上級セグメント並の内外装を持つA1 Sportbackが2代目にスイッチした。先代よりも快適になった室内空間やセンスに溢れた内外装が魅力だ。
REPORT◉石川 亮平(ISHIKAWA Ryohei)
PHOTO◉神村 聖(KAMIMURA Satoshi)
※本記事は『GENROQ』2020年2月号の記事を再編集・再構成したものです。
BセグメントのHBでありながら“小さな高級車”という眠っていたマーケットを掘り起こしたのが初代アウディA1/A1スポーツバックであった。都市圏に住む富裕層のセカンドカー、駐車場に制約のある人のファーストカーとして、ユーザーの心を捉えた初代A1シリーズは、全世界累計販売台数90万台(日本は3万台)の人気モデルとなった。
8年振りのフルモデルチェンジとなった2代目モデルは、3ドアが廃止され、5ドアのみのA1スポーツバック(以下A1)が販売される。フロントマスクは、1984年にラリー界に名を刻んだアウディ・スポーツクワトロへのオマージュを表したものだ。A1とスポーツクワトロ? 最初はピンとこなかったが、そのエクステリアデザインを見て合点した。ボンネット先端の3分割スリットや大型のサイドエアインレットがスポーティながらも品が良く、プレミアムコンパクトたるA1を他メーカーにはない唯一無二な洗練されたデザインに仕立て上げることに成功している。
初代はその室内空間に不満を持っている人も多かったと思われるが、新型は実に快適だ。従来より95㎜長くなったホイールベースを採用したため、室内空間が拡大している。実際に身長175㎝の筆者が後席に座っても、何ら居住性に対して不満を覚えることはなかった。ちなみにホイールベース延長によりラゲッジスペースも65ℓ拡大している。
日本への導入は150㎰を発揮する1.5ℓターボの「35TFSI」から始まり、売れ筋の1.0ℓモデル「25TFSI」は2020年第2四半期に導入予定だという。
今回は1.5ℓターボの「35TFSIアドバンス」をベースにナビゲーションパッケージや安全装備をフル搭載したファーストエディションの試乗となった。
ワインディングから路面の荒れた高速道路までテストドライブしてみたが、驚くのは乗り心地の良さだ。ボディ骨格に熱間成形スチール性コンポーネントを新採用したのが効いているのか、サスペンションだけでなくボディ全体で路面からの振動を減衰している感がある。静粛性もこの手のBセグメントモデルの中で突出している。1.5ℓ+7速DCTの組み合わせも絶妙で、ワインディングでは瞬時に最適なギヤを選択してくれるので、コーナーからの加速力も必要にして十分。
唯一気になったのは装備面だ。アウディの最新インフォテインメントシステムのバーチャルコクピットやMMIナビシステム、先進安全装備のACCはいずれもオプションパッケージとしてしか用意されない。プレミアムコンパクトとして時代の先端を走るモデルだけに、これらの装備はぜひ標準化して欲しい。
〈SPECIFICATIONS〉A1スポーツバック35 TFSIアドバンスド
■ボディサイズ:全長4040×全幅1740×全高1435㎜
ホイールベース:2560㎜
■車両重量:1220㎏
■エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1497㏄
最高出力:110kW(150㎰)/5000~6000rpm
最大トルク:250Nm(25.5㎏m)/1500~3500rpm
■トランスミッション:7速DCT
■駆動方式:FWD
■サスペンション形式:Ⓕマクファーソンストラット Ⓡトレーリングアーム
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡディスク
■タイヤサイズ:Ⓕ&Ⓡ215/45R17
■燃料消費率(WLTCモード):15.6㎞/ℓ
■車両本体価格:365万円