あのアニメのプラモだから「ガンプラ」、クルマのプラモデルだから「カープラ」。外出がままならない今、肩の力を抜いてちょっとカープラを作ってみませんか? 気になるカープラをピックアップして実際に組み立てながら、実車も振り返ってみましょう。 今回はコンパクトSUV市場でヒットを飛ばしたトヨタC-HRのカープラを取り上げてみました。
(クレジット)
TEXT&MODEL-BUILD:高橋昌也
PHOTO:トヨタ自動車
C-HRってどんなクルマ?
C-HRは2010年代中半以降、世界的に拡大するコンパクトSUV市場に向けてトヨタが放ったクルマで、日本では2016年11月上旬からwebで先行予約が開始され、同年12月14日に発売されました。
20~30代の若年層をも視野に徹底的にデザインにこだわり、SUVでありながらクーペのような「新ジャンル感」あふれるフォルムを訴求しているのが外観上の大きな特徴であり個性になっています。コンセプトとしては、かつて好評を博した初代RAV4(XA1系)を彷彿とさせるものがありますね。
また、C-HRは2015年に登場したZVW50系プリウス(現行・4代目)に続くトヨタの「もっといいクルマづくり」実現に向けたTNGA(Toyota New Global Architecture。パワートレーンユニットとプラットフォームを一新し、全体最適を考えて新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を飛躍的に向上させることを目指すクルマづくりの構造改革のこと)第2号車で、ZVW50系プリウスと同じGA-C(Global Architecture-Compact)プラットフォームを用いながらも運動性能にこだわった独自の味付けが施され、「我が意の走り」というコンセプトを実現しています。
2017年にはSUV新車販売台数第1位を獲得するほど人気を集めて好評を博しています。
2020年4月現在、C-HRはフルモデルチェンジしていませんから代替わりしていませんが、販売されている最新版は2019年10月18日にマイナーチェンジされた後のモデルになります(仮にここでマイナーチェンジ前のモデルを「前期型」、後の最新型を「後期型」と呼ぶことにします)。
C-HRの年譜
現在までのC-HRの歩みは以下のようになります。
2016年12月14日
新車発売
2017年8月2日
新色(8パターンのツートーン)設定によりボディカラーを全16色へ拡大
2017年11月2日
特別仕様車“LED Edition”を設定
2018年5月7日
一部改良。1.2Lターボ車に2WD車を追加設定
すべての光源を LED 化した大型ヘッドランプを標準装備
ボディカラー全16色のうち一部を新規色と入れ替え
2018年12月3日
GおよびG-Tグレードに“Mode-Nero”と “Mode-Bruno”の2種類の特別仕様車を設定
2019年10月18日
マイナーチェンジ
ワイドスタンスを強調するフロント&リヤスタイルへデザイン変更
新たに“GR SPORT”を設定
ディスプレイオーディオ(DA)や車載通信機DCMを標準装備
インテリジェントクリアランスソナー[パーキング サポートブレーキ(静止物)]をオプション設定
C-HRのグレード
●CH-R前期型(2016年12月~)のグレード
S-T/G-T
パワーユニット:1.2Lターボ(8NR-FTS)エンジン+CVT(7速シフト付き)
駆動方式:4WD
価格(税込み・当時):251万6400円~277万5600円
S/G
パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{1.8L(2ZR-FXE)エンジン}]
駆動方式:FF・2WD
価格(税込み・当時):264万6000円~290万5200円
特別仕様車 “LED Edition”(2017年11月)
S-T“LED Edition”/G-T“LED Edition”
パワーユニット:1.2Lターボ(8NR-FTS)エンジン+CVT(7速シフト付き)
駆動方式:4WD
価格:(税込み・当時)254万400円~279万9600円
S“LED Edition”/ 特別仕様車 G“LED Edition”
パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{1.8L(2ZR-FXE)エンジン}]
駆動方式:FF・2WD
価格(税込み・当時):267万円~292万9200円
