
昨年の第46回 東京モーターショーで注目を集めたADV150が2月14日に新発売される。国内の年間販売計画台数は3000台、バックオーダーは既に3300台をオーバーしその人気のほどが伺い知れるのである。
最終ページにはプロモーション・ムービーも。
PHOTO&REPORT⚫️近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO⚫️徳永 茂(TOKUNAGA Shigeru)/株式会社ホンダモーターサイクルジャパン
⚫️カラーバリエーションは3種類
左からゲイエティーレッド、マット メテオライトブラウンメタリック、マット ガンパウダーブラックメタリック。◼️ホンダ・ADV150.......451,000円







⚫️開発者に聞いた! 6項目の一言インタビュー。
開発責任者の箕輪和也さん(左)と営業責任者の古賀耕治さん。 発売を控える2月6日に報道関係者を対象にADV150の発表試乗会が木更津で開催された。会場には3機種のカラーバリエーション全てに加えてアクセサリー装着車も揃えられていた。技術説明会は、タフでアクティブなアドベンチャースタイルについて、そのデザインの解説から始まった。
開発のキーワードは「限界を超えていく都会の冒険者」。“URBAN EXPLORER”を掲げ、未来的で力強いデザインの中にアクティブな佇まいを披露していると言う。あくまで私見ながら、スクーターと言うと、単なる快適移動道具と割り切って考えてしまう筆者だが、ADV150は確かにバイクの様にエネルギッシュな雰囲気が漂って来る。
可動式のフロントスクリーンを備え、テーパードタイプのパイプバーハンドルをヘッドクランプに固定。地上高は高く、リヤにはディスクブレーキを装備する。
パワーユニットは基本的にPCX150と共通ながら、吸気管長を伸ばし、排気系ではキャタライザーの配置を最適化する等、吸排気系を専用チューニング。中低速域、つまりは実用域でのトルク特性をアップ。無段変速Vマチッックの特性もそれに合わせて変更され、よりダイレクトなスロットルレスポンスが得られるように調教されたと言う。
そして何よりも特筆すべきは、前後サスペンションのストロークが大幅に向上している点にある。セリアーニタイプの正立式フロントフォークは130mmと言うクラス最長のストロークを稼ぎ、SHOWA製別体タンク付き2本ショックには3段レートスプリングを装備。ユニットスイング式リアサスペンションも120mmのストロークを誇る。
ちなみにPCXのストロークは前後共に100mmだから、2~3割りの向上を果たしているわけだ。
前後タイヤもブロックパターンのチューブレスを専用開発。IRC製TRAIL WINNER GP-212を履く。サイズもPCXと比較すると10mmワイドトレッド化された。後輪は外径寸法を共通としながら13インチに変更。タイヤの空気容量が増えることでクッション性向上も期待できる。
メットインのシート下収納やイージーライディングできる操作性はスクーターと何ら変わらない中に、オフロードテーストとの融合でどこかアクティブな楽しみが加えられている点が印象的である。
生き生きと積極的に走りを楽しんで見たくなる。

先ずは見晴らしの良い目線位置の高い乗り味が印象的。シートに腰を下ろす感じではなく、あくまで跨がるイメージ。足つき性は両足べったりでは無かったが特に不安は覚えない。ただ、スクーター(特に国産の)だと座ったまま楽に足を地面に着く感じで扱うが、ADVでは姿勢を正し(背筋を伸ばし)てきっちりと足を着く感じになった。
目に見える景色の違いと、ちょっと気分の引き締まるそんな乗り味に一般的なスクーターとは異なる新鮮な感覚を覚えた。
実際、多彩な情報表示を担うメーターにも俄然興味を覚える。普通のスクーターなら時計に目が行く程度だが、ADV150では外気温や平均燃費、瞬間燃費にも興味が沸いてしまう。 ややワイドなバーハンドルを握り、フートボードの前方に足を突っ張ると、腰はシート段差にピタリと当たり下半身のホールドが効き身体が安定させられる。ついでに両足の踝で車体を挟むとよりアクティブな走りも難なくこなせるようになるから、ついつい走りを楽しんでしまいたくなるのである。
なるほど試乗前の技説で伺った「都会の冒険者」とはこう言うことなのか、と勝手に納得してしまった。
確かにスロットルレスポンスは元気良い。路面のギャップに対する衝撃吸収能力もレベルアップしている。バネ下がうろたえる程暴れても、ライダーに伝わる振動や衝撃はかなり緩和されていて乗り心地も良い。
しかしそれ以上にライダーが積極的に操縦して走ろうとする気持ちの変化が大きいのである。単なる移動道具としてスクーター任せで快適な時間を過ごすのと、ライダーが走らせる(操る)意識と意欲を持って移動時間を楽しむかの違いが明確に存在する。
狭い場所から出る時、クルッとワンステップターン。ハンドル切れ角は46度とオフ車並に深い。もちろんその気になればPCXでも同様にできる事ではある。しかしADVは難なく超タイトなUターンが気持ちよく決まる。それ以前にライダーを〝その気〟にさせてくれる点が違うのである。
試乗は1時間に過ぎなかったが、平坦な市街地を50km/hクルージングしていると瞬間燃費計は50km/L前後を示す。信号停止も少ないそんなシーンでの平均燃費率は46.2km/Lをマーク。郊外の軽い峠道を快走した時の平均値は39.9km/Lだった。
