様々なメーカーがクルマを開発しているが、その過程には様々な苦労や葛藤があるに違いない。とりわけ、長い歴史を誇るモデルでは、全くのゼロからのスタートした初代はもちろん、代替わりの際の重圧もあっただろう。今回はまもなく新型が登場する「トヨタ・ハリアー」の開発ストーリーを初代から三代目まで振り返ってみることにしよう。
REPORT:ニューモデル速報編集部
まもなく4代目となる新型の発売を予定しているハリアー。その初代モデルが誕生したのは1997年のことだ。開発でチーフエンジニアを務めた内本恒男は、「日米ともにMPV(多用途車)が流行っていて、97年には全需要の50%を超える勢いがある。消費者はセダンに飽きてきた上に、使い勝手の制約に不満もあった。一度でもミニバンやSUVの高いアイポイントを経験すると戻れない。」と振り返った。
インテリアは“ちょっと着崩したフォーマル”をテーマに、キルティングパターンを施したシート表皮や本杢調パネル、本革調のトリムなどを用いて本物を超えた高級感を表現するために、初期段階から素材を吟味するというユニークな手法でデザインされた。
そんな三代目ハリアーは、お買い得感も魅力であり、当時の優遇税制恩典を確保するべく2.0L直4を搭載。FF車で280万円と価格を抑えることにも成功した。初代と二代目はプレミアム路線を目指していたが、三代目はライフステージではなくライフスタイルで選ばれるクルマとして仕上げられた。