Aクラスをベースに、モノスペース的なボディとともに高いユーティリティ性能が与えられたBクラス。初代Aクラスに近いコンセプトを持っているとも言えそうだ。とはいえ現行Bクラスは、シャープな外観と快活な走りも手にしている。
TEXT●木原寛明(KIHARA Hiroaki)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
※本稿は2020年3月発売の「メルセデス・ベンツAクラス/Bクラス/CLAのすべて」に掲載されたものを転載したものです。
初代Bクラスは、当時のAクラス用シャシーをベースに、ボディサイズ拡大を図った派生モデルとして誕生。2層フロア構造を初期の目的どおりに利用して、燃料電池仕様車なども製作。しかし第2世代では、新世代の前輪駆動プラットフォームであるモジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャー(MFA)を他車に先駆けて採用。初代の特殊な構造に起因する不具合を解消して実用性を高めた。
2018年10月に欧州で発売された現行モデルは3代目に当たる。プラットフォームは、Aクラスが先行採用したMFA2。先代の発展版で、軽量化と剛性向上を図ると同時に、スペース効率の高いボディ設計も可能に。例えば、前席の室内幅は33㎜、ヘッドルームは5㎜、先代モデルのそれを上回っている。
それでいて、エクステリアは過去のモデルよりシャープなデザインとなった。これはルックス面の訴求のみならず、空力性能の改善にも貢献。先代でも0.25と優秀だったCd値が、現行モデルでは0.24へと向上した。
日本での発売は19年6月で、モデルレンジはFF車のみ。最高出力136㎰の1.3ℓ直4直噴ターボガソリンと7速DCTを組み合わせたB180と、最高出力150㎰と最大トルク320Nmを発生する2.0ℓターボディーゼルと8速DCTを搭載したB200dの2グレード構成となる。これらのパワートレインも、Aクラスと同様だ。
サスペンションは、フロントがストラット、リヤはトーションビームと、Aクラスと同じ構成。ただし、日本市場に未導入の4WDモデルでは、リヤに先代同様のマルチリンクが採用されている。
先進装備の充実ぶりも、兄弟車のAクラスと同様。「ハイ、メルセデス」の呼びかけで起動する対話型インフォテインメントシステム「MBUX」や、携帯電話などに対応するワイヤレス充電機能、テレマティクスサービスのメルセデス・ミー・コネクトを全車に標準装備。安全運転支援システムも充実し、オプションでは、Sクラスと同等のシステムが設定されている。
COCKPIT
SEAT
LUGGAGE SPACE
後席は40:20:40分割可倒式で、ラゲッジルーム容量は5人乗車時が455ℓで、最大時が1540ℓとなる。開口部が大きく、フロア高が調整できるほか、足の動きを感知して自動で開くテールゲートも標準装備し、利便性は高い。