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見た目で選んで損はない。ランブレッタ・V125 スペシャルはプレミアムな逸材である。


イタリアの名門ブランド。販売実績や知名度ではベスパに分があるものの、モダンなデザインセンスには定評があった。2017年EICMA(ミラノショー)で新生ランブレッタが復活。このV Specialシリーズには50、125、200、3種のエンジンを搭載。8色ものボディカラーが揃えられ豊富なバリエーション展開を披露している。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●株式会社サイン・ハウス

ランブレッタ・V125 スペシャル.......410,000円

オレンジ(Fix Fender・固定式)
レッド(Flex Fender・可動式)


 ランブレッタV125Special は前後に12インチサイズのホイールを履くオーソドックス・スタイルの本格派スクーターだ。オーソドックスと表現した理由はそのエクステリアデザインにある。


 1960年前後に目立っていた舶来スクーターのスタイルを彷彿とさせる。有名ブランドはイタリアのベスパかランブレッタ。国産ではラビットかシルバーピジョンが売れていた頃の話。


 堀の深いフェンダーデザイン、連続的なモールディング(メッキの縁取り)があしらわれたレッグシールドのサイドライン。ソフトな膨らみを持たせたヒップライン。そして要所要所からは当時を思い出させるデザインセンスが漂ってくるのである。




 明確な違いを言えば、フットボードのラインがテールにかけてゆるやかに跳ね上がる斜めなラインでフィニッシュされている点。往年のモデルは低い水平ラインがテールまで続いていた。2017年にリバイバルデビューしたこのモデルは現代的にリフレッシュされ、全体的に精悍な印象を覚えた。




 冒頭にも記した通り現在国内にリリースされているのは、搭載エンジンが3機種。ユニークなのは、フロントフェンダーが2タイプから選択できる。フレームマウントされたFix(固定)タイプと、フロントフォークにマウントされて操舵で前輪共々動くFlex(可動)タイプが用意されている。ボディカラーは8色。シート色もボディーカラーに応じてブラック、ダークブラウン、レッドが採用される等、いかにもオシャレなスクーターと呼ぶに相応しいバリエーションを誇っている。




 さらに言うと純正オプションのアクセサリーパーツも実に豊富。スクリーンや各種キャリア、プロテクター、そしてアパレルから各種小物まで豊富な品揃え。


 スチールモノコック構造のフレームには樹脂製の外板パーツが組み付けられているが、各部をドレスアップするカーボンパーツも沢山揃えられ、ユーザーの好みに応じてオシャレなスクーターライフが楽しめるようになっている。

パイプアンダーボーンとボディパーツが一体化されたスチールモノコック形式のフレーム。

優雅な気分が楽しめる、こだわりの名門スクーター

 写真からもわかる通り、ステップスルー・タイプのスクーターなので、シートへのアクセスはとても楽。フロアはフラットではないが、縦に走るセンター部分の膨らみは数cmに過ぎず、乗降性はとてもよい。


 善し悪しや好みは人それぞれだが、そんな使い勝手はスクーター本来の姿を直感させられる。懐かしいと言うよりは基本に忠実なフォルムに仕上げてくれたデザインが心地良く感じられた。


 ちなみに新生ランブレッタのスタイリングは、オーストリアのKISKA Designが手がけたと言う。同社はスキー板のAtomicでも知られる他、KTM等も手がけている。


 各部の仕上げには、ことごとくオリジナルのセンスが投入されているコダワリのある造形や使い勝手が込められている点も見逃せない。ハンドルスイッチも専用品が採用されているし、メットインスペースを持ち上げるとエンジン等の主要パーツにアクセスできるようになる。シートの作りも見るからに上質な品質感が漂ってくるのである。




 縦長デザインのコンビネーションメーターの下側には、かなり大型の液晶ディスプレイを採用。デジタル表示も大きくとても見やすい。しかもキーをONしてメーターの初期作動中にハンドル右側のスイッチを長押しするとメーターのバックライトの色が変えられる。その数は何と7パターン。


 必需機能ではないが、オーナーとなった人にとっては、自分好みに仕上げたり、日によって気分を変えられるちょっと贅沢で嬉しいアイテムになることは請け合いである。




 エンジンを始動するとアイドリングは1.8(つまり1,800rpm)で安定している。市街地の幹線道路へ走り出すと、通常の交通の流れならだいたい6000rpmあたりで十分な加速力を発揮。スロットルを全開にすると7500rpmあたりでさらにパワフルな加速力を発揮。


