いまや世界的にセダンの人気が落ち込んでいる。その理由はいろいろ考えられる。ミニバンやクロスオーバーSUVなど、魅力的な選択肢が増えたという見方もできる。しかしMotor-Fan.jpは、そもそも最近のセダンはデカすぎるんじゃないか、という説を唱えたい。ちょうどいいサイズのセダンがないんだから買いようがない。そしてチェコの雄、シュコダが放つBセグメントのセダン、ラピードの日本上陸を切に願うのだ。
最近のクルマはデカ過ぎる! だからセダンもデカ過ぎる!
セダンの凋落ぶりが著しい。近所を見渡しても、小型ハッチバックが多いのは当たり前とはいえ、ほかに目に付くのはミニバンやSUVばかり。一方ハイエンドの世界では、リヤウインドウがなだらかに傾斜した4ドア“クーペ”が跋扈している。4ドアセダンこそ、クルマの基本形ではなかったのか?
しかしね、理由はいろいろあるにせよ、そもそも最近のクルマは大きすぎるんじゃないの? コンパクト(なはずの)ハッチバックですら大きいのだから、当然ながらセダンは全体的にもっと大きくなりがちになる。
ここ最近は、セダンを選ぼうとするとだいたいDセグメントから上のクラスになってしまうが、それらは1980年代のクラウンやセドリックよりも大きい。「いつかはクラウン」の、あのクラウンよりも、である。みんなが憧れた高級車だ。
そんな大きいクルマを買える人、運転できる人、車庫に入れられる人は限られる。当たり前の話である。
では昔みたいに、新車で買える5ナンバーサイズのセダンはないのか? あるのだ!
世界を見渡せば、それこそ数えるほどの種類しかないが、確かにコンパクトなセダンは存在する。今回はそのなかでも、シュコダ・ラピードにスポットライトを当てたい。
まずボディサイズは全長が4512mm、全幅が1706mm、全高が1469mm、ホイールベースが2603mmで、全幅が僅かに5ナンバー規格を超えてしまうものの、5ナンバー相当のサイズと言って差し支えないだろう。
エンジンは1.5Lガソリン自然吸気で、最高出力は111ps、最大トルクは145Nmと十分のパフォーマンスを持ち、5速MTもしくは6速ATと組み合わされる。
スペースバックと呼ばれるステーションワゴン風ハッチバックもラインナップされる。こちらは全長が4312mmとセダンよりも短くなる。ラゲッジスペースは372Lで、リヤシートを倒せば最大で1255Lにまで広がる。
エクステリアはスポーティさのなかにもどこかエレガントさを漂わせたもので、これはシュコダ全体のブランドイメージでもある。インテリアもシックで、コンパクトとはいえセダンらしく大人っぽい雰囲気でまとめられている。
現行ラピードのデビューは2012年で、実はチェコをはじめとしたヨーロッパの主要市場では後継のスカーラにバトンタッチしている。現在、ラピードは中国をメインとした新興市場向けのモデルという位置づけだ。
だが19年にはフェイスリフトも行われ、写真のような精悍なエクステリアを与えられるなど、その進化の手は緩めていない。
なにより、かつて多くの家庭に親しまれていた「ほどほどのサイズのセダン」であることの存在意義は大きい。当時よりも家や庭が広くなっているわけではなく、むしろ都市部では狭くなっている傾向が強いのだから、クルマばかり大きくなってもらっても困る。ラピードのようなサイズのセダンがあれば喜んで買いたいという人は少なくないはずだ。