ようやく登場したホンダ・フィット。初代の登場が2001年だが、このモデルによって4代目となる。誇って乗れるコンパクトとして、新型モデルでも最新の技術や考え方を惜しみなく投入している。ここではそんなフィットの興味深いインテリアのデザインについて、その特徴を見ていこう。
ホンダeと発想の似たインパネ
個性的なインパネをもつ新型フィットだが、ホンダでは新型アコードを起点にインテリアデザインが進化し始めているようで、その流れはホンダeにまで繋がっていると見た。とりわけ空調の操作パネルは、このところのホンダはダイヤル式に再注目しており、さらにアコードから進化を見せているようだ。
新型フィットのインテリアを見ると、広い室内空間の確保…それ以上にゆったりと感じられる仕立てと、視認性に関して非常に気を遣っていることがわかる。とりわけ、前後2本に分けられたフロントピラー(Aピラー)は、視認性を意識したものだ。
一見したところ、周囲のクルマがAピラーを立てる方向なのに、なんでこんな時代に逆行することをするのだろう。と思うところだが、エクステリア的にいってもこの一体感のある造形はまさにホンダ・コンパクトのデザインコンシャスを表現しており、不可欠な存在感とも感じられるようになってきた。
今回の新型は、その理解や受け入れに少し時間を要するカタチのようだ。
とはいえAピラーを寝かせて付け根を前進させてしまうことは、視認性にとって問題も持ちやすい。しかし、その解決策を提案した、という点では非常に良好なカタチに仕上がったといえそうだ。
ボディ剛性にも関わるAピラーは、どうしても太さも必要となる。特に傾斜がきつく前方に伸びたピラーは、例えば右折時の歩行者が見えにくかったりする場合もあった。
しかし、新型フィット前後2本のAピラーのうち、前Aピラーは極めて細く視界の邪魔にならない。そのため、実質的なフロントピラーは後Aピラーとなる。こちらはかなりドライバーに近く直立していることから、その内側は広い視界を得ているといえる。
また前Aピラーをなくせばいいのではとの考えもあるが、その場合は大きくラウンドしたウインドウが必要で、視界も湾曲したものになりやすい。それを考えれば、前Aピラーの存在によって湾曲もなく極めて視界はナチュラルにできている。
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ここでさらに注目しておきたいのが、インパネ上面、ダッシュボードのフラットさ。フロントウインドウはかなり直立していない限り、ダッシュボードの造形によって、フロントウインドウにごちゃごちゃと光る部分が多く写ってしまう。それを完全にフラットにしたことでウインドウには映り込むが、ごちゃつくハイライトのノイズを抑え込んで見えにくさを低減している。
こうしたフラットなダッシュボードが形成できるのは、運転席の液晶パネル専用のシェードをなくすことができた点も貢献している。
この点ではホンダeも同様にフラットだ。またホンダでは全幅で液晶モニターを採用することから、シェードレスはデザイン上では必至の課題だったはず。
このようなことを考えると、両者は共用では決してないのだが、視認性の考え方に共通の思いが伝わってくる。
ステアリングについては、よりシンプルなものを求めていたように感じられる。この横1本バータイプは初代シビックにも採用された経緯があり、ややノスタルジーを感じさせながら、本質の部分でシンプルを極めたという点でホンダのスタンダードとなりそうだ。
力の入った新型フィットのセンターモニター
センターのモニターは、ディーラーOPとなるが最近ではなかなか専用設計ができないことから、すべての操作をモニター内あるいは周囲の小さな枠部分にまとめるのが一般的。
ところが、このシステムは運転席側に物理スイッチを配置できた専用設計だ。一見するとこれだけのことに思えるが、モニター機能とのリンクを考えると想像以上に大きなプロジェクトだ。
さらに注目はエアコン操作パネル
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