三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、安藤ハザマから2019年受注していた固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)とマイクロガスタービン(MGT)の組み合わせによる加圧型複合発電システム(ハイブリッドシステム)である「MEGAMIE(メガミー)」の商用2号機を、安藤ハザマの技術研究所(茨城県つくば市)に納入、運転を開始した。
FIGURE:MHPS
燃料電池は、これまでのエネルギーとは全く異なり、水素と空気中の酸素を反応させて直接電気を起こすという画期的な発電システムである。従来の化石燃料のように二酸化炭素を排出させず、エネルギー効率にも優れているため、環境問題やエネルギー問題を解決するものとして、世界中で開発が進められている。
MHPSの「MEGAMIE(メガミー)」は、2008年度から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との共同研究として、まず250kW級システムの開発・実証を進めてきた。その後2015年に九州大学構内にプロトタイプ機を設置し、連続運転の実績を踏まえて、2017年に国内での商用機の市場投入を果たした。
電力需要の大きなユーザー向けに、MHPSの長崎工場でNEDOの委託事業による1MW級プロトタイプ機の実証を進めているが、「MEGAMIE」(1MW級)1基でまかなえる電力は、オフィスビル1棟分、住宅なら約300世帯分にあたる。
さらに、分散電源の特徴として、電力の使用先の近くに設置することで、送電ロスをなくし、コージェネレーションによる熱の有効利用も可能となる。
商用1号機は、三菱地所株式会社の東京・丸の内ビルディングで自家用コージェネとして2019年2月から運用されており、安定的に稼働を続け低炭素社会づくりに貢献。今回稼働の2号機は、企業内事業所を横断的に結んだエネルギー供給における環境負荷抑制への挑戦をサポートしていくこととなる。
MEGAMIEの商用2号機は、都市ガスを燃料としてCO2発生量の少ないクリーンな電力および熱を供給し、この次世代エネルギープロジェクトの一翼を担うものだ。将来的にはCO2を排出しない水素燃料への切り替えを計画しており、水素燃料の混合が可能なガスエンジンによるコージェネレーション(熱電併給)設備および大容量ナトリウム硫黄電池を組み合わせた発電設備とともに、計画的なエネルギー供給を支えていく。
同プロジェクトは、CO2発生の少ない分散型エネルギーシステムによる自家発電と自己託送(電力融通)制度を活用した自社事業所への電力融通実証事業として、2018年8月に国土交通省の同年度「第1回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたものである。