BASFとHengstは、世界初となる再利用可能な自動車用樹脂製スピンオン式オイルフィルターモジュール「Blue.on」を開発した。
「Blue.on」はフィルター交換時にモジュールを取り換える必要がないため、従来の金属製に代わるサステナブルなスピンオンモジュール。このオイルフィルターにはBASFの高性能ガラス長繊維強化樹脂であるUltramid Structure LFXが使用されており、様々な優れた特性により金属の代替となる新しいソリューションを提供している。
「Blue.on」は、自動車業界において主要な課題であるオイルフィルター交換に対するソリューション。毎年約20億のオイルフィルターが交換、廃棄されている。オイル交換時にはフィルターユニット全体を交換することになり、残油は有害廃棄物として処理され、大量の廃棄物が発生している。
Ultramid Structure LFXがもたらす変化
この新しいモジュール「Blue.on」は、大手自動車メーカーで採用されている。フィルターハウジング、エンジンへの接続エレメント、フィルターエレメントの3つのコンポーネントで構成されている。オイル交換時にはフィルターのみを交換できるため、樹脂製のモジュールはエンジンの耐用年数まで使用できる。自動車のライフサイクルの最終段階では、すべてのコンポーネントをほぼ完全にリサイクルできる。さらに、金属製のモジュールと比較して23%の軽量化にも貢献する。
高い負荷がかかる部品に対するサステナブルな解決策が、Ultramid Structure A3WG12 LFXによって実現された。BASFのUltramid Structureグレードは特殊な特性を持ったガラス長繊維強化ポリアミドで、高温での機械的特性に加え、寸法安定性に優れている。ガラス繊維が長いため繊維配向が安定し、射出成形プロセスにおいてパーツ内で3Dネットワークを形成し、非常に良好な表面品質が得られることにより、スピンオンの概念を革新的なものにしている。
パートナーシップが成功への道を開く
「金属製ハウジングと同等の性能をもちながら省資源である製品の開発をHengstから提案されました。BASFは、サステナビリティを中心とした総合エンジニアリングパッケージと材料開発により、開発プロセスを建設的に支援しました」と、BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業部シニア・キー・アカウント・マネージャー、クリスティアン・ジャネバ氏は述べている。
プラスチック工学のアドバイスと部品テストに続き、BASFのシミュレーションツールであるUltrasimが採用された。「開発には多くの時間がかかりましたが、その結果は非常に納得できるものです」とHengstのMichael Böhm(ミヒャエル・ベーム)氏は述べている。
「革新的な技術コンポーネントだけでなく、自動車産業とドライバーにとって持続可能なソリューションを見つけることに、パートナー全員が情熱をもって取り組みました。BASFが持つ、プラスチックの総合的なノウハウに基づいた数々の試験や試行が良い結果に結びつきました」
「Blue.on」は、量産開始前の2018年に、ドイツノルトライン=ヴェストファーレン州のイノベーション賞を受賞している。