皇族もお乗りになる、日本が誇るショーファーカーであるトヨタセンチュリーは、実に雅で上品な出で立ちが魅力的。
中でも印象的なのが”几帳面”と呼ばれるボディサイドを前後に貫く、パキッとしたキャラクターライン。
三代目センチュリーのデザインを大きく印象付けるそれは、とても繊細につくられていた!
REPORT:森田 準(ニューモデル速報編集部)
センチュリーは、オートメーションで次々にボディが流れてくる普通の工場とは全く異なる、東富士の専用工場で、多くの手作業を介してつくりあげられている。
「プレス」→「ボディ(トヨタ風に言うなら”ボデー”)」→「塗装」→「組み立て」→「検査」と5つの工程それぞれに、熟練の技術者の「勘」や「こつ」が駆使されて、単に工業製品と言えないクルマづくりが行なわれている。
今回ご紹介する”几帳面”と呼ばれるキャラクターラインは、3Rの凹部と凸部に挟まれた、幅6mmの平面によって構成されている。
自動車のボディパネルとしては、かなり鋭角な曲げを持つためこれをきれいにプレスするのも難しかったが、さらにこれを美しく仕上げるために、プレス機で加工されたボディパネルの上の凹凸を手作業で微調整しながら、滑らかで精度の高いラインをつくり上げる。
さらに面を平らに仕上げるサンダー掛けは、作業者の息継ぎまでもが力の伝わり方に影響するほど繊細な作業だという。
センチュリーのボディは、こうしたわずかな面の歪みを匠の技で仕上げている。
また、ドア開口部のヘミング(折り返し)をきれいに仕上げるためにも工夫を要した。凹部と凸部に囲まれた細い面を折り返すため、板が寄せられ、しわが寄ってしまうのだ。
そこでドアを絞り整形する段階で、ヘミングを軽く折っておき、ローラーを使って端から逐次曲げをを行うという手間の掛かる工程を取り入れている。
さらに、これほどシャープなラインをフロントフェンダーからフロントドア、リヤドア、リヤフェンダーまで、ズレなくつなげるにも特殊な工法で寸法精度を上げている。
塗装や内装の仕上げも手間暇を掛ける
さらにこの他にもドアのドアや内装の調度品とも言える大型のタワーコンソールも、手作業で傾き調整などを行なっていたり、漆黒の塗装についても7コート5回焼き付けという贅を尽くした塗装の後に、水研ぎと呼ばれる磨き上げが3回も行なわれる。
と、センチュリーの特別なクルマづくりを語り始めると枚挙にいとまがない。
今回は几帳面をピックアップしてご紹介したが、新型センチュリーはそのほかの部分もさまざまな、このクルマだけの特別なクルマづくりが行なわれてる。