![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_main10014563_20200425184957000000.jpg)
SUV、クロスオーバーが人気だが、端正で使い勝手もよく、もちろん走りもいい、となれば、やはり4ドアセダンだ。大きすぎなくて高価すぎない上質セダンを探すなら340〜360万円台。新型アウディA3セダン登場で激戦区となるこのカテゴリーの魅力的な7台を比べてみる。新型アウディA3セダン、メルセデス・ベンツAクラスセダン、BMW2シリーズ・グランクーペ、トヨタ・プリウス、マツダMAZDA3セダン、ホンダ・インサイト、スバルWRX S4である。
セダンの美しさ、良さが凝縮されたクラス
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世界的にSUV/クロスオーバーが人気を集めていて、3ボックス・セダンの販売台数は決して多くはない。が、しかしだからと言って魅力がないかといえば、それは違う。流麗なボディスタイル、高い空力性能、独立したトランクルームがある使い勝手の良さ、低い重心高による走りの良さなどセダンだからこそのアドバンテージもある。
ジャーマン・プレミアム3であるメルセデス・ベンツ、BMW、アウディは主力のDセグメントのセダン(Cクラス、3シリーズ、A4)よりコンパクトなCセグメントのセダンを設定している。Cセグはハッチバックが定番という欧州はともかく、北米、中国市場はいまだに「クルマといえば3ボックスのセダン!」という志向が強いからという理由もあるのだろう。
従来はベースになったハッチバックにトランクスペースを足しただけのようなデザインのクルマもあったが、記念は力の入ったモデルを開発してきている。
その最新例がアウディA3セダンだ。
BMWは2シリーズにグランクーペというクーペライクな4ドアモデルを投入している。
さて、このカテゴリーの主役は上記のドイツ3モデルだけではない。日本車にもトヨタ・プリウス、マツダMAZDA3セダン、ホンダ・インサイト、スバルWRX S4といったモデルが存在する。
この7モデルの価格帯を表にしてみた。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128403_202004261118080000001.jpg)
アウディA3セダンの新型の日本導入時期などは未定なため、もちろん価格もわからない。表には現行モデルの価格帯を入れてある。また、アウディS3やBMWのMモデルなどのハイパフォーマンス版は除いた。あくまでも「普段使いできる上質でちょうどいいサイズのセダン」という基準にしてある。
この表でもわかるように、ドイツ勢と日本勢の価格がオーバーラップする価格帯が340〜360万円台なのだ。
次は、ボディサイズ比較
このクラスのセダンの長所は、そのサイズ感だ。Dセグ・セダンになると軒並み全長が4700mm超え、日産スカイラインは4800mm超え、トヨタ・クラウンでは4900mmを超えてしまう。
後席にも大人がちゃんと乗れて大きすぎない、というのが今回取り上げるCセグ・セダンなのだ。
まずはジャーマン・プレミアム3の3モデルから
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■アウディA3 SEDAN(新型)
全長×全幅×全高:4495mm×1816mm×1425mm
ホイールベース:2636mm
現行モデルの価格
30TFSIシグネチャーエディション(エントリーグレード):349万円
1.4ℓ直4ターボ(122ps/200Nm)+7速DCT
価格帯:323万円~465万円
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■BMW2シリーズグランクーペ
全長×全幅×全高:4535×1800×1430mm
ホイールベース:2670mm
218iグランクーペ(エントリーグレード):369万円
B38型1.5ℓ直3ターボ(140ps/220Nm)+7速DCT
価格帯:369万円~448万円(Mモデルは除く)665万円
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■メルセデス・ベンツAクラスセダン
全長×全幅×全高:4550×1800×1430mm
ホイールベース:2730mm
A180セダン(エントリーグレード):347万円
M282型1.3ℓ直4ターボ(136ps/200Nm)+7速DCT
価格帯:347万円~599万円
全長は、意外なことに新型アウディA3セダンが一番短い。
A3セダン:4495mm
2シリーズ・グランクーペ:4535mm
Aクラスセダン:4550mm
となっている。ひとつ上のDセグ・セダンでは
A4:4750mm
3シリーズ:4715mm
Cクラス:4690mm
とアウディが一番大きいのだが、Cセグ・セダンではアウディがもっとも短いのだ。
