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【225,500円】豪華じゃないけど侮れない! 125ccスクーターSYM Orbit III 125 にプチ試乗


ずばりライバルはスズキ・アドレス125。前後に12インチホイールを履くOrbit III 125は、ひとクラス上級の車格を備え、確かなお得感がある。台湾ブランドの元気に触れられるその乗り味は如何に !?




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●株式会社サイン・ハウス

SYM ・Orbit III 125.......225,500円 (同ツートーンカラー.......236,500円)

マットブラック

カラーバリエーションは全5色

ブルー(写真は50)
レッド(写真は50)


ホワイト(写真は50)
ガンメタ/イエロー(ツートーンカラー/写真は50)


 SYM ブランドは2019年12月に株式会社サインハウスの手で日本市場への再登場を果たした。今回の試乗車は台湾のサンヤン(山陽工業)製品で、50と共に国内再導入への先陣を切ったOrbit Ⅲの兄弟モデルである。


 同じ台湾のキムコより創立年数が数年早い先輩企業。ホンダの技術協力で歩み始めた両社の歴史は良く似た部分がある。既報の通り今ではグローバルで25機種ものバリエーションを展開。日本市場にも4月に5機種を新規投入。465ccエンジンを搭載するビッグスクーターのMAXSYM TLを筆頭に全6モデルをラインナップ中だ。


 その中でOrbit Ⅲはとても親しみやすい最廉価モデルとして位置づけられている。


 


 写真でわかる通り、ステップスルーのフラットフロアを持つオーソドックス・スタイルのスクーターだが、前後に120/70-12インチのマックスロード(中国のCST・チェンシン製タイヤ)を採用している点や全長1,900mm、軸距1,320mm等の車体サイズで比較すると、ヤマハ・シグナスXやBW'S125に近い。


 価格的にズバリ競合するのはスズキ・アドレス125 だが、後輪のサイズは10インチ。ホンダ・LEAD 125も同様だ。スズキ・SWISH は前後共10インチを採用。前後12インチサイズで比較対象車を探すとヤマハ・シグナスXに相当するが、その価格は335,500円。シグナスXの方が格段に高価なのである。


 


 50のレポートと重複する部分もあるが、Orbit Ⅲは “スマートシティパートナー” をキーワードに開発され、グローバルでの販売実績は10万台に登ると言う。


 カラーバリエーションは2020年1月に加わったツートーンカラーを含めて全5タイプ。


 基本的に50と同じ車体なので、両車の区別は付きにくいが、駆動系も含めてエンジンは別物。リヤのドラムブレーキがφ130mmに拡大された他前後連動ブレーキが採用されている点も異なる。車両重量も10kg重い120kgである。


 ちなみに共通デザインのアナログ式メーター(速度計)は表示されるスケールが異なっている。また海外向け資料によれば、最高速度は95km/hを発揮すると言う。

ベーシックなコミューターとしてなかなか上質な仕上がり

 今回は50からの乗り換え試乗となった。色こそ違えどスタイリングは共通。しかし手にとると125 はやはりそれなりの重さを直感する。大きな差では無いものの、10kg差の手応えはそれが125であることを示していた。


 外観で明確に異なっていたのは駆動系カバーとエアクリーナーデザインにボリュームがある点と、キックペダルが無い事。他にはメーターのスケールが違うだけ。そしてリヤのドラムブレーキがサイズアップされ、前後連動ブレーキが採用されているのも125ならではの特徴である。




 スロットルを開けると自動遠心クラッチがつながり、普通に発進。50のように一拍待たされる事なく至って素直に発進し加速もスムーズ。加速力は決して強力ではないが、穏やかさの中にも常に頼り甲斐のあるトルクが伴う感触。どの回転域でもスロットル操作には着実にレスポンスする柔軟性に富む乗り味が印象的。


 前後連動ブレーキも強力な制動力が際立つタイプではなく、あくまで穏やかに、しかし思い通りの制動力が楽に得られる扱いやすさが目立っていた。




 フラットなフロアステップは、足の置き場に自由度がある上、前方のレッグシールド立ち上がり部分に足を突っ張ることもできる。ニーグリップが無く、軽く腰掛けた状態で乗るスクーターで急制動時も上体を安定させやすいメリットは大きい。


