激しい日差しが照り付け、日中は35℃超の酷暑が続く、高温多湿な日本の真夏。猛暑の中では、スクーターのシート下スペース(メットイン)や、リア部に取り付けたトップケースの中も高温・多湿の状態になるため、基本的に長時間のヘルメット保管はNG。アライヘルメットのテクニカルプロショップでもある、バイクパーツ&アクセサリー販売店「UPC RIDE ON」に、注意点などを伺った。
REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki)
取材協力●UPC RIDE ON(株式会社 上野パーツセンター)
ヘルメットの保管は高温・多湿が大敵で、50℃超はNG。風通しの良い日陰で。これが鉄則!
真夏の車内は、命も危ぶまれるほどの灼熱地獄。天気予報の最高気温が36℃で晴れ模様であれば、ダッシュボード上の温度は70℃を超える“殺人的な”状態になるので要注意。
では、密封状態になったスクーターのシート下スペース(メットイン)や、バイクのリア部に取り付けたトップケースの中は、一体何℃まで上昇するのだろう?「アライヘルメット」のテクニカルプロショップでもある、バイクパーツ&アクセサリー販売店「UPC RIDE ON」が、2020年8月上旬に行った実験によると、【外気温:31℃】での「シート下スペース」と「トップケース」の温度は、
●シートの表面:69℃、シート下スペース内部:44℃
●トップケースの表面:58℃、トップケース内部:47℃
【外気温:31℃】で、内部は44℃&47℃まで上昇するということは……。35℃超えの真夏の内部は、ほぼ間違いなく、両者とも50℃を超えると予測される。
プロが指摘「50℃超えの場所にヘルメットの保管はNG!」
上記の温度測定を行った、「UPC RIDE ON」の店長・松﨑氏に、密封かつ灼熱の状態になるであろう、高温多湿の「シート下スペース(メットイン)」と「トップケース」に関する注意点やポイントを伺った。
ーーー暑くて湿度の高い真夏に、ヘルメットを収納する時のポイントは?
「真夏はシート下スペース(メットイン)やトップケースに、長時間ヘルメットを収納しないこと。これがオススメです」
ーーーその理由は?
「内部の温度が50℃を超え、湿気も多い日本の“密室”は、ヘルメットにとって極めて過酷な状況。超高温&多湿の中にヘルメットを一定時間置いておくと、構成部品の剥がれ、プラスチック部や樹脂部などに変形が発生します。加えて、内装に付着した汗や皮脂による、嫌なニオイの原因にもなります」
ーーー確かに、筆者が持っているアライヘルメットの説明書には、『50℃を超える場所には保管しないように』と明記してあります
「高温&多湿による不具合が起こる具体例としては、内装の嫌なニオイの他に、エアダクト部の剥がれなど。例えばエアダクト部は細かくて複雑なため、一般ユーザーが完璧に修復するのは困難。当店ではヘルメットのリペアやメンテナンスも手掛けていますが、真夏はエアダクト部の修復依頼が多いですね(※1)」
ーーーどうしても真夏に長時間、シート下スペース(メットイン)やトップケースにヘルメットを保管しなければならない場合、何か対処方法はありますか?
「シート下スペース(メットイン)やトップケースの中に、熱を遮断する断熱材をセットしてみては? 実際に試したことはありませんが、少しでも熱の上昇を防ぐのには有効的な手段かも(※注2)」
ーーーその他には?
「上記の温度計測実験では、シート下スペース(メットイン)の内部は、トップケースの内部よりも低いのが特徴。これは、太陽の熱を、シートの表皮やクッションとなる分厚いスポンジが吸収していると思われます。
つまり、シート下スペース(メットイン)の内部は、トップケースの内部よりも温度が上昇しにくい。上記のこと踏まえた場合、どうしても真夏にヘルメットを保管するのであれば、シート下スペース(メットイン)のほうがベターかも。
また、バイクを駐車する時は、温度が上昇しやすい日向よりも、風通しが良く、涼しい日陰を選ぶべき。内装に汗を含んだ真夏のヘルメットの保管は、嫌なニオイ等も考慮し、室内の涼しい場所を選びましょう。
加えて、内装の分解できるヘルメットの場合、夏場は頻繁に内装を洗濯するのがオススメです」
※注1:UPC RIDE ONでは、現況基本的に修復する部品代のみで実施中。詳しくは直接問い合わせください。
※注2:実行する場合、あくまでも自己責任でお願いします。当サイト及び取材店では一切の責任を負いかねます。
◾️◾️◾️取材協力◾️◾️◾️
UPC RIDE ON(株式会社 上野パーツセンター)
住所:東京都台東区東上野4丁目27-6
営業時間:11:00〜19:00
定休日:月曜日(祭日の場合は翌日休業)
https://www.upc-powergarage.co.jp/