これまでの人生において、所有したり試乗したりした輸入車の中からベスト3を業界人に選んでいただく本企画。かつていすゞでSUVの設計に携わっていた安藤眞さんの生涯ベスト輸入車は、2代目レンジローバー。初代と比べると影の薄い存在ではあるが、オンロードでのスタビリティを含めたトータル性能は格段に上。端正な見た目も好みだという。
TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)
第3位:フォード・モンデオMk2
欧州フォードが設計開発を行ったDセグメントのセダン&ワゴン。走り始めた直後は凡庸で特徴のないクルマとしか思わなかったが、ワインディングに入って徐々に速度を上げていくと、懐の深いロードホールディングに驚かされた。操舵応答はどこまでも素直で、多少、無理をしても穏やかに限界が訪れ、アクセルを少し戻せばただちに収斂。どこまでも手の内に置いておけるハンドリングに、「大衆車の操安性、かくあるべし!」と感動した一台。
欧州フォードの作るクルマはモンデオ以外にも良いクルマが多く、フォーカスなんかもすごく良かった。日本市場から撤退してしまったのは、返す返すも残念でならない。
第2位:ルノー・カングーI
現在の自家用車がカングーIIの後期型なのだが、本当に欲しかったのはカングーI。1675mmという全幅は狭い日本の道でも走りやすいし、クルマをアウトドアのトランスポーターとして使う僕にとっては、ラゲッジフロアは塩ビシート敷きのほうが都合が良い。
買わなかった大きな理由は、K4M型エンジンのカムシャフト駆動がベルト式だったこと。確か4万kmで交換が推奨されており、そのくらいの距離なら2〜3年で走る僕にとっては、維持費と手間が負担になりそうだったから。実際、カングーIIを買ったのも、エンジンがH5F型になってカムシャフト駆動がチェーン式になったことがきっかけ。1.2Lのダウンサイジングターボは、エアコンを使うと発進トルクがからっきしになるし、エンジンブレーキの効きが悪いなど不満もあるが、燃費は16km/Lぐらい走るし、過給さえかかれば力強いので、しばらくは乗り続けると思う。
第1位:レンジローバー・シリーズ2(4.0S)
マニアの間では、初代“クラシック”に較べて「悪路走破性が落ちた」とか「中途半端」などと評判は芳しくないが、リヤサスがAアーム3リンクからオーソドックスなラテラルロッド式3リンクになったため、オンロードでのスタビリティが高まりオールラウンド性は増している(エアサスが壊れるのはご愛敬)。端正な外装は近年のオラオラ系とは対極にあるし、内装の仕立ても良い(天井が垂れるのはご愛敬)。
グレードを最廉価の4.0Sとしたのは、シートがファブリックでカジュアルに乗れそうだから(HSE系はコノリーレザー社のカウハイド)。実際にこのクルマ、何度か本気で買おうと思ったことがあるのだが、自動車税が高いため、購入には至らなかった。今はいくらぐらいするのかなぁ?と中古車価格を調べてみたら、ええっ、4.6HSEでも100万円そこそこからあるじゃなーい!