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V型エンジンのセオリー V2/V3/V6エンジン | 各種のエンジンの特質と動作を構造から考えてみる。V型エンジンの基礎知識①


自動車用のエンジンとして、非常に数多くの種類が生み出されてきた。


その理由は動力性能の追求、搭載性の都合、生産と設計の共通化など、さまざまである。


それらを踏まえ、現代まで生き残ったものがあり、消滅していったものがある。


ここでは各種のV型エンジンを、機械的な構成から紹介していこう。


まずは、V型2気筒、V型4気筒、そしてV型3気筒から。


TEXT:MFi ILLUSTRATION:熊谷敏直(Toshinao KUMAGAI)

 エンジン出力を向上させるなら、単筒容積を増やすのが早道。しかし寸法の拡大にも限度があるため、次の手段としてシリンダー数を増やすこととなる。さまざまな気筒配列のエンジンが現れては消えていった。その「いくつもあるシリンダー」を効率的に運転させるためには、一定の約束事が定められている。


1)点火のタイミングが等間隔であること


2)複数シリンダー間で、膨張行程にバランスを持たせること


 ご存じ、自動車用のエンジンは4ストロークサイクルを用いて、これは4つのストロークのうち、膨張行程でしかトルクを生み出さない。クランクシャフト2回転(720度)のうちおよそ540度は、180度の膨張行程を得るコストとして働いているわけだ。そこで、2気筒なら360度ごと(720÷2)、3気筒なら240度、4気筒なら180度、5気筒なら144度──という具合に点火のタイミングを設定し、トルクの発生が連続的に、途切れないようにしている。5気筒以上ではクランク半回転以内に次のトルクが発生するため、クランクの回転という視点でのみ考えれば、4気筒以下に比べて効率がいいのが理解できるだろう。V型エンジンは、多気筒を効率的に並べるため左右バンクでクランクピンを共有するのが最大の特徴。そして、その数字がそのままVバンクとしての理想値となる。実際には、振動やねじれなどの問題があるため、さらに複雑な設計が求められる。

V型2気筒

V型2気筒


2014 年現在、V2を搭載する自動車はなく、もっぱら二輪車のためのエンジンとして存在する。理論的には360 度ごとの点火タイミングであり、等間隔点火のV型とするなら並列2 気筒の構造。しかし、二輪車の世界では不等間隔点火を車両の特徴として生かす側面が大きく(P070~)、ここに示す90 度のほかにも、搭載性やトルクの発生タイミング、重心の設定などの技術的視点から、非常に多くのバンク角を持つエンジンが存在する。

並列2気筒 | 自動車用としての2 気筒は、フィアットのツインエアが最近の例。360 度クランクを持ち、ふたつのシリンダーを交互に膨張行程とする。振動はバランサーで抑えているが、燃焼/慣性それぞれのトルク変動の大きさが課題のひとつ。

V型4気筒

V型4気筒 | 理論的には720÷4=180度が点火タイミングであり、事実、世の大勢を占める直列4 気筒ではその点火タイミングを採っている。しかし180度V型として仕立てると、例えば右前~左後~右後~左前のような点火順序となり、トルクの発生によりエンジンが激しく揺さぶられる構造となってしまう。自動車用エンジンとして仕立てるにはまったく現実的ではなく、その際には水平対向構造を用いるのが一般的だ(P047~)。

ランチアの狭角V4 | V4で想起することの多いエンジン。排気量によって異なるものの、おおよそ13度のバンク角を持つバリエーションである。しかしこれらはクランクピンを別としているため、直列4 気筒の変形として考えるほうが順当。illustration◎大内 誠

V型3気筒

V型3気筒 | 二輪車は不等間隔点火を逆手に取って車両のキャラクターにするということに加え、360 度で1サイクルを終える2 ストロークということも手伝い、ホンダのMVX250F やNS400という2 車種がV3 の市販化にこぎ着けている。写真はホンダのGPレーサー・NS500。前1気筒/後2 気筒:112 度の構造をとり、早くも不等間隔点火としていたのが特徴のひとつ。

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