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想像より狭くなかった! 海上自衛隊「おやしお」型潜水艦「まきしお」の内部その1


日本を守る陸・海・空自衛隊には、テクノロジーの粋を集めた最新兵器が配備されている。普段はなかなかじっくり見る機会がない最新兵器たち。本連載では、ここでは、そのなかからいくつかを紹介しよう。今回は、「おやしお」型潜水艦。その内部に入ってみた。潜水艦の艦内はどうなっているのだろうか?


TEXT◎貝方士英樹(KAIHOSHI Hideki)

ジャンボジェットの胴体よりも長い潜水艦の内部はこうなっている

海上自衛隊「おやしお」型潜水艦「まきしお(SS-593)」。写真/海上自衛隊

 海上自衛隊 第1潜水隊群 第1潜水隊所属の「おやしお」型潜水艦「まきしお(SS-593)」の内部を見てみよう。「まきしお」は2001年(平成13年)に就役した現役主力艦だ。


 全長81.7m、排水量2759トン、速力約20ノット(約37km/h)、水中発射管6門、スノーケル装置1式、乗員約70名、というのが本艦の基本プロフィールとなる。

「まきしお」の発令所を艦首から艦尾方向を見ている。写真左手の潜望鏡は発令所の中央に設置され、発令所の床から一段高くなっている。写真中央で腕組みして立つのが艦長で、背後にあるパイプ椅子が艦長席だ。写真の右手は潜水艦の左舷側になり、着席している乗員が操作しているのは機械操縦盤。

 ちなみに「まきしお」の全長81.7mとは、ジャンボジェット機(ボーイング747型機)の胴体全長76.4mよりも長い。こうした大きさのものが海中を航行しているわけだ。


 本艦に入るには、艦の中央上部に位置する円形ハッチから下に降りてゆく。ハッチ内部の長いハシゴを伝って艦内へ降りる。潜水艦は狭いという先入観のあることが作用したのか、それほど窮屈感を感じない。


 しかし、潜水艦の中枢部「発令所」へ向かう通路のハッチをくぐるときに考え込んでしまった。通路のハッチはかなり低い位置にある。まず腰を折って上半身を屈め、次に右脚を通してから上体を抜くか……などと「意識」しないと体が動かない、そんなハッチの大きさと位置関係だ。こういうところはたしかに狭い。実体験してはじめて理解できた潜水艦内部のサイズ感だ。

潜望鏡は発令所の中央に複数が置かれる。これは艦尾側の哨戒用潜望鏡。右手のハンドル操作部で潜望鏡の倍率を操作し、左手部で仰俯角を変える。潜望鏡上部の円形ハンドルは、潜望鏡を上下させるためのもの。潜望鏡はニコン製だった。

 艦内は燃料や塗料などの匂いもせず、清潔で、機器冷却優先でエアコンも効いている。現代の潜水艦は、昔の潜水艦映画で刷り込まれたイメージとは正反対のものだった。

発令所の左舷前方、艦首側には操舵手席がある。舵は航空機の操縦桿(ステアリング形状)と同様なもの。押し込めば下降し、引けば浮上する方向へ舵が効く。「はるしお」型までは2人で操舵したが、コンピューター制御が導入された「おやしお」型からは操舵手は1人となっている。ジャンボジェット機サイズの長大な乗り物を海中で動かしているのがこの操舵装置だ。

発令所の左舷側に設置されたコンソールは、写真手前側が機械操縦盤。従来型の潜水艦では機械室にあったものだが、発令所に移動してきており、指示号令の中枢である発令所から操作するようになった。機械操縦盤の右手奥、艦首側に置かれているのは注排水管制盤。潜水艦の主要機構である注水/排水をコントロールし、モニターする装置だ。注排水管制盤を担当するのは潜水艦乗りの中でもベテランの乗員が配置に付くという。

 発令所へ到着すると「まきしお」は訓練を開始した。訓練シナリオは次のとおり。『潜望鏡深度から潜航を開始し、途中、原因不明の潜舵故障が発生する。潜舵不動のまま沈降が続く。原因を究明し、対応、機能修復して復帰する』という内容だった。


 訓練が始まると、それまで柔和な物腰だった艦長の表情が引き締まった。発令所奥の艦長席(パイプ椅子)にも座らず、仁王立ちだ。実際の航海中も座ることはないのだという。


 すると、トラブル発生の報告あり。確認、対応操作、報告の「号令」が飛び交う。艦の姿勢や各種の数値、データが呼び交される。悪化させない対応策が打たれ、その効果をモニターし、修復へ向かう。

電子海図台は発令所の後方に置かれる。航海用途/作戦用途を兼用するチャート台だ。

 こうしたトラブルシューティングを主眼とするミニ訓練というようなものは頻繁に行なわれているようだ。静かで高濃度な内容の訓練は続いた。

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