NTNは、手のひらサイズのコンパクトで持ち運びもセットも簡単、簡単操作で高度な軸受診断ができる回転機械の定期チェックに有効な「NTNポータブル異常検知装置」を2020年5月より販売する。
本商品は、測定・解析時間が約7秒と短く、また、測定する装置や環境に合わせた4つの設置方法(マグネットによる簡単設置やねじ止めによる確実な取り付けなど)による取り扱い性が容易であり、1回の測定で、OA*1、FFT*2を同時に解析可能。また、本商品を用いた診断・分析レポートを提供するサービスも開始し、設備のメンテナンス性向上に向けた総合的な技術サービスを拡充していく。
【用途】電動機械(昇降機、ポンプ、搬送機械)、製紙機械、プラント設備、工作機械、一般産業機械の設備保全、出荷検査、サービス員携帯用
【販売目標】2023年度50百万円/年
【商品仕様】
サイズ 幅41mm×奥行36mm×高さ87mm
重量 145g
防塵・防滴性 IP65準拠
測定・分析手段 AppleiOS対応スマートデバイス+専用アプリ
測定・解析内容 振動OA値(加速度/速度/変位)、
FFT分析による軸受や機械の損傷個所の推定および異常検知
【従来品からの主な改良ポイント】
・解析プログラムの最適化で測定・解析時間を約半分に短縮(約15秒から約7秒に)。
・マグネットやねじ止めによる直接締結など4つの設置方法から任意に選択可能。
・解析用スマートデバイスを、Androidから、iOS対応に変更。
・振動ピックアップ、電池ボックス、接続ケーブルの3部品を、一体化。
・IP65対応。
NTNは、本商品を単体販売するほか、本商品を用いた診断・分析レポートなど顧客のニーズに合わせたサービスの提供も予定している。また、機械振動の測定や異常診断などに特化した技術講習会の開催など、技術サービスも拡充する。
これまで、機械保全は技能員の経験や感覚などを頼りに行っていたが、近年は人材不足などによりノウハウの蓄積が困難になっており、機械の異常を検知するツールへのニーズが高まっている。また、予防保全の重要性に対する認識の向上により、生産ラインだけでなく、搬送や油空圧機器など付帯設備にまで状態監視へのニーズが広がってきている。NTNの顧客からも、軸受商品だけにとどまらず、予防保全に関するノウハウの提供も含めた総合的な技術サービスへの要望が高まっているという。
こうしたニーズに対応するため、NTNは振動データの収集・分析・結果表示が可能な「ハンディ型異常検知装置」*3を2014年に開発し、市場に展開してきた。その後、小型化と機能
*4
向上を図った「NTNポータブル異常検知装置」を2018年に開発し、市場で多くのトライアルを行う中で、さらに解析機能を改良し、取り扱い性も高めた本商品の販売を開始することになった。NTNは、本商品の販売を機に予防保全に対応する技術サービスを一層拡充するとともに、センシング技術やデジタル技術を活用し、機械設備のライフサイクル延長や生産効率の向上に貢献するサービス・ソリューション事業を拡大していく。
*1 OA:「OverAll」計測した振動波形の全体を用い、実効値やピーク値などを算出する手法
*2 FFT:「高速フーリエ変換(FastFourierTransform)」を用いて周波数スペクトルを求め、入力信号を分析・ 解析する手法
*3 「ハンディ型異常検知装置」を開発:2014年2月プレスリリース
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201400008.html
*4 「ポータブル異常検知装置」を開発:2018年11月プレスリリース
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201800107.html