火曜日はカーデザインの話題を! 新型車、そして歴代車、初代モデルなど現代に息づくクルマのデザインのその理由に迫る企画を展開。難しいと考えがちなデザインの話だが、じっくり見れば見えてくる。なぜここが違うのだろうと考えればその理由がわかってくる。それがデザインの本質。ここではそんな、見過ごしがちのカーデザインの話を展開していきましょう。
ティザー動画から見えてしまった憶測と期待
まず印象的なのは、サイドウインドウラインの流れに沿ってクロムのアクセントラインを配置している点だ。これは、アリア・コンセプトやIMkコンセプト、IMsにも見られるもので、量産モデルにもひとつのアクセントとして表現されていくようだ。これを用いる最大のメリットは、空力的、室内空間的要件によって構成せざるを得ないルーフラインに対して、ウインドウラインを強調でき、純粋な美しさという観点からのデザイン的に“狙ったフォルム”を印象付けることができる。
とりわけ、アリア・コンセプトに見るサイドビューの流麗さは、このクロムのウインドウライナーと、滑らかに流れるルーフラインのふたつのハーモニーによるところが大きいと思う。
ブラックアウトの狙いは、基本的にはノーズ&ボンネットをさらに長く流麗に見せることだ。
ではなぜ、リヤオーバーハングを長くしたかったのか? これはティザーから見える造形の仮説でしかなく、真実は異なっているのかもしれないのだが、ちょっとロマンのある話をしたいと思う。
テールエンドを低くする、力まないスタンス
この新型フェアレディZのティザー画像によって、初代へのリスペクトということがよく語られているが、それはフロントのデイライト(らしきもの)の形状と、リヤセクションの切れ長さから推察されるものだろう。
また、リヤオーバーハングを長くすることによって、テールエンドを低くすることもできたようだ。通常、ハイデッキ化する傾向にあるのが一つの流れだが、新型Zはちょっと異なる方向性を示している。写真を見ると、ボンネットとフロントウインドウ下端よりも低いのではないかと思えるほどで、新型Zの後ろに立ってみれば、「かなり低いな」と実感できるはずだ。
またテールエンドに向かって、ダックテール的な造形ではなく、なんのためらいもなく滑らかな面となっている点を見ると、ボディ下面でのエアコントロールが万全であることが推察できる。また、あるいは格納式のウイングが設置されているかもしれない。