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【15万円+税】国内メーカーよりも安い50ccスクーターをお探しなら! SYM Orbit III 50は 走りにお買い得感あり。


2019年12月に日本市場への復活デビューを果たしたSYM。その第一弾として投入されたのがこのOrbit Ⅲだ。基本的に共通車体を持つ125と50の2機種があるが、先ずは市街地で50㏄モデルに試乗した。




REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO⚫️山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●株式会社サイン・ハウス

◼️SYM Orbit III 50.......165,000円 (同ツートーンカラー.......176,000円)

ホワイト

◼️カラーバリエーションは全5色

マットブラック
レッド


ブルー
ガンメタ/イエロー(ツートーンカラー)


 SYMはサンヤン(三陽工業)のブランド。1954年設立の三洋電気工場が前身で、1961年に株式会社三陽工業として創立された台湾の企業だ。早くからホンダ車のノックダウン生産を手がけ、それは4輪自動車にも及んだ。今はヒュンダイ車のライセンス生産や輸入販売も手がける大企業である。




 SYMブランドで独自のモペットや軽量級バイク、スクーターの開発、生産販売を手がけてきており1982年からは海外市場にも進出。欧州では既に侮れない知名度を誇っている。主力製品であるスクーターを中心に、300ccのバイク等を含めると25機種ものバリエーションをリリースしている。




 日本市場にはエムズ商会が立ち上げたサンヤンジャパンが2002年から各種製品を導入してきたが販売が伸び悩み2017年に撤退。日本においてSYMブランドは一旦立ち消えとなる憂き目を見たが、2019年に株式会社サインハウスが新たな総輸入販売元として部品供給業務の引き継ぎと共に同ブランドを復活させてくれた。その旗揚げモデルとなったのが今回試乗したOrbit Ⅲである。 


 


 同車は“スマートシティパートナー”をキーワードに開発され、グローバルでは既に10万台に登る販売実績を誇る人気モデルだ。前後に12インチサイズのホイールを採用。フラットなフロアを持つステップスルータイプのスクーター。主に欧州市場向けに開発され多くのユーザーに親しまれたわけだ。余談ながらラテンアメリカ向けには少し仕様の異なるOrbit Ⅲ Nakedがリリースされている。


 当初4色のカラーバリエーションが投入されたが、2020年1月にガンメタ/イエローのツートーンカラー仕様が追加投入され、全5色から選択できる。


 ちなみにOrbit Ⅲ 50の価格は、国産車と比較すると各社最廉価コンパクトモデルのホンダ・タクト、ヤマハ・JOG、スズキ・レッツよりも安いのである。

ゼロハンと割り切ればお得感満載の豊かな乗り味が魅力的

 試乗車に跨がり、とりあえず束の間のアーバンライドを楽しんでみると、のっけから筆者の頭の中は自問自答が始まった。そもそも50ccを買う意味は何か? 逆に15万円そこそこで、こんな立派なスクーターが今どき買えてしまうなんて! 等々、普段は気づかなかった驚き混じりの悩ましい思いでいっぱいになったのである。


 ご存じの通り50㏄は一般公道を走る上で何かと制約が多いのが欠点だ。30km/hという法定速度は混合交通下で身の安全を守る上でマイナスとなる事が多い。簡単に言うと法を無視して流れに乗った方が遥かに安全運転できる場面が少なくないからだ。


 大きな交差点での2段階右折も慣れた(熟知した)場所ならともかく、時として突然の2段階右折禁止場所に遭遇したりするのでかえって危険な事も起こり得る。素直に安全運転を励行できない矛盾や葛藤を抱え、他車に追い抜かれながら走るのはかなりやっかいな事で、流れを邪魔している申し訳ない気持ちも大きなストレスに感じられてしまう。


 もちろん良い面もある。原動機付きの乗り物の中で最も維持費が安いこと。そして運転免許資格は16歳から取得可能。より多くの人が所持している普通免許(4輪)でも乗れるから社会の多くの人が2輪車のメリットを享受できる。その点は絶対に見逃せないのである。


 ふと思い出したのは、かつてヤマハが人気女性デュオの「パフィー」を起用した広告コピーにあった “家から2キロの大冒険” である。


 活用テリトリーを身近なエリアに限ってしまえば、50ccスクーターの価値は膨らみ、誰にでもフレンドリーな乗り味がとても大きな魅力となるのだ。


 そんな割り切りを持って、50㏄に相応しい賢い使い方さえ理解すれば前述の欠点などはまるで気に病む必要はなくなり、むしろ痛快な使い勝手が楽しめてしまうのである。




 前置きが長くなってしまったが、気持ちをそう切り換え、幹線道路を離れた道を選んでいくと、50ccならではの穏やかなパフォーマンスとマッチし、その心地の良い長閑な走りで気分は爽快になった。


 125と共通車体の試乗車は、50としては大きく立派。車重は110kgあり、前後ホイールサイズも12インチなので、感覚的に華奢な印象がないのである。


 アクセルを開けると、自動遠心クラッチがつながるのに、一瞬間があく感じで発進時のレスポンスには一拍待たされる。しかし走り始めると、何不足ないトルクで確かな加速力を発揮してくれる。幹線道路でも昼間の自然な流れの中なら、交通の流れをリードするのもギリギリ可能だが、それも法定速度までだから、やはり交通量の多い道は避ける方が無難。