特別仕様車“Mode-Nero”/ “Mode-Bruno”(2018年12月)
G-T“Mode-Nero”/G-T“Mode-Bruno”
パワーユニット:1.2Lターボ(8NR-FTS)エンジン+CVT(7速シフト付き)
駆動方式:FF・2WD/4WD
価格(税込み・当時):265万5200円~284万9600円
G“Mode-Nero”/G“Mode-Bruno”
パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{1.8L(2ZR-FXE)エンジン}]
駆動方式:FF・2WD
価格(税込み・当時):297万9200円
CH-R後期型(2019年10月~)のグレード
S-T/S-T“GR SPORT”/G-T
パワーユニット:1.2Lターボ(8NR-FTS)エンジン+CVT(7速シフト付き)または6速MT(S-T“GR SPORT”は6MTのみ)
駆動方式:FF・2WD/4WD(S-T“GR SPORT”は2WDのみ)
価格(税込み):236万7000円~286万3000円
S/S“GR SPORT”/G
パワーユニット:ハイブリッド[リダクション機構付きTHSⅡ{1.8L(2ZR-FXE)エンジン}]
駆動方式:FF・2WD
価格(税込み):273万円~309万5000円
C-HRの主要諸元
●C-HR前期型主要諸元
G/S
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4360×1795×1550mm
ホイールベース:2640mm
車重:1440kg
駆動方式:FF・2WD
パワーユニット:ハイブリッド(リダクション機構付きTHSⅡ)
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ (2ZR-FXE)
最高出力:98ps(72kW)/5200rpm
最大トルク:14.5kgm(142Nm)/3600rpm
モーター:交流同期電動機
最高出力:72ps(53kW)
最大トルク:16.6kgm(163Nm)
トランスミッション:CVT
タイヤ:(前後)225/50R18(G),215/60R17(S)
燃費:30.2km/L(JC08モード)
G-T/S-T
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4360×1795×1565mm
ホイールベース:2640mm
車重:1470kg
駆動方式:4WD(2018年5月FF・2WD追加)
エンジン:1.2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(8NR-FTS)
最高出力:116ps(85kW)/5200-5600rpm
最大トルク:18.9kgm(185Nm)/1500-4000rpm
トランスミッション:CVT
タイヤ:(前後)225/50R18(G-T),215/60R17(S-T)
燃費:15.4km/L(JC08モード)
●C-HR後期型主要諸元
G/S/S“GR SPORT”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4385(S“GR SPORT”は4390)×1795×1550mm
ホイールベース:2640mm
車重:1440(S“GR SPORT”は1450)kg
駆動方式:FF・2WD
パワーユニット:ハイブリッド(リダクション機構付きTHSⅡ)
エンジン:1.8リッター直4 DOHC 16バルブ (2ZR-FXE)
最高出力:98ps(72kW)/5200rpm
最大トルク:14.5kgm(142Nm)/3600rpm
モーター:交流同期電動機
最高出力:72ps(53kW)
最大トルク:16.6kgm(163Nm)
トランスミッション:CVT
タイヤ:(前後)225/45R19(S“GR SPORT”),225/50R18(G),215/60R17(S)
燃費:30.4(S“GR SPORT”は29)km/L(JC08モード)
G-T/S-T/S-T“GR SPORT”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4385(S-T“GR SPORT”は4390)×1795×1550(4WDは1565)mm
ホイールベース:2640mm
車重:1440(G-T/S-Tの6MTは1390、4WDは1470)kg
