今回、今井優杏さんが選択の基準としたのは「踏んで気持ち良いかどうか」。その筆頭に選ばれたトヨタ・スープラの直6ターボエンジンは、さすがBMW製と唸らされるもの。一度乗って味ってみれば、トヨタ開発陣がこのエンジンにこだわったことに共感させられることだろう。
TEXT●今井優杏(IMAI Yuki)
残酷な質問! どうやったって3つになんて絞れない! 御存知の通り今やパワトレは百花繚乱。小サイズエンジン+ターボやスーパーチャージャーにハイブリッド各種とそりゃ〜もう選択肢は多岐に渡り、どれもそれぞれのベクトルに楽しいんだもの...質問が広義すぎるわ(涙)。
そんな中から私はこの3台。単純に『踏んで気持ち良い』で選びました。
1台目:トヨタ・スープラ RZ【エンジン:B58】
まずはスープラ。3.0L 直6ターボにこだわりすぎたためにBMWとの共同開発になったという、面白いバックグラウンドを持つクルマです。世間ではBMWとの協業をあまりポジティブに捉えていない人もいるかもしれないけれど、『どうしたってスープラには直6ターボでないといけない』とこだわりを貫いた末の選択は、クルマ愛・エンジン愛を十二分に感じさせるエピソードだし、批判を承知でプロジェクトを貫いた開発陣の思いを想像するだけで胸アツ...。
あ、話がそれた、エンジンに話を戻すと、軽量FRということもあり、ストレート6ってこんなにも素直でトルクバンドがなめらかなのか!と、新鮮な歓びに満たされること間違いなしです。この吹け上がりの滑らかさ、フラットさ、パワフルさ、継ぎ目のなさを一度実感すると、開発陣がこのエンジンにこだわった理由が分かると思います。
2台目:レンジローバー・イヴォーク【エンジン:PT204】
レンジローバー・イヴォークはずばり、乗った瞬間「コレ欲しい!」となったエンジン。今回挙げたHSE P200はマイルドハイブリッドシステム搭載のものですが、これがもう、モーターのズバッとした加速が2L直4ターボのスカスカ感をきれいに埋めて、まさに絶品。欧州勢が出来ないような、英国らしい飛び出すようなアグレッシブな加速がイケイケで最高に楽しい。
今回はEV以外で、とのオーダーなのでマイルドハイブリッドを挙げましたが、このモーターの瞬発的な出力は、内燃機関とはまた違うワクワク感をしっかり持っています。特にこのイヴォークのモノは、ちょっと過激でかなり好み。
3台目:シボレー・カマロ SS
最後にやっぱ、コレは外せない。大排気量V型NAエンジンは、こんな時代だからこそ超・贅沢です。いくらアメ車といえども昨今はCO2排出量規制のアオリを受けて、ラインナップには2L直4ターボもありますけれど、やっぱカマロ SSに搭載された6.2L V8はたまらん。
ポイントはやっぱりNAの素直さで、アクセルを踏み込んだときの従順さ、そしてその後にやってくるパワフルなじゃじゃ馬感、この表裏一体&二重人格な感じが最高なのです。
しかもシボレーはちょっとアナログなエクステリアも好き。ジ・エンタテイメント!なアメリカらしさはサウンドの演出にも現れてますし。乗るたびに「ああ♡」とトキメいてしまう、カマロSS最高。
【近況報告】
最近はもっぱらYouTuberとして動画編集屋さんになっている私です。メカ好きTEC好きにとって、動画編集はまさに沼…。どこまでハマっても先がない! メインチャンネル『今井優杏の試乗しまSHOW!』以外にも、実はこっそりサブチャンネルまで開設して、旅動画の編集にまで手を出す始末。ああ、もっと旅動画素材を編集したい! ワクチン、早く出来ないかなぁ(涙)。
【プロフィール】
自動車ジャーナリストとして新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げた。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、日本カーオブザイヤー選考委員。
『気持ち良いエンジンならこの3台』は毎日更新です!
内燃機関は死なず! 世の中の流れは電動化だが、エンジンも絶えず進化を続けており、気持ちの良いエンジンを搭載したクルマを運転した時の快感は、なんとも言えないものだ。そこで本企画では「気持ち良いエンジンならこの3台」と題して、自動車評論家・業界関係者の方々に現行モデルの中から3台を、毎日選んでいただく。明日の更新もお楽しみに。(モーターファン.jp編集部より)