この6/30、ついに「妨害運転罪」=「あおり運転罪」の運用が開始された。悪質な妨害運転に悩まされていた善良なドライバーにとってはまさに「渡りに船」だが、その反面、この新法は、考え方によっては冤罪を生む可能性が大きい危険な法律であるということも事実、なのだ!
いいがかりやこじつけによる冤罪が怖い!
「道路交通法の一部を改正する法律案要綱」
第三 悪質・危険運転者対策の推進に関する規定の整備
一 妨害運転に対する罰則の創設(第百十七条の二及び第百十七条の二の二関係)
(一)他の車両等の通行を妨害する目的で、一定の違反行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者に対する罰則を創設する。
(二)(一)の罪を犯し、よって高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者に対する罰則を創設する。
二 運転免許を受けることができない期間等に関する規定の整備(第九十条、第百三条及び第百七条の五関係)
公安委員会は、運転免許を受けた者が一の(二)の行為をしたときは、その者の運転免許を取り消す
ことができることとするとともに、三年以上十年を超えない範囲内で当該処分を受けた者が運転免許を受けることができない期間を指定すること等ができることとする。
三 運転免許の効力の仮停止に関する規定の整備(第百三条の二関係)
一の(二)の行為をし、よって交通事故を起こして人を死亡させ、又は傷つけた場合について免許の効力の仮停止の対象とすることとする。
まず、不思議なのは、この「妨害運転罪」の施行が、なぜこんなに急がされたのかということ。なにしろ、昨年末に施行された、「スマホ等によるながら運転」の罰則強化案は4月に国会を通過し、「妨害運転罪」と同じく6月に公布されたにもかかわらず、施行は12/1と、公布から施行まで実に半年間を要している。しかも、「ながら運転」の方は公布後に、その罰則内容に関して「パブリックコメント」が募集されていたのだが(集まった意見が参考にされたかどうかは不明)、今回は問答無用の即、施行となっているのだ。
確かに、この法案が検討されている間も、各地で発生した「あおり運転」を発端とする交通事故や暴力行為が毎日のように各メディアにより報道されているだけに、施行が急がされたととらえることもできるが、ほんとにそんなに毎日のようにみんな「あおり運転」をしているのだろうか、という疑問も残るところだ。この国のメディアのジャーナリズムを冒涜した報道姿勢を見ていると、警察とメディアが共謀したプロパガンダじゃないの? と疑いたくなるというもの。
いずれにしてもこの法律は、上の条文の通り、「通行を妨害する目的」「交通の危険を生じさせるおそれ」であるとか、「著しい交通の危険を生じさせたもの」とか、主観がものをいうあいまいな言葉だらけ。「通行を妨害する目的」だったかどうか、一体、誰が判断するというのだろうか?
とにかく、「あおる」つもりなんてなかったのに、こんな「とんでも法」のおかげでいいがかりをつけられ、濡れ衣を着せられるなんてたまったもんじゃない。なにしろ、大切な運転免許が取り消され、おまけで懲役までついてくるかもしれないのだから!
というわけで、くれぐれも運転中の誤解を招くような行為は厳禁です!