 シートはクッション容量があり、座り心地が良い。前後12インチホイールと立派な車格とロングホイールベースによる直進安定性も良く、シティーコミューターとしての基本機能がシッカリと作り込まれた印象である。




 50よりは確実にメリハリのある加減速時でもピッチングの少ない落ち着いた乗り味もなかなかの優れ物。後に資料でわかったのは、なにやら新技術のALEH(アンチ・リフト・エンジン・ハンガーシステム)が採用されているそう。情報不足で具体的な仕組までは把握できなかったが、ユニットスイング取り付けの方法に落ち着いた走りに貢献するカラクリがありそうだ。


 全体の仕上がりや装備は決して豪華ではないが、基本的に上級サイズの車格からもたらされる安定感のある乗り味には侮れない魅力がある。足として割り切る選択なら、やはりお買い得感が高いのである。

⚫️足つき性チェック(身長168cm)



原付二種スクーターとしては本格的なサイズを誇る。シート高は765mm。シートクッションのボリュームもたっぷり有り、幅の広い後方に座ると足つき性がスポイルされるが、通常はご覧の通り両足の踵までべったりと地面を捉えることができる。


ディテール解説

特に斬新な印象は無いが、フロントマスクは端正な仕上がりである。ご覧のヘッドライトは一般的なバルブ(電球)が採用されている。12V35/35W。下側の小さなポジションライトは12V5Wだ。

ブラックアウトされた足回りにφ226mmペタルタイプのディスクローターがキラリと輝く。ブレーキキャリパーは2ピストンのピンスライド式。油圧ホースはエアロクイップタイプが奢られている。

4ストロークの単気筒エンジンはロングストロークタイプの空冷SOHC 2バルブ、電子制御燃料噴射式の124,6cc。ベルト駆動によるCVT(自動無段変速)が採用されている。

前方の左右ウインカーライト部も組み込まれたデザインのハンドルまわり。豪華さはないが、そつのない仕上がりである。

ハンドルバーをカバーする形でメーターと一体を成すインパネ。左側には上からディマー&パッシングスイッチ、プッシュキャンセル式ウインカースイッチ、そしてベストポジションにホーンボタンがレイアウトされている。
右側は、ごくシンプルにエンジン始動用のセルスタータースイッチのみ。ちなみに50にはあったキックペダルは無い。


10km/h毎、140km/h(マイル表示では80)スケールの速度計と燃料計はアナログ表示。95km/h以上がレッドゾーンになっている。

フィラーキャップはキー操作で開閉できる。キャップは手前に浮き出ながら左脇に避けて開くので右側からの方が給油しやすい。

タンデムライディングでも十分な長さのあるダブルシート。クッション容量もたっぷりで座り心地が良い。

前ヒンジのダブルシートはキー操作で開けることができる。ご覧の通り余裕のある収納スペースが確保されている。
タイプにもよるが、ジェット型やフルフェイス・ヘルメットも収納可能。さらにプラスαのスペースが空いている。


シート下の収納スペースにはUSB電源端子(5V2A)が標準装備されている。ゴムカバーを外してUSBコードを挿せば移動中にスマホの充電ができるわけだ。

黒いスチールパイプ製のエンドバーは車両を取り回す時にも役に立つ。テールライトも普通の電球タイプで12V5/21W。白レンズのウインカーには12V/10Wのオレンジ球が使われている。

◼️主要諸元◼️

型番:XE12W1-EU


全長:1915mm


全幅:680mm


全高:1125mm


ホイールベース:1290mm


シート高:765mm


車両重量:120kg




エンジン型式:空冷4ストローク、SOHC 2バルブ、単気筒


排気量:124.6cc


ボア・ストローク:52,4×57,8mm


燃料供給システム:EFI


最高出力:7.5kw/8500rpm


最大トルク:9.3Nm/6500rpm


クラッチ:自動遠心式


変速機形式:C.V.T (Vベルト自動無段変速)


始動方式:セルフスターター


燃費:39.0km/L


燃料タンク容量:5.7L




サスペンション(前/後):テレスコピック式/ユニットスイング式


ブレーキ形式(前/輪)::ディスク+CBS/ドラム+CBS


タイヤサイズ(前/輪):110/70-12 /120/70-12




生産国:中国

◼️ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分になった上での記事作成に努めている。

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