弊社は主にクルマを扱う会社である。クルマ好き、レース好きが多いのは言わずもがなだが、彼らはどんなクルマを購入するのか、興味のあるかたも多いと思う。偶然にもオートスポーツWebの副編集長を務める中野クンが愛車の買い替えをしたということで、さっそくその思いを語ってもらった。ロードスターを長く乗り続けた彼が選んだクルマは、予想もしなかったSUVだった!
TEXT:中野一史(Kazushi NAMAKO/autosport web)
購入は、ディーラーでの何気ない会話から
2月下旬に新しい相棒、CX-3がやってきてから早3ヶ月。納車直後に一度遠出したことと、コロナ禍で妻の職場まで送迎していた時期があったこともあり、すでに3500kmほど走ってしまいました(自分としてはかなりのハイペース)。
そもそも昨年12月、前の相棒=NCロードスターの車検見積もりを取りにディーラーに行った際に「13年も乗ったし、買い替えを考えていなくもないので……」と切り出したところ、営業担当氏「ちなみに車種は? NDいっちゃいます?」「いや、次はCX-3かな、と」「え、CX-30ではなく? Mazda 3でもなく? いやぁ、CX-3なら相当お値引き頑張れますよ!」というやりとりがありまして、その場でもう見積もりをもらってました(値引きだけでなく、ロードスターの下取り額も目が飛び出るほど頑張ってくれました)。
CX-3がいいなと思ったのは、まずはディーゼルエンジンに乗ってみたかったこと。次にクルマを買うとき(おそらく10年後くらい?)に、ディーゼルっていう選択肢がまだあるのか、わからないですしね。それから車両のサイズ(ふたり暮らしの我が家にデカいクルマは必要ない)と予算が希望の枠におさまりそうだったこと。あとはデザインが好きだったこと、あたりが理由でしょうか。BB1プレリュード→NCと乗り継いできた自分がSUVオーナーになるなんて半年前は想像もしませんでしたが、なんだかそういうお年頃(今月40歳になります)なんでしょうか。
ガソリンがいい? ディーゼルがいい?
「ディーゼルに乗りたかった」と言うわりには、じつは試乗段階でガソリン2.0ℓとディーゼル1.8ℓでえらく悩みました。価格差が20万円ほどあったこともありますが、ガソリンエンジンのフィーリングが意外と良かったことと、車重がかさむディーゼルの乗り心地が硬かったことを天秤にかけ、何回も乗り比べて検討しました。最終的には、ディーゼルの試乗車のタイヤ空気圧が高めであることを助手席の営業担当氏が気づき、規定の圧に落としたところゴツゴツ感が大幅に低減されたので、ディーゼルに決心した次第。ちなみに人生初のAT車です。
数年前まで、欧州に出張に行った際のレンタカーはたいていディーゼルのコンパクトカーが出てきたので、このあたりの車格+ディーゼルエンジンの組み合わせの感覚は(とくにMTでは)非常に好みだったのですが、そんな欧州車の乗り味に近い部分もどこか感じます。まぁそれは言い過ぎな部分があるとしても、少なくとも国内出張でよく乗る「一般的に普及している国産コンパクトカー」と比べたときの、ステアリングを握っている「気分」は別格。この車格でこの感覚が味わえるのが、まずは日々乗っていて気持ちいいところです。
助手席リザーバーの妻も高評価(ココ重要)!
ディーゼルのトルクはやはり病みつきになるし、高回転域でトルクが足りないっていう感覚も、個人的にはあまりありません。いわゆる「信号ダッシュ」とか高速の合流点での加速などを重視する自分としては、このエンジンは最高に実用度が高く……なんというか「いい友だちになれる」ヤツなんですね。肩肘張ってないというか。
ディーゼルってエンジン音がうるさいのでは? という疑問については、まっっっったく問題ございません。だってNCロードスターは80km/h超えたら、まともに会話なんてできませんでしたから。妻も「今度のクルマは静かでいいね」なんて言ってくれます。参考にならなくてすみません(ちなみに助手席リザーバーである妻の評価ポイントとしてもっとも高いのは「荷物が載せられる」「人が3人以上乗れる」という2点。ま、そうだよね……)。
でも、じつは一番気に入ってる点は「ドライビングポジションが良い」ことかもしれません。最初に乗ってポジションをとったときの感想は「なにこれ、ロードスターと同じじゃん!」
もちろんロードスターとCX-3では車高が全然違うので、シートを基準にした場合の足(脚ではなく)の高さはまったく異なります。が、感覚としては「ロードスターと同じポジションがとれている」のです(ちなみにこれは参考までに試乗させてもらったCX-30、Mazda 3でも同様でした)。最近のマツダがなにを重視しているか、この瞬間に身体が理解してしまいました。オルガン式のアクセルペダル含め、本当すべてが「自然な位置にある」からそう感じるわけですが、そのことがもたらす快感って、かなり重要なんじゃないかと実感したわけです。
でもあえて、残念ポイントを挙げさせていただくと
では、残念だった点にいきましょうか。まずは燃費が意外と良くない(高速主体でもせいぜい18km/ℓとか)こと。これについては「オマエの乗り方の問題だろ」とよく言われますので(まぁ「踏む方」だという自覚はあります)、人によっては問題のない数値まで伸ばすことが可能でしょう。
あとはクラクションの音が「軽自動車かよ!」ってくらいショボすぎること。はっきり言って安っぽすぎる! これは何気ないけどかなりのガッカリポイント。自動車を試乗される際にクラクションを鳴らす方は稀かと思いますが、みなさん鳴らしてみた方がいいですよ……。
MAZDA CX-3 XD
全長×全幅×全高:4275mm×1765mm×1550mm
ホイールベース:2570mm
車重:1300kg
サスペンション:
F|マクファーソンストラット式
R|トーションビーム式
駆動方式:FF
エンジン
形式:1.8ℓ直列4気筒DOHCディーゼルターボ
型式:SKYACTIV-D1.8
排気量:1756cc
ボア×ストローク:79.0×89.6mm
圧縮比:14.8
最高出力:116ps(85kW)/4000rpm
最大トルク:270Nm/1600-2600rpm
燃料供給:コモンレール式筒内燃料直接噴射(DI)
燃料:軽油
燃料タンク:48ℓ
燃費:WLTCモード燃費 20.0km/ℓ
市街地モード 16.8km/ℓ
郊外モード 20.0km/ℓ
高速道路モード 22.2km/ℓ
トランスミッション:6速AT
車両本体価格:249万2600円