若い気持ちで走りを楽しめる乗り味と実用的なスクーターの融合には新鮮な魅力が感じられた。
⚫️足つき性チェック(ライダー身長168cm)
 | シート高は795mm。PCX150(764mm)よりもかなり高い数値だが、ステップボードがシェイプされているおかげで、思いのほか足着きはまずまず。 |
⚫️ディテール解説
左右3灯(両端はハイビーム用)ずつにセパレートされたLED式ヘッドランプデザインが精悍。スクリーンはスライドロック機構による調節式で2段階(高低差は71mm)に可変できる。 風が心地よく感じられる季節にはこのLOWポジションが良い。スクリーンは工具不要で簡単に高さの上下調節ができる。 | スクリーンアジャスターは両手で左右のつまみを引いて操作する。HIGHポジションでは、顔面への風圧が緩和される。 |
正立式フロントフォークのストロークはクラス最長の130mm。ABS付き油圧ディスクブレーキは、φ240mmのウェーブディスクローターにNISSIN製2ピストン・ピンスライド式キャリパーを組み合わせる。 前方へ突っ張るように踏ん張る事もできる。ポジションに自由度があるフートボード。 | カウル内側右手のスイッチ操作でパッカンと蓋が開く燃料給油口。車体の左右どちらからでも楽に給油できる。 |
基本的にはPCX150のエンジンと共通だが、出力特性やVマチックはADV150独自の設定が施された。
右側で跳ね上がるショートマフラーはなかなかボリュームがある。エキゾーストパイプの直ぐ上にあるのは水冷エンジン冷却システムのラジエターだ。
ユニットスイング式サスペンションには3段レートスプリングを使用したSHOWA製リザーバータンク付き2本ショック方式を採用。ストロークは120mm。
φ220mmのウェーブディスクとNISSIN製1ピストン・ピンスライド式油圧キャリパーを採用。リヤにABSは無い。太めのIRC製タイヤを装着。ブロックパターンが採用されている。
センターのクランプ部分はφ28,6mm。テーパーパイプバーハンドルがリジットマウントされている。 一番下段にプッシュキャンセル式ウインカー、中断グレー色の三角ボタンスイッチはホーン。上段の黒スイッチはヘッドライトの光軸を切り替えるディマースイッチだ。 | ハンドル右側スイッチは上から順に、アイドルストップ機能のON/OFFスイッチ。ハザードランプスイッチ、そしてエンジン始動用のスタータースイッチだ。 |
各種インジケーターランプを下段に配置したセパレートメーターを採用。メインの液晶表示は多彩な情報伝達を担う。 プッシュ操作でロックの開け閉めができる左側インナーボックス。容量は2L。中には12V1A(12W)のアクセサリー電源も装備されていた。 | スマートキー方式を採用。左のリモコンキーを身につけて車体に近づくとダイアル式スイッチが操作できるようになる。定位置で右のシーソースイッチを操作するとシートと燃料給油口の蓋が開けられる。 |
前後で軽く段差のついた一体式のダブルシート。クッションは硬めの感触だが、座り心地は良い。 後席の両脇にはしっかりしたハンドグリップが装備されていて二人乗りでの安心感も高い。 | シートは前ヒンジで大きく開く。ご覧の通りメットイン+αの収納スペースがあり長尺物も入れられる。容量は27L。 |
フルLEDランプが採用されているテールビュー。急ブレーキ時にはハザードランプが自動点滅するエマージェンシーストップシグナルも装備。
◼️主要諸元◼️
車名・型式:ホンダ・2BK-KF38
全長(mm):1,960
全幅(mm):760
全高(mm):1,150
軸距(mm):1,325
最低地上高(mm):165
シート高(mm):795
車両重量(kg):134
乗車定員(人): 2
燃料消費率(km/L):
54.5(60km/h)〈2名乗車時〉
44.1(WMTCモード値)〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):1.9
エンジン型式 :KF38E
エンジン種類 :水冷4ストロークOHC単気筒
総排気量(cm3):149
内径×行程(mm):57.3×57.9
圧縮比:10.6
最高出力(kW[PS]/rpm):11[15]/8,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):14[1.4]/6,500
始動方式:セルフ式
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量(L):8.0
変速機形式:無段変速式(Vマチック)
タイヤサイズ(前 /後):
110/80-14M/C 53P
130/70-13M/C 57P
ブレーキ形式 (前/後): 油圧式ディスク/油圧式ディスク
懸架方式 (前/後):テレスコピック式/ユニットスイング式
フレーム形式 :ダブルクレードル
キャスター角:26°30′
トレール:85mm
ステアリング切れ角:46°
製造国:タイ
ADV150 プロモーション・ムービー◼️ライダープロフィール
元モト・ライダー誌の創刊スタッフ編集部員を経てフリーランスに。約36年の時を経てモーターファン バイクスのライターへ。ツーリングも含め、常にオーナー気分でじっくりと乗り込んだ上での記事作成に努めている。