かつてはアスベストが主流だったヘッドガスケット。エンジンの製作精度が向上し、同時に高圧縮比化が進むにつれ、より機密性の高いOリング付メタルガスケットにとって変わるようになった。
黎明期のレシプロエンジンにとって、燃焼圧力の漏洩は重大な問題であった。そのためにシリンダーヘッドとブロックを一体鋳造、もしくは溶接する一体型シリンダーがあったほどである。
現在ではシリンダーとヘッドの精度が上がり、スタッドボルトも角度締結法が主流となっているが、ガスケットの重要性は変わらない。燃焼圧力に耐えながら、燃焼ガスという気体、未燃焼燃料、オイル、冷却水という液体の漏れを封じ込めなければならないのだ。密着性を高めるためにある程度の柔軟性は必要だが、ブロックとヘッドのクリアランスは保たれなければならない。柔軟な金属と、シールのためのOリングという組み合わせが現状では最適とされる。