バイク、特に古いモデルや原付にはウインカーが装備されていないモデルもある。今の路上でそんなモデルが走っていたら危険極まりない。これは違反にならないのだろうか?という素朴な疑問に対する答えを探してみた。
これは何も原付に限った話ではなく、自動二輪に該当するモデルでも同じこと。写真のBMW R51/3は1951年のモデルだが、どう見てもウインカーがない。でも当時はこれで車両法的には問題なかったのだ。
同じBMWでもずっと新しい1972年頃のR75/5には当然ウインカーが装備されている。では1950年代の後半から60年代のいずれかのタイミングでウインカー装備が必須になったのだろう。
そう思って筆者が所有するベスパのご先祖様を調べてみると、1955年に発売された150GSにもウインカーは装備されていない。この手の古いバイクの場合、どうやって右左折すればいいのだろうか?
実はこれ、管轄地により違いがあるかもしれないが、免許を取得する際に教わっているはずなのだ。バイクで右左折しようとしてウインカーが使えない場合、手信号による方向指示が義務付けられているのだ!
その次の2ページ目をご覧いただきたい。3の項目に昭和44年3月31日以前に製作された原動機付自転車には保安基準第63条の2第1項の規定は適用しない、とある。つまりウインカーや腕木式方向指示器が装備されていなくても良い、ということなのだ。
では気になる自動二輪車だとどうなのだろう。実は自動二輪車に対してウインカー装備が義務化された資料を見つけることができなかった。だから何年までに製造された自動二輪車であればウインカーがなくても大丈夫、というお墨付きは法律的にない。慣例的にウインカーが装備されるようになったことで、現在の法律ではウインカー装備が義務化されたようだ。
では、いつからウインカー装備が慣例化されたのだろう。前回の記事で紹介したホンダ・スーパーカブC100は1958年発売ながらウインカーが装備されていた。ところが1959年発売のベンスパ、ベンリィ・スーパースポーツCB92にはウインカーが装備されていないのだ。
同じCBの125ccモデルでも1964年発売のCB125だとウインカーがしっかり装備されている。元祖CB92にはなくてCB125にあるのだから、おそらく1960年代になってメーカーでもウインカーを標準装備することにしたのだろう。
ちなみに今回紹介したウインカー装備のないモデルであっても、現在路上を走っていて捕まることはない。ただ手信号による方向指示は必然だから、これを怠って右左折すると捕まることになる。また車検が必要なバイクの場合、ウインカーが新車時に装備されていなかったことを証明しなければ継続検査に合格しない。こうしたことを踏まえて、古いモデルを楽しんでいただきたい。