今回登場するドイツ3モデル、日本4モデルは、スバルを除いてすべてフロントにエンジンを横置きするFFベースだ。サイドビューをみると、それぞれのメーカーのクルマづくりが見えて面白い。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128414_202004261124500000001.jpg)
注目したいのは、フロントアクスルセンター(前輪中心)からフロントドアのパーティングライン。「プレミアムレングス」と呼ばれる部分だ。ここが長いとプレミアム感を出しやすい。フロントにエンジンを縦置きするFRベースのモデルはここを長くとれるのだ。
この3台で言えば、BMW2シリーズ・グランクーペがもっとも長い。「クーペ」を名乗るだけあって、ルーフラインからトランクへの流れももっとも流麗なのがBMWだ。その分全長は長くなる。
国産4モデルは、ドイツ勢よりやや大きい。ブランド性で後れをとる関係上、サイズで取り返す(「同じクラスで、少し安くて少し大きい。走りは同等ですよ。燃費ははるかにいいですよ」ということかもしれない。
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■トヨタ・プリウス
全長×全幅×全高:4575×1760×1470mm
ホイールベース:2700mm
Aプレミアム・ツーリングセレクション(FF最上級グレード)
:334万5100円
1.8ℓ直4+THSⅡ(98ps/142Nm)
価格帯:256万5200円~354万3100円
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128421_202004261128430000001.jpg)
■スバルWRX S4
全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
ホイールベース:2650mm
2.0GTアイサイト(エントリーグレード):343万2000円
FA20型2.0ℓ水平対向4ターボ(300ps/400Nm)+CVT
価格帯:343万2000円~416万9000円
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128423_202004261133110000001.jpg)
■マツダMAZDA3セダン
全長×全幅×全高:4660×1795×1445mm
ホイールベース:2725mm
X Lパッケージ(SKYACTIV-Xエンジン搭載のFF最上級グレード):338万463円
SKYACTIV-X2.0ℓ直4(180ps/224Nm)+6AT
価格帯:251万5741円~361万6963円
■ホンダ・インサイト
全長×全幅×全高:4675×1820×1410mm
ホイールベース:2700mm
EX(上級グレード):356万4000円
1.5ℓ直4+i-MMD(109ps/134Nm)
価格帯:332万2000円~369万6000円
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4台を横並びに見てみよう。
全長は
プリウス:4575mm
WRX S4:4595mm
MAZDA3セダン:4660mm
インサイト:4675mm
写真はリヤアクスルセンターで合わせてある。それぞれ特徴的なサイドビューであることがわかる。スバルはやはりフロントオーバーハングが(水平対向エンジンを搭載するために)長め。マツダがもっともホイールベースが長く(2725mm)、前述の「プレミアムレングス」も長くとっている。
パワートレーンは、ドイツ勢と日本勢でまったく違うところだ。まずはドイツ3モデルから。
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A3 SEDAN(新型)
発表されたばかりの新型A3セダンの主力エンジンは、VW/アウディの「ダウンサイジングからライトサイジングへ」の流れに沿って、1.4ℓから1.5ℓに排気量をアップそたEA211evo型。日本導入モデルがどうなるかわからないが、欧州仕様のスペックは
35TFSI
エンジン形式:1.5ℓ直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:EA211evo
排気量:1498cc
ボア×ストローク:74.5mm×85.9mm
圧縮比:12.5
最高出力:150ps(110kW)/5000-6000pm
最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
となっている。組み合わせるトランスミッションは7速DCTだ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128433_202004261209270000001.jpg)
今回唯一3気筒エンジンを積むのが2シリーズ・グランクーペのエントリーグレード、218iだ。
218iグランクーペ
エンジン形式:1.5ℓ直列3気筒DOHCターボ
エンジン型式:B38型
