイ仕様はCVT車の上級グレード「GX」で42万7000バーツ(約145万円)、同じく中間グレード「GL」は39万8000バーツ(約135万円)、5速MT車の廉価グレード「GA」は31万8000バーツ(約108万円)というのも魅力的だ。
スズキが2020年9月時点で国内展開するAセグメントカーはイグニスとクロスビー、ソリオ、ジムニーシエラの4車種。だが、イグニスとクロスビーはクロスオーバーSUV、ソリオは背高ワゴン、ジムニーシエラは軽自動車のジムニーをワイド化した本格オフローダーで、ベーシックな5ドアハッチバックは1車種もない。セレリオの日本導入を強く望む!
■スズキ・セレリオGX(FF)*タイ仕様
全長×全幅×全高:3600×1600×1540mm
ホイールベース:2425mm
車両重量:835kg
エンジン形式:直列3気筒DOHC
総排気量:998cc
最高出力:50kW(68ps)/6000rpm
最大トルク:90Nm/3500rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ドラム
タイヤサイズ 前後:165/65R14
乗車定員:5名
車両価格:42万7000バーツ(約145万円)
