現状を確認したところ、一見キレイなボディにはサビとサビ穴が隠れていた。悲しくて涙が止まらないが、泣いてばかりもいられない。サビを克服して見事に甦らせるには、地道な努力しかない。鉄スクーターの天敵、サビを撃退する方法を今回は考えてみたいと思う。
前回紹介したように、幸運に恵まれて手元へやってきた1978年式ベスパP125X。だが、フタを開けたら鉄ボディにはサビ穴が無数に空いていた。これを放置して路上復帰させるわけにはいかない。まずは動くかどうかを試す前に、ボディのサビを克服してみたい。
だが、いきなりサビ穴だらけのフロアでサビ撃退方法を試すほどの勇気はない。そこで前回確認した時、レッグシールド内側のトランクにも見つけたサビでテストしてみようと思う。ここならもしサビ退治に失敗しても、中古パーツを探して再チャレンジできるからだ。そしてこのトランク、ボディと切り離すことができる。そこでボディから切り離して、浮き出たサビに各種ケミカルを使ってサビが落とせるか試してみようという作戦だ。
サビを落とすケミカルを探そうと近所のホームセンターへ出向いてみた。するとカー用品コーナーに見慣れたブランドのサビ取りケミカルが並んでいた。だが、それらは以前試して効果が薄かった記憶がある。もっと違うモノがないか探していると、工具コーナーに別のブランドのものが見つかった。それが写真の2種類だ。
まず左はバイク乗りにはお馴染み、AZというブランドのジェル状ケミカル「サビアウト」。110g入りで328円という安さが魅力だ。そして右はサビが進行して工具が使えなかったり、工具を使ってナメてしまったボルトやナットを外す時に活躍してくれる工具「ネジザウルス」から発売された「ネジザウルスリキッド」という商品。泡タイプのスプレーで、価格は1480円とそれなりに高い。どちらもスーパービバホームでの価格だ。
同時にテストしたかったので、向かって左側をサビアウトで処理、右側をネジザウルスリキッドで処理してみた。サビアウトは容器先端のプラスチック部品を回転して外し、容器に付いているフタを外す。そしてプラスチック部品を戻して先端をハサミなどでカットすればいい。容器を手で押すとチョロチョロとジェル状ケミカルが出てくる。
対してネジザウルスリキッドはスプレー先端に「ON」と「OFF」の表示があるので、先端を回転させてスプレーするだけだ。だが、ここでつまずいた。なんと不良品だったようで、いくらスプレーしてもケミカルが噴出されないのだ。本来ならホームセンターで交換してもらえばいいのだが、引っ越した先からホームセンターまでクルマで30分近くかかる。そんな無駄足は踏みたくないので、今回は仕方なく別のスプレー容器からノズルだけ借りて使うことにした。
サビアウト、ネジザウルスリキッドともに説明によれば塗布してから10分から20分ほどつけ置きすると効果が高いとある。そこで30分以上放置してみた。その結果は写真の通りで、左のサビアウト塗布面はサビが化学反応により黒くなっている。対して右のネジザウルスリキッド塗布面も確かに化学反応を起こしているが、左ほどの反応ではないようだ。サビが消えている部分もあるが、そのままサビが残っている部分もある。
ケミカル製品の効果は写真の通りで、サビアウトが抜群に良かったと言える。そこで、ネジザウルスリキッドで落とせなかった部分にもサビアウトを上塗りして、さらに放置することにした。
今回試したサビアウト、ネジザウルスリキッドともに処置後は十分な水洗いをしろと書かれている。おそらく酸性のため、そのまま放置しているとさらに化学反応を起こして無用なサビを生んでしまうのだろう。そこで水をかけながら溶液を洗っていると、やはり白い泡が出てくる。そのまま水で流すこと5分くらいだろうか、ようやく泡がなくなった。
洗い流したトランクを処置前のトランクと比較してみよう。これはどちらも劇的な効果があったと言える。ただ、今回の場合はサビアウトの効果が高く、処置した部分は見事に鉄色に戻ってくれた。今回はこの後、ネジザウルスリキッドを塗布して落とし切れていない部分にもう一度サビアウトを塗って処理しようと思っている。それが終わったら、サビ止め処置してみたいと思う。