 動力性能的には、125ccスクーターらしい程よいレベルで決して強力ではないが、特に非力に感じられることもない。操縦性も癖がなく扱いやすかった。


 


 国産モデルでいえばヤマハ・シグナスXやスズキ・スウィッシュが125ccの同カテゴリーといえるが価格はランブレッタの方が約10万円も高価。それでも自分のコダワリを満足させ、長く愛用する中で日々オシャレなスクーターライフを楽しむ上では格好のアイテムになるだろう。そんなスタイルを、ちょっぴり自慢してみたい気分にも浸れる。


 優雅な乗り味を楽しめるところに、独自の価値があると思えた。

足つきチェック(身長168cm)



シート高は770mm。ご覧の通り両足の踵は少し浮いてしまうが、足つき性に難はない。

ディテール解説

上下にセパレートされたヘッドランプデザイン。下がハイビーム、上がロービームを担う。どこか歯科治療台の照明を彷彿とさせる多面リフレクタータイプだ。

写真はFlex Fenderタイプ(可動式)。タイヤは110/70/12インチサイズ、インドネシア産ピレリ製のANGEL SCOOTER。φ220mmのシングルディスクブレーキには2ピストン・ピンスライド式油圧キャリパーを装備。ブレーキホースはエアロクィップタイプが奢られている。

空冷単気筒エンジンにはベルトドライブ機構を内臓したCVT(自動無段変速機)を採用。

後輪はピレリ製ANGEL SCOOTERの120/70-12インチ。オーソドックスなブラックマフラーにはヒートガード(マフラーカバー)が装備されている。

左側片支持タイプのユニットスイング式サスペンション。モノショックは3段階プリロード調節ができる。シングルディスクローターはφ220mm。シングルピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。

キチンとデザインされたハンドル周辺およびレッグシールド・インナーパネル。鍵穴周辺の仕上がりもなかなか美しい。

オリジナルのデザインが感じられるハンドル左側スイッチ。上はヘッドライトの光軸を切り替えるディマースイッチにプッシュ式パッシングライトスイッチが組み込まれている。
対称的デザインの右側スイッチ。下がエンジン始動用のスタータースイッチ。その上はメーターディスプレーのモード選択用だ。


電気式アナログメーターと大きな液晶ディスプレーを縦に重ねたコンビネーションメーター。上がスピードメーターで、下のデジタル表示が回転計。電圧計やクロックの表示もある。

膝前にあるグローブボックスの蓋は下側ヒンジで手前に開く。中の右側に見える黄色いスイッチは盗難抑止効果を狙ったエンジンキルスイッチ。スマホの充電ができるUSB電源ソケットもある。

赤いステッチだけでなく、タグまで縫い付けられたこだわりデザインのダブルシート。見た目に薄手のクッションだが手の込んだ表皮が奢られて座り心地は良い。シート前端下部にはコンビニフックを装備、引き出し式の独自デザインだ。

前ヒンジでシートを開けると楕円形状の収納BOXがある。後方には燃料給油口があり、つまみを起こして回すタイプのアルミキャップが採用されていた。
シート下収納ボックスは脱着式、バケツ状ケースがピタリと落とし込まれている。持ち上げるだけで簡単に取り外せ、エンジンや主要部品へのアクセスが楽である。


いかにもレトロチックな雰囲気を醸すテールビュー。テールランプはLED式だ。

◼️主要諸元◼️

エンジン種類:空冷4ストローク単気筒


排気量:124.7㎤


圧縮比:10.7:1


燃料供給方式:電子制御燃料噴射


最高出力:7.5kW@8500rpm


最大トルク:9.2Nm@7000rpm


燃料消費率:35.7km/L


排出ガス対応:Euro4


点火装置:ECU


始動方式:セル式


最高速度:95km/h


変速装置:CVT


駆動方式:ベルト




長さ:1890mm


幅:735mm


高さ:1115mm


ホイールベース:1340mm


シート高:770mm


タンク容量:6L ± 0.2L




タイヤ(前/後):110/70-12/120/70-12


サスペンション(前/後):テレスコピックフォーク/片持ち式サスペンションシステム


ブレーキ(前/後):油圧式ディスクブレーキØ220m(CBS)/油圧式ディスクブレーキØ220mm(CBS)

ライダープロフィール

元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。

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