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中低速がイイじゃないか! CT125 ハンターカブインプレッションにさっそく乗った。


3月に発表されたホンダCT125 。待たされること約3カ月の6月26日に新発売された待望のモデルに試乗した。昨年の東京モーターショーで初お披露目されて以来、市場で大きなラブコールを浴びた注目のモデルだけに興味津々、試乗取材にはワクワク気分で臨んだ。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン

コロナ対策で技術説明は事前に動画データが送られ、当日の質疑応答はタイと日本でWeb TV通話。回答者は開発責任者の箕輪和也さん(右)と同代行の出羽圭吾さん。

ホンダ・CT125 ハンターカブ.......440,000円

自然散策へ誘われる、気持ちの良い乗り心地が楽しめる。

グローイングレッド
マットフレスコブラウン

ハンドリングは驚くほど軽快である。

 市場の大きな期待を集め、バックオーダーを抱えて発売に至った人気のCT125 はタイの研究開発拠点HRSTで開発されタイ・ホンダで生産される。


 しかし、開発にあたってのメインターゲットは日本市場だと言う。ルーツを振り返るとハンターカブの愛称で親しまれた初代モデルは1961年、北米向けにリリースされたCA100T TRAIL50に始まっている。


 簡単に言えば、スーパーカブをベースにトレール・タイプに変身させたモデルである。ダブルスプロケットの採用がとてもユニークかつ斬新だった。後に日本市場へは副変速機付きのCT50が登場。さらに1981年にCT110 が投入されて、トレッキングバイクとして訴求された経緯がある。


 半世紀以上もの長い歴史を辿って来た事実には改めて驚かされるが、その中でもCT125 への前評判と注目度はひときわ大きい。今回は過去のCTを踏まえ、現在のCTがどう有るべきかを考えて再構築する所から開発がスタートしたと言う。




 開発コンセプトのキーワードは「自然をゆったり楽しむトレッキングCub 」。ホンダのホームページ上に、より素敵なコピーを見つけたので引用しておくと、「自然を感じて、どこまでも。」である。




①、レジャー系モデルとして多くのユーザーに楽しんでもらうことが主眼だが、バイクとして乗って楽しむ事にも注力。


②、日本でも再びアウトドアブーム。ソロキャンプやショートツーリングを楽しむ。自然の中をゆったり走るトレッキングバイクこそ時代に合った価値観を提供できる。


③、CTらしいスタイリングは既に1960年代までで完成されていた。大型キャリア、トルクフルな走り、様々なコンディションでも走りやすい装備、長距離に適したアップライトポジションやタンク容量。これらの要素を現代にマッチングさせるべく新開発。




 以上の3点を踏まえて完成させたのが今回のCT125だ 。日本市場ではこれまで、お世辞にもヒット商品にはならなかったが、個性的かつ実用的なモデルとして根強い人気に支えられてきたハンターカブの復活である。


 アウトドア系のレジャー人気が再燃する中に相応しいタイムリーなニューモデルと言えよう。




 開発陣の想いは「その道のちょっと先へ、自然とやさしく触れ合いたい。乗る事で興味と好奇心が沸いてくる様なバイク」を目指したと言う。               


 そしてCT125 はスーパーカブシリーズの頂点に立つプレミアムモデルとしての位置づけも見逃せない。


 タイでは間違いなく高級車。それに相応しい要素を込めた仕上がりはフラッグシップモデルとして性能面も含めてクロスカブ110 とは差別化されたコダワリを込めて作られているのである。

ロングランをこなせる快適性も魅力的

舗装路を外れても普通に進んで行くことができる。

 試乗車に跨がると、車体サイズは意外な大きさを感じる。全長、全幅、全高ともにC125より拡大されており、ホイールベースも10mm長い1255mmある。そして何よりもシート高が20㎜高い800mm 。筆者が跨がると膝を伸ばして両足がギリギリ地面を捉えられるレベル。 スーパーカブシリーズの中では一段と大柄なサイズ感にちょっと面食らう程だ。ハンドル位置も高く幅も広い。言い方を変えると別格と言えるほど立派な雰囲気が伝わってくるのである。


 そんなハンドル位置のお蔭で、120kg(C125 比10kg増)の車量重量を感じさせない。車体を引き起こす時やハンドルを操舵する時の軽快感は抜群。走り始めた当初はチョット軽過ぎるのではないかと思えてしまった程だ。


 取りまわしや操縦性の軽さは、気楽な乗り味に直結して、とてもフレンドリー。慣れるとクルックルッとタイトターンもスイスイ決まる。実際小回り性能はC125やクロスカブ110 を上回る。自然散策等の狭い場所での使い勝手が良く、何処でも簡単に引き返してこれる確かな安心感が得られるのである。




