アウディはこのほど、新型コロナウイルス感染拡大の影響で休止していた欧州の工場における生産を、今後数週間の徐々に再開させる方針を明らかにした。生産再開にあたっては、サプライヤーやサービスプロバイダーを含めて、フォルクスワーゲングループと調整のうえ決定。従業員の安全にフォーカスした包括的な対策を策定し、各国の保健当局の規則を遵守する。
従業員の安全を最優先に、4月末以降は生産規模を徐々に拡大
欧州におけるアウディAGの全工場での生産が停止されて以降、同社では正常化に向けて最初のステップを踏み出す準備が進められてきた。同社の生産担当取締役、ペーター・ケスラーは次のように述べている。
「私たちは、ヨーロッパ全体で歩調を合わせて生産を再開します。その理由は、サプライチェーン、生産、物流プロセスが、グループ内および国際的に事業展開するパートナーと密接に関連しているためです。その焦点は、安全な作業環境が必要な従業員に当てられています。そのため、アウディの専門家チームは、専門の部署や労使協議会と話し合って、従業員の保護を最優先したプロセスを採用しました。この困難な時期に、生産再開に向けて柔軟に一丸となって努力を続けている、アウディの全従業員および世界中のパートナーの皆様に感謝いたします」
製造部門およびグループのマネージャーは、労働安全、ヘルスケア、産業工学、労使協議会の専門家とともに、個々の職場を調査・分析して、改善のための提案書を作成。関係者全員が同意することによって、その職場は初めて「新型コロナ対策済み」と見なされる。
ワークグループはまた、作業環境(グループスペース、工場のゲート、駐車スペース、工場内の人の出入り、ケータリングおよび工場の社員食堂)を詳しく調査。アウディは、すべての分野に適した解決策を作成した。従業員はこれらの対策について事前に書面で通知され、作業を再開する際は、ラインマネージャーから包括的な安全指示を受けるほか、社内のオンラインメディアや工場内で通知される数多くの情報を通して、定期的な情報アップデートを受け取る。
包括的な安全上の注意および変更された作業規則は、工場だけでなくオフィスにも適用される。例えば、感染のリスクを最小限に抑えるための在宅勤務の実施などが挙げられる。しかし、生産の再開によって何より影響を受けるのは、生産現場の従業員である。
アウディの拠点における車両の生産は、策定された計画に従い、4月末以降に順次拡大される予定。すでに再開されているハンガリー・ジェールでのエンジン生産は、今週徐々に増加し始めている。またドイツ国内の工場の従業員に対しては、生産の本格的な再開までの間、短時間労働規定が引き続き適用される。