最高出力:140ps/4600rpm
最大トルク:220Nm/1480-4200rpm
組みわせるトランスミッションは7速DCTだ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128435_202004261222020000001.jpg)
AクラスセダンのエントリーグレードであるA180セダンが搭載するのもダウンサイジング過給ユニットだ。
A180セダン
エンジン形式:1.3ℓ直列4気筒DOHCターボ
エンジン型式:M282型
最高出力:136ps/5500rpm
最大トルク:200Nm/1460-4000rpm
組みわせるトランスミッションは7速DCTだ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128437_202004261317540000001.jpg)
プリウスは、もちろん1.8ℓエンジン+THSⅡ。高い燃費性能には定評がある。
エンジン形式:1.8ℓ直列4気筒DOHC
エンジン型式:2ZR-FXE
排気量:1797cc
ボア×ストローク:80.5mm×88.3mm
圧縮比:10.6
最高出力:98ps(72kW)/5200pm
最大トルク:142Nm/3600rpm
モーター:1NM型
最高出力:72ps(53kW)
最大トルク:163Nm
トランスミッションは、THSⅡだからカタログ表記的には「電気式CVT」となる。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128439_202004261340320000001.jpg)
WRX S4のエンジンは、FA型水平対向4気筒DOHCターボである。WRX STIのEJ20型よりは新しいBOXER4ターボだ。組み合わせるのはスバルのリニアトロニック。チェーン式CVTである。WRX S4はすべてAWDとなる。
エンジン形式:2.0ℓ水平対向4気筒DOHCターボ
エンジン型式:FA20
排気量:1998cc
ボア×ストローク:86.0mm×86.0mm
圧縮比:10.3
最高出力:300ps(221kW)/5600pm
最大トルク:400Nm/2000-4800rpm
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128441_202004261340330000001.jpeg)
MAZDA3セダンは2.0ℓ直4DOHCのSKYACTIV-G2.0と1.8ℓ直4ディーゼルターボのSKYACTIV-D1.8も選べるが、最上級となると話題のSKYACTIV-X搭載モデルとなる。パワースペック、燃費性能ももちろんだが、他のエンジンとは違うSKYACTIV-Xのフィールも魅力だ。
エンジン形式:2.0ℓ直列4気筒DOHC+SC
エンジン型式:SKYACTIV-X
排気量:1997cc
ボア×ストローク:83.5mm×91.2mm
圧縮比:15.0
最高出力:180ps(132kW)/6000pm
最大トルク:224Nm/3000rpm
組み合わせるトランスミッションはマツダ自製の6速AT。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10014563/big_3128443_202004261320450000001.jpeg)
インサイトは、ホンダが今後主流としていく2モーター式ハイブリッドe:HEV(これまではi-MMDと呼んでいた)を積む。
エンジン形式:直列4気筒DOHC
型式:LEB-H4型
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:13.5
最高出力:109ps(80kW)/6000rpm
最大トルク:134Nm/5000rpm
モーター:H4型交流同期モーター
最高出力:131ps(96kW)/4000-8000rpm
最大トルク:267Nm/0-3000rpm
パワートレーンは、ドイツ勢はダウンサイジング過給エンジン+7速DCTで揃う。もちろん、ディーゼルや48V MHEVといったパワートレーンも用意するが、あくまで主力はダウンサイジング過給エンジン+7速DCTだ。対する日本勢には、欧州勢が追いつけない「ストロングハイブリイド」という武器がある。プリウスのTHSⅡ、インサイトのe-HEV(i-MMD)は、燃費性能ではドイツ勢を上回る。
MAZDA3には、SKYACTIV-Xという革新的燃焼方式を採る新世代ガソリンエンジンが載る。トランスミッションはトルコンを使う6速AT。WRX S4は、これまた水平対向4気筒直噴ターボという、独自のユニットがある。トランスミッションもスバルだけのチェーン式CVTを使う。
こうしてみると、デザインといい、パワートレーンといい、どのモデルも個性的だ。
諸経費まで考えたら400万円、というのは多くの人にとってクルマ購入の「上限」だと思う。この価格帯にこれだけ個性があって魅力的なセダンがあるというのは、もっと多くの人に気づいてほしい、ところである。