 お世辞にもパワフルではないし、グローバルメディアの資料によれば最高速は45㎞/hに過ぎない。欧州の規制に対応したもので、日本製50ccモデルよりも遅い。それでも前述した割り切りを忘れなければ、何も不満に感じられないから不思議なものである。


 むしろ50ccクラスとは思えない落ち着きのある安定性を楽しみながらトコトコと遠くまで走って見たい気分になったほどだ。それなりのパフォーマンスではあるが、出力特性はいかにもロングストローク・エンジンらしい図太さが感じられ、常に力半分で走っているかの様な雰囲気。


 クルージングしている時に、感覚的にはまだまだ余裕のある乗り味を楽しませてくれるのが快適だったのである。


 直進安定性も優れていたし、厚みのあるシートクッションも座り心地が良い。着座位置は前後に自由度があって、後方に座ると疲労度も少ない感じ。ただし、後方に座るとその幅の関係で足つき性がスポイルされる。停車時は前方寄りに座れば、写真の通り両足ベッタリで難なく支えられた。


 また操縦性は、ブレーキの操作性も含めて特に可もなし不可もなし。というのが正直な印象だ。




 あくまで個人的な思いに言及すれば、スクーターを選ぶ時に50㏄は眼中になかったのが本音だが、これが1台、家にあれば3人家族全員が自在に使える便利な足になることは容易に想像できる。


 自転車や電チャリ(電動アシストサイクル)と比較すると数段快適に使える確かな実用性が光り、日常の行動範囲が広がる事は間違いない。そんな効率の良い活用シーンを空想していると、このOrbit Ⅲ 50は、かなりお買い得感の高い逸材に思えてきたのが今回の素直な感想である。

⚫️足つき性チェック(身長168cm)



50としては立派な車格。車体幅がワイドでシートボリュームもたっぷりある。シート高は765mm、両足の踵はべったりと地面を捉えることができる。


⚫️ディテール解説

フロントノーズに大きくデザインされた異形ヘッドランプレンズ。光源は一般的な12Vの35/35W電球を採用。

5点支持のシングルディスクローターはφ226mm。2ピストンの油圧キャリパーはピンスライド式だ。装着タイヤは中国産のCST(チェンシン)製だ。

ご覧の通りキックペダル付き。バッテリートラブルがあってもキック始動できるのはありがたい。稼動頻度の少ないユーザーでも安心して使える。

右サイドで斜めにレイアウトされた容量の大きなマフラーが印象的。排出ガス規制はユーロ4をクリアしている。

ユニットスイング方式のリヤサスペンションは、左側片支持タイプ。ダブルピッチスプリングを採用したモノショックユニットはセット荷重調節できる。リヤブレーキはφ110mmのドラム式だ。

それぞれのスイッチ位置が明確に区別されたハンドル左側部。下から順にホーンスイッチ、プッシュキャンセル式ウインカースイッチ。そしてシーソー式ディマースイッチは、下側を押し込む事でパッシングライトスイッチとしても機能する。
右側のハンドルスイッチはエンジン始動用のセルスタータースイッチのみ。


125モデルと共通デザインのメーターだが、スピードメーターの目盛りは50専用になっている。フルスケール80km/hで内側にはマイル表示もある。

サイズ、ボリューム共に十分な大きさがあるダブルシート。グラブバーはメインスタンドを掛ける時にも活用できる。

前ヒンジのシートを開とご覧の通り。シート下のメットインスペースは、かなりゆとりのある収納力を発揮する。
例外もあるがジェットやフルフェイスも収納可能。さらにその後方にも収納スペースが余っている。


収納スペース後方右端にはUSBの電源ソケットが標準装備されている。スマホの充電等に活用できるわけだ。
膝前のレッグシールド左内側に燃料給油口がある。キー操作で単独開閉できる使い勝手はなかなか心地よい。


スチール製ハンドグリップはシンプルなデザインだが、車体の取り回しや、荷物積載時のバンジーフック代わり等、便利に使える。テールライトは12V21/5Wの電球が使われている。

◼️主要諸元◼️

型番:XE05W1-EU


全長:1915mm


全幅:680mm


全高:1125mm


ホイールベース:1290mm


シート高:765mm


車両重量:110kg




エンジン型式:空冷4ストローク、SOHC 2バルブ、単気筒


排気量:49.5cc


ボア・ストローク:37×46mm


燃料供給システム:ECS


最大出力:2.6kw/7500rpm


最大トルク:3.4Nm/6500rpm


クラッチ:自動遠心式


変速機形式:C.V.T (Vベルト自動無段変速)


始動方式:セルフスターター/キック


燃費:38.5km/L


燃料タンク容量:5.7L




サスペンション(前/後):テレスコピック式/ユニットスイング式


ブレーキ形式(前/輪)::油圧ディスク/ドラム


タイヤサイズ(前/輪):110/70-12 /120/70-12




生産国:中国

◼️ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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