 エンジンは中低速域のトルクが太く、低めに設定されたギヤリングと相まって、実用域でのスロットルレスポンスが強力。少々の登り坂ならシフトダウンを不精させてくれる程柔軟な出力特性を発揮してくれる。


 その分最高速性能やクルージング時のエンジン回転数の低さではC125に譲るが、それでもクロスカブ並の最高速性能は発揮できるだろうし、グイグイと余裕のある加速力を誇れる乗り味は頼もしい。


 穏やかにかつ頼れるトルクが得られるスロットルレスポンスは駆動力のコントロールもし易く、マディーな路面で滑らしたり、逆にグリップを回復させたりするのが自由自在になる扱いやすさがあったのも好感触。


 さらに歓迎すべきは燃料消費率のモード燃費が、先の両車を凌ぐ値になっている事だ。如何に実用域での扱いやすさが増しているか、スロットル開度を欲張ることなく、十分に強かな走行性能を発揮してくれる事を物語っているのである。


 日常の足としても使い勝手がすこぶる良いわけだ。また、上体の起きた姿勢でユッタリと感じられるライディングポジションは前方視界も良好。シートとステップとの位置関係やシートクッションの出来も秀逸で座面のフィット感が良く、ロングツーリングでも快適そう。さらに欲張りたいならオプションでクッションシートカバーが豊富に揃えられているので、ドレスアップも楽しめる。




 外付けのタコメーターを装着して走りをチェックするとアイドリングは1,360rpm。1 速ローギヤでエンジンを5,000rpm回した時のスピードは25km/h。4 速トップギヤで50km/hクルージング時のエンジン回転数は3,800rpmだった。


 そしてスロットルを全開にすると8,500rpmまでは難なく吹け上がる。ローギヤなら42km/h。トップギヤなら110km/h をオーバーする計算になる。


 そんな絶対性能に不足は無い。むしろそれよりも、旅先を目指す中で豊かな心持ちになれる快適な乗り味が魅力的。長閑な雰囲気とテキパキ仕事をこなせる機能性との絶妙のハーモニーが、とても心地よく感じられたのである。

足つき性チェック(身長168cm)

シート高は800mm。カブシリーズの中では一番高い。写真では両足がベッタリと地面を捉えている様に見えるが、両踵はほんの僅かに浮いている。大柄なサイズ感を覚えるが、車体を支える扱いは軽く、足つき性に難は無い。

ディテール解説

ラバーフラップも装備されたダウンフェンダーは、泥詰まりを防止するクリアランスが考慮されている。シングルディスクローターはφ220mm。2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーはNISSIN製、ABSも装備されている。

基本的にはC125と同じエンジンだが、専用チューニングが施されている。発電容量も190Wに拡大、始動方法はセル・キック併用式、ギヤ比も低めに設定された。

1981年にデビューしたCT110譲りの吸気系。左サイドカバー内のエアクリーナーから後部荷台下部まで伸ばされたシュノーケルデザインが特徴的。

165mmのロードクリアランスを稼ぎ出した右出しのアップマフラーはハンターカブを象徴するデザインだ。

大きく堅牢な荷台(409×477mm)の存在が頼もしい。使い方に自由度が大きく、カスタムの純正パーツとしてタンデム用シートや大型ラゲッジボックスも用意されている。

NISSIN製シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。ディスクローターサイズはφ190mm。装着タイヤはIRC製GP-5。前後同サイズ80/90-17インチのチューブタイプ。

◼️主要諸元◼️

車名・型式: ホンダ・2BJ-JA55


全長(mm):1,960


全幅(mm):805


全高(mm):1,085


軸距(mm):1,255


最低地上高(mm):165


シート高(mm):800


車両重量(kg):120


乗車定員(人):2


燃料消費率(km/L):


 61.0(60km/h)<2名乗車時>


 67.2(WMTCモード値)<1名乗車時>


最小回転半径(m):1.9


エンジン型式:JA55E


エンジン種類:空冷 4ストローク OHC 単気筒


総排気量(cm3):124


内径・行程(mm):52.4×57.9


圧縮比:9.3


最高出力:6.5kW [8.8PS] /7,000 rpm


最大トルク:11N・m [1.1kgf・m] /4,500 rpm


始動方式:セルフ式(キック式併設)


燃料供給装置形式:電子式<電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)>


点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):5.3


クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式


変速機形式: 常時噛合式4段リターン(停車時のみロータリー式)


変速比:


 1速:2.500


 2速:1.550


 3速:1.150


 4速:0.923


減速比(1次/2次):3.350/2.785


キャスター角:27°00′


トレール(mm):80


タイヤサイズ(前/後):80/90-17M/C 44P / 80/90-17M/C 44P


ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク/油圧式ディスク


懸架方式(前/後):テレスコピック式/スイングアーム式


フロントフォーク・ストローク:110mm


フレーム形式 :バックボーン


製造国:タイ

ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分になった上での記事作成に努めている。

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