ホンダ・アコードが新型に生まれ変わった。ファストバックのようなスタイルは、若返りを図り大胆に生まれ変わったクラウンと印象を同じくする。そこで、2台の寸法と諸元はどれだけ違うかを比べてみた。
アコード:全長4900 全幅1860 全高1450 ホイールベース2830mm
クラウン:全長4910 全幅1800 全高1455 ホイールベース2920mm
数字からご覧いただけるように、両者は驚くほどに近い寸法を持つ。ご存じのようにクラウンは国内販売を主とする車両で、主に北米市場で支持されるアコードとはマーケットがまったく異なり、偶然だとは思われるのだが興味深い一致となった。この2台を比較検討できるのは日本だけと考えると、なんだか得した気分にはなってこないだろうか。
ともにフルモデルチェンジに際してはプラットフォームから完全新造。ハイブリッドをラインアップに持ち省燃費性能と動力性能の両立を図っているコンセプトも似通っている。
両車を側面視で並べてみた。基準点は前端。ホイールはともに18インチ。なお、アコードは北米仕様車で水平反転してある。
アコードは横置きパワートレーンの前輪駆動構成、クラウンは縦置きの後輪駆動構成である。ご覧いただけるように、車両全体におけるキャビンの位置、とくに前席周りについては同じような位置に収まっている。とはいえ、やはりアコードのほうがフロントガラス前端、ステアリングホイール位置などは前寄り。FF車らしいパッケージを実現している。
大きく異なるのは前輪の位置。FF車の場合は駆動効率追求と機械的な配置から前軸より前にパワートレーンを置く格好になり、フロントオーバーハングが長く、ホイールハウス/フロントドア間の寸法は短くなる傾向にある。片やクラウンはFR車らしいショートオーバーハングかつ前輪が車両の前方にある。ホイールベースはクラウンのほうが90mm長いのは上に示したとおりだ。
リヤドアについてはアコードが一枚ガラスで構成しているのに対し、クラウンははめ殺し+ピラーと可動ガラスの2枚構成にしているのが異なる。後席に座ったときに、アコードはより開放的であることが想像できるだろう。
クラウンが2枚構成にした理由は、リヤドア形状の後形状を眺めれば、可動ガラス部を極限まで下に降ろしたかったからと納得できる。一方のアコードは後端部が直線形状でユニークだが、後端部のエッジが少々気がかりである。ルーフの落ち方よりもサッシュの落ち方のほうが強く、ガラス面積は小さい印象。どれくらいまでガラスを降ろせるのか、機会があったら確かめてみたい。
レクサスLSが6ライトになるとクラウンがそれに続き、フォーマルセダンはこれから6ライトが流行なのかと思った記憶がある。そうしたらアコードもそうなった。先代のスクエアなセダンボディからすると劇的なイメージチェンジである。
6ライト=側面視でフロントドア+リヤドア+ピラーガラスの3構成要素×左右で6構成という意味で、Cピラーにガラスをはめ込めばそれだけ大きくなり、キャビンの後ろ側はゆるやかな形状になる傾向。リヤフード(トランク)もその傾斜に合わせた尻下がりとし、後端でスポイラーを想起させるダックテール形状で空力としても印象としても効果を出している。
サッシュに施すモールは、アコードが上部のみ+後端のアクセント、クラウンは全周をぐるりと取り囲む方式である。
前方視比較。アコードは同じく北米仕様。
国内フォーマルカーであることを重視するクラウンは伝統的にグリルが大きい。実際のインダクションエリアは小さく抑え空力が悪化しないようにしているが、フロントビューで眺めたときのグリルの大きさは圧倒的である。それに対してアコードは開口部面積自体が小さく、精悍な印象を受ける。ヘッドランプ〜グリルを一直線に渡すモールの存在も「小顔」に見せている効果が大きいだろう。
キャビンの倒れ込みについては、写真の撮り方にもよると思われるが、クラウンのほうが傾斜が大きく見える。
サイドミラーの備え方にも両車の違いが現れておもしろい。クラウンは近年のドイツ車に見るような完全なドアマウント。ピラーからなるべくミラー自体を遠ざけて風切り音を減少するなど、走行中の効率を追求した思想である。一方のアコードは薄い水平マウントのドアミラー。NSXでも同様に見られた手法だ。
最小回転半径は、アコードが5.7m、クラウンは18インチ車で5.5m、17インチ車で5.3m。FR車の特性が際立つ数値が現れている。
燃費届出値はアコードが22.8km/ℓ@WLTC。クラウンは20.0km/ℓ@WLTCがベスト値(2.5ℓTHS:RWD車)