駆動方式:FF・2WD/4WD
エンジン:1.2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(8NR-FTS)
最高出力:116ps(85kW)/5200-5600rpm
最大トルク:18.9kgm(185Nm)/1500-4000rpm
トランスミッション:CVT/6MT
タイヤ:(前後)225/45R19(S-T“GR SPORT”),225/50R18(G-T),215/60R17(S-T)
燃費:16.4(6MTは15.2,4WDは15.4)km/L(JC08モード)
C-HRのカープラ
現在のところトヨタC-HRのカープラは、アオシマ(アオシマ文化教材社)から1/32スケールのものが出ているだけですので、さっそく大手通販サイトで購入しました。
実車の1/32という大きさはカープラのスケール(縮尺)としては比較的珍しいものですが、なかなかお手頃なサイズ感です。実はこのスケール、現在では走行性能重視のオリジナルマシンが主流なので意味合いが薄れたものの、「日本で一番売れたカープラ」であるタミヤの『ミニ四駆』がシリーズ開始当初に採用したスケールでもあります。
そう考えると、組み立ては接着剤不要、カラーリングは成形色を生かしてシールで各部カラーリングを再現というこのカープラの基本コンセプトは『ミニ四駆』にかなり近しく、本格的なスケール・カープラの入門編として『ミニ四駆』あたりからスムーズに移行できる格好の製品と言えるでしょう。
何年振りかで「プラモデルを作る」という人にももってこいなので、今回はメーカーの意向(?)を重視して、何も手を加えずに組み立ててみたいと思います。「成功体験」こそが次のカープラ作りへの最大のモチベーションですから、まずは完成を目指します。
なお、このカープラは商品名には「トヨタC-HR」とあるだけですが、詳しく言えばC-HRの前期型、ハイブリッドのGグレードを模型化したものです。トヨタのハイブリッド車はトヨタの「T」の字をデザインしたエンブレムに青い影がついているのが特徴で、大変小さいのですが、このカープラのカラーリング用シールでもそれが再現されていますからハイブリッド車であることがわかります。またホイール形状からGかG-Tグレードなのがわかりますが、ハイブリッドなのでGですね。
なお、このC-HRのカープラには4色のボディカラーがあり、お好みで選べます。今回組み立てたのは「メタルストリームメタリック」ですが、このほか「ホワイトパールクリスタルシャイン」、「ブラックマイカ」、「センシュアルレッドマイカ」があります。もちろんボディカラーとカラーリング用シールの色以外はすべて同じ内容です。
C-HRを作ってみた
組み立て説明書に従って作れば、たいして苦労もなく完成させられるでしょう。『ミニ四駆』やアニメのロボット物のプラモデルを作ったことがある人なら恐らく楽勝だと思います。
このカープラの組み立てのすべてはシール貼りにあると言っても過言ではありません。ここがこのカープラのハイライトであり最大の難所です。それが何と組み立て順序の一番最初にあります。
シールは細くて複雑な形状のものもありますので、そのまま貼ろうとするのではなく、貼りやすい大きさや長さ、形にカットしてチマチマと貼り進めるのが良いと思います。たとえばウインドモールのような「ロの字」のシールはそのまま貼ろうとすると苦戦しますから、「コの字とIの字」や「Iの字、二の字、Iの字」のように分割して貼るというのもオススメです。この辺は頭の使いどころですね。
また、シールはアルミ蒸着シールで比較的丈夫ではありますが、密着させようとして表面をこすり過ぎるとさすがに破れたり色がハゲたりしますので、やり過ぎには十分に注意してください。
完成するとなかなかどうして、C-HRの魅力を手堅く再現したモデルとなります。ぜひトライしてみてください。
工作の流れ
実車を買うには?
このカープラと同じトヨタC-HRは前期型なので、2020年4月現在、すでに中古車でしか購入できません。中古車を調べてみると価格帯はだいたい200~250万円といったところで、まだまだ新しいことと人気車種だけにあまり値崩れしていない様子。新車の後期型と大して変わらないと思った方がいいでしょう。人気はハイブリッドのGやSに集中しているようで、自然とこれらのタマ数が多くなります。丹念に探せば200万円以下のものも出てくると思いますが、しばらく待ってみた方